DX認定制度とは~DX認定取得の目的とメリットを解説~

コラム 2023.04.03
DXビジョン&ビジネスモデルDX 戦略・計画策定 制度
DX認定制度とは~DX認定取得の目的とメリットを解説~
目次

政府が制定したDX認定制度は、DX成功のために「まずはデジタルを前提とした経営ビジョン・DX戦略と、その推進体制作りが必要」とし、その重要性に言及しています。まずは「DXを通じて何を実現したいのか=DXビジョン」を描くことが重要なのです。今回はDX認定制度の概要から取得の目的・メリット、具体的な申請手順、審査を通るためのポイントまで、実務担当者が知っておくべき情報を解説します。

DX認定制度の概要と認定基準

1.DX認定制度とは

DX認定制度とは、2020年5月15日に施行された「情報処理の促進に関する法律」に基づき、経済産業省が定める「デジタルガバナンス・コード」の基本的事項に対応する企業を国が認定する制度です。
国がDX認定制度を設けた背景には、DX推進の準備が整っている企業を国が認定することで、企業や経営者のDXに対するマインドを醸成し、社会全体のデジタルトランスフォーメーションを加速させる狙いがあります。
またDX認定制度のほかにも、東京証券取引所の上場企業から選定される「DX銘柄」などの制度がありますが、DX認定はこれらすべての入り口となる「DX-Ready」であることを証明するものです。なおDX認定レベルには4つのレベルが存在し、下からDX-Ready以前・DX認定事業者(DX-Ready)・DX-Emerging企業・DX-Excellent企業となっており、DX-Ready企業がDX認定制度取得企業となります。

2.DX認定基準(デジタルガバナンス・コード)

DX認定取得には経済産業省が定める「デジタルガバナンス・コード」を満たしているかが重要です。認定基準は大きく分けて以下の4つの項目から構成されています。これらを自社のDX戦略に落とし込み、公表することが求められます。

1.ビジョン・ビジネスモデル:
経営ビジョンにおいて、デジタル技術活用による社会・顧客への効果や自社のビジネスモデル変革について具体的に示していること。

2.戦略:
DXを実現するための戦略が策定されていること。組織づくり、人材育成、ITシステム・デジタル技術活用環境の整備に関する方策が含まれていること。

3. 成果と重要な成果指標:
DX戦略の達成度を測る指標(KPI)を設定し、自己評価を行っていること。

4. ガバナンスシステム:
経営者がリーダーシップを発揮し、ステークホルダーへの情報発信や、サイバーセキュリティ対策を行っていること。

【引用】経済産業省 「デジタルガバナンス・コード3.0」

また、制度全体の概要や認定基準のポイントについては、以下の経済産業省の資料も併せてご参照ください。

【参考】DX認定制度概要

DX認定取得の3つのメリット・目的

DX認定制度は、単に国からのお墨付きをもらうことだけが目的ではありません。企業にとっての本質的な目的は、取得プロセスを通じて「自社のDXビジョン・戦略」を明確にすることにあります。ここでは具体的なメリットと併せて解説します。

1.税制優遇・金融支援などの公的支援措置

DX認定を取得することで、DX推進に有利な公的な支援を受ける資格が得られます。

(1)DX投資促進税制:
クラウド技術を活用したシステム連携など、対象となる設備投資に対して税額控除(5%または3%)や特別償却(30%)が適用されます。

(2)中小企業向け融資制度:
日本政策金融公庫による低利融資や、中小企業信用保険法の特例(保証枠の拡大)などを受けやすくなります。

2.社会的認知や信用力などブランド価値の向上

DX認定を取得すると、経済産業省のDX推進ポータルサイトやIPAの公式サイトで企業名が公表されます。また、「DX認定制度ロゴマーク」を自社の名刺やWebサイトで使用できるようになります。 これにより、「デジタル活用に積極的な先進企業」というブランディングが可能になり、顧客からの信頼獲得や、DX人材の採用活動においても有利に働きます。

3.DXを推進する際の論点整理と経営のコミットメント

経済産業省が発表しているデジタルガバナンス・コードを基に、DX認定取得に向けたプロセスを踏むことでDXに必要な論点・情報の整理ができ、申請プロセスそのものがメリットといえます。認定を取得するためには、「DXを通じて何を実現したいのか」というビジョンを言語化し、社内外に宣言する必要があります。 これにより、曖昧だった社内のDX戦略に必要な論点や情報が整理され、経営層から現場まで一丸となって推進する経営のコミットメントが形成されます。

