BtoBマーケティングDXの成功戦略|データ活用と営業連携で成果を最大化

コラム 2026.02.10
マネジメントDXマーケティングDX 戦略・計画策定 デジタルマーケティングデータ活用
BtoBマーケティングDXの成功戦略|データ活用と営業連携で成果を最大化
目次

1. BtoBデジタルマーケティングの現在地:導入は進むが成果は二極化

2024年10月にタナベコンサルティングが実施した「デジタル経営に関する企業アンケート調査」(回答数312社)によると、BtoB企業におけるデジタルマーケティングの取り組み状況は、依然として「これから取り組みたい」という企業が33.7%と最も多く、マーケティングのデジタル化に着手できていない企業が3分の1以上存在することが明らかになりました。(図1)
さらに注目すべきは、「デジタル施策は実施しているものの、成果に結びついていない」と回答した企業が29.6%に達している点です。一方で、何らかの成果創出ができている企業も約30%存在しており、取り組んだ結果、成果を出せている企業と出せていない企業が明確に二分されている状況がうかがえます。

【図1】デジタルマーケティングの取り組み状況
これから取り組みたい 33.7%
実施しているが成果に結びついていない 29.6%
成果創出ができている 約30%(赤枠囲い部分)

▼クリックで拡大します

デジタルマーケティングの取り組み状況
※出所:タナベコンサルティング作成

成果創出ができている企業の特徴として、Webからの引き合い獲得ができているだけでなく、その顧客データを営業部門としっかり連携して活用できていること、さらに新規顧客なのかリピート顧客なのかを把握し、顧客の状況に合わせた対応ができている点が挙げられます。つまり、顧客データの利活用レベルが、デジタルマーケティングの成否を左右する決定的な要因となります。

2. 顧客データ管理のボトルネック:CRM/MA未活用・データ欠損で活かせない

では、なぜ多くの企業がデジタルマーケティングで成果を出せないのでしょうか。その答えは、顧客データの管理レベルとデータ活用度の実態に表れています。

▼クリックで拡大します

顧客データの管理
図2:顧客データの管理
※出所:タナベコンサルティング作成

調査によると、「ツールは導入しておらず、顧客データは表計算ソフトレベルで管理している」と回答した企業が26.6%と最も多く、「ツールは導入していないが、これから取り組みたい」11.5%、「わからない」16.7%などを合わせると、半数以上の企業が顧客データに関してツールを導入しておらず、管理レベルに課題を抱えていることが分かります。
さらに深刻なのは、「ツールは導入しているが、データに不備(未入力)があるため、営業活動に活かせていない」と回答した企業が25.6%に達している点です。つまり、ツールを導入している企業においても、データを蓄積・入力するという基本的な段階でつまずいているケースが多いです。

マーケティング活動でのデータ活用度についても状況が厳しく、「結果と対策が結びついていない」と回答した企業が前年比3.5ポイント増加しています。データに基づいたマーケティング活動ができていない企業が依然として多く、さらにその傾向は悪化していると言えます。

▼クリックで拡大します

マーケティング活動でのデータ活用度
図3:マーケティング活動でのデータ活用度
※出所:タナベコンサルティング作成

特に注目すべきは、「結果と対策が結びついていない」と回答した企業の中で、約半数(48.9%)が顧客データの管理レベルの設問で「データの不備があるため営業活動に活かせていない」と回答している点です。これは、マーケティング活動のデータ管理に課題があり、その対策にまで着手できていない悪循環を示しています。

3. 推進体制面の課題:専任不在・人材不足がマーケティングDXを停滞させる

データやツールの課題に加え、推進体制の面でも大きな課題があります。マーケティングチームの規模について「専任はいないが、これから組成したい」という回答が29.8%に達しており、昨年の31.5%と比べても大きな変化はありません。年商規模別に見ると、年商100億円以上の企業でも3分の1はマーケティング専門チームを持っていないという実態が明らかになっています。
中堅・中小企業では専任の必要性を感じつつも、実装しきれていない状況が続いており、人的リソースの制約がデジタルマーケティング推進の大きな障壁となっていることがうかがえます。