DX認定の申請方法と流れ

DX認定の申請は、原則としてWeb上のシステムを通じて行います。申請から認定までの標準的な期間は、審査を含めて約1〜2ヶ月程度です。

STEP1:税制優遇・金融支援などの公的支援措置

gBizIDプライムの取得申請には、行政サービスへのログインに必要な「gBizIDプライム」アカウントが必要です。発行には印鑑証明書等が必要で、2週間程度かかる場合があるため、早めに取得しましょう。

STEP2:デジタルガバナンス・コードへの対応と公表

認定基準を満たすための戦略やビジョンを策定し、自社のWebサイト等で公表します。「経営ビジョン」「DX戦略」「セキュリティ対策」などが明記されている必要があります。

STEP3:認定申請書の作成・提出

IPA(独立行政法人情報処理推進機構)が運営する「DX推進ポータル」にログインし、申請フォームに必要事項を入力、エビデンスを添付して提出します。

STEP4:IPAによる審査

提出された申請書はIPAによって審査されます。不備がある場合は補正指示が入りますので、指摘に従って修正・再提出を行います。

STEP5:認定・公表

審査を通過すると、経済産業省から認定が付与されます。認定事業者はIPAのWebサイトで公表され、認定証のダウンロードやロゴマークの使用が可能になります。

DX認定制度取得の際のポイント

DX認定の審査は、形式的な要件確認だけでなく、企業としてDXに取り組む「一貫性」や「実態」が問われます。スムーズに認定を取得するためには、審査員の視点を意識し、以下の3点に留意して準備を進めることが重要です。

1.「ビジョン」と「戦略」の一貫したストーリー構成

最も重要なのは論理的な整合性です。経営ビジョンで掲げた「あるべき姿」に対し、策定したDX戦略がその実現手段として論理的に紐づいている必要があります。 単なるツールの導入計画の羅列では不十分です。「なぜそのデジタル技術が必要なのか」が、経営課題の解決やビジネスモデル変革とどう繋がっているか、一貫したストーリーとして説明できるよう内容を練り上げましょう。

2.審査員視点での「エビデンス」の整備

審査はWeb上の公表情報を基に行われます。優れた戦略があっても、サイトの階層が深く情報に辿り着けない、PDFの該当箇所が不明瞭といった場合、確認不可となるリスクがあります。 該当箇所への導線を明確にする、PDFの参照ページを指定するなど、第三者である審査員がストレスなく情報を確認できる「閲覧性」への配慮が、認定への近道となります。

3.現場任せにしない「経営の関与」の可視化

実務は担当者が主導しても、審査では「経営者がリーダーシップを発揮しているか」が重視されます。Webサイト上のトップメッセージが定型文のようでは、本気度が伝わりません。 経営者自身の言葉でDXへの決意を表明し、部門横断的な推進体制図を具体的に示すなど、特定部署だけでなく全社で推進している実態を可視化してください。

DX認定取得は自社のデジタルトランスフォーメーション成功への手段

DX認定取得はデジタルトランスフォーメーション成功への手段です。決して、DX認定取得だけが目的にならないよう、実現可能なDXビジョン・DX戦略の策定、DX推進体制の整備をしてください。暫時的な取り組みではなく、DXを軸とした企業の在り方を変革し、目指すべきゴールの設定とともに、ビジネスモデル・バリューチェーン・顧客関係・企業文化も含めた全社改革としてのロードマップの策定、そして回収計画も視野に入れた蓋然性の高い投資計画の策定が今、求められています。 ぜひ、デジタルトランスフォーメーション成功へ向けた一歩として、DX認定の取得に取り組んでみましょう。

タナベコンサルティングのDX認定制度取得にむけた支援について

タナベコンサルティング自身も、DX認定事業者として認定を取得しており、デジタル技術を活用したビジネス変革を実践しています。

当社タナベコンサルティンググループのDX認定取得についてのお知らせ

中期経営計画策定支援や、バックオフィスを中心にIT活用を前提とした業務改善など、バリューチェーン上の幅広いDX領域における、具体的な実行推進支援までを企業の実情に即して提供しています。実直丁寧な仕事ぶりと、顧客に寄り添うコンサルティングで、貴社のDX認定取得とビジネス変革をサポートします。

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AUTHOR著者
デジタルコンサルティング事業部
チーフマネジャー
布施 龍人

バリューチェーン上の幅広いDX領域における、具体的な実行推進支援までを企業の実情に即して提供している。特にHRDXにおいては、人的資本経営のDX化やDX人材育成に強みを持つ。経営視点・現場視点を持ち合わせた丁寧なコンサルティングに定評がある。

布施 龍人
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