▼クリックで拡大します

マーケティングチームの規模と推進体制
図4:マーケティングチームの規模と推進体制
※出所:タナベコンサルティング作成

4. 戦略なきデジタル化はなぜ失敗するのか:戦術ではなく全社の戦略的変革へ

ここまで見てきた課題の根本原因は、「施策のデジタル化にとどまっている」ことにあります。営業のデジタルシフトがなかなか成果に結びつかない理由として、多くの企業は、ツールの導入やWebサイトの制作といった「手段」のデジタル化だけを行い、事業戦略に基づいた体系的なアプローチができていません。

デジタルシフトは「戦術」ではなく「戦略的変革」

デジタルシフトは事業戦略を遂行するための手段であるため、営業やマーケティングのしくみだけを切り替えても、以下のような問題が発生します。

・継続性の問題:Webページを作りっぱなしでコンテンツが不足
・効率性の問題:見込情報が活かせず、営業との連携不足
・局所性の問題:成果が限定的で、部門に偏りが生じる

これらの問題が発生した際、立ち返るべき戦略がなければ問題解決に至らないどころか、さらなる問題を発生させるケースが多いのです。営業のデジタルシフトは、現状の営業スタイルを改善するための「戦術」ではなく、「戦略的変革」として捉える必要があります。

5. 事業戦略で打ち手は変わる:アンゾフで読む市場浸透/新市場開拓とデジタル

アンゾフのマトリクスに基づいて考えると、特に「新たな市場・顧客」を開拓する戦略を採用する場合、戦略的見地からデジタルマーケティングを推進していく意義が大きくなります。新市場開拓戦略や多角化戦略では、ターゲットが変わるため、売り方そのものを再構築する必要があり、単なるツール導入だけでは成果は出にくいのです。
一方、既存市場での市場浸透戦略であれば、顧客も商品も見えているため、現在の営業戦略に即したツール導入から入ることができます。このように、自社の事業戦略とデジタルマーケティングの取り組みレベルを適切にマッチングさせることが重要です。

▼クリックで拡大します

図5
図5※出所:タナベコンサルティング作成

6. DX推進で押さえるべき3つのポイント

ポイント1:DXの目的を明確化する

環境分析から戦略立案、施策立案に至るまでの一貫した流れの中で、デジタルマーケティングを位置づける必要があります。SWOT分析による市場機会・事業課題の明確化、セグメンテーション・ターゲティング・ポジショニングの明確化を経て、初めて効果的なマーケティング施策(4P・4C・4E)の立案が可能になります。

ポイント2:導入価値と自社の現在地を認識する

デジタルマーケティングには7つのレベルが存在します。レベル1の「会社案内」から始まり、レベル4の「リード獲得」、レベル6の「営業連携」、そしてレベル7の「テクノロジー活用」まで、段階的に成熟度が上がっていきます。自社が現在どのレベルにあり、次にどのレベルを目指すべきか、そのために何が必要かを明確にすることが重要です。

ポイント3:導入価値の「先」に得られる付加価値を可視化する

DXを進めることで、その「先」に何を得られる(得たい)のかを明確にすることが必要です。多くの企業はデジタル化によるメリットに目を向けますが、同時にデジタル化によって失われる機能(個別のニーズ対応、クライアント別の状況把握など)をどのようにカバーするかという視点も重要です。導入前の段階から対策を検討しておくことが、実装後のスムーズな運用につながります。

7. デジタルマーケティング実践のポイント:新規リード獲得、分業×KPI、データ連携

実践ポイント1:新規リード獲得施策のデジタル化とデータ利活用体制への投資

新規リード獲得に対して取り組みができていない、またはメール・DMといった既存顧客へのアプローチに注力している企業が多い現状があります。デジタル化によって新規リード獲得のチャネルを拡大し、獲得した顧客データを蓄積し、それを起点としたデータドリブンマーケティングを推進することが求められます。
データドリブンマーケティングでは、顧客データを可視化し、加工や分析を経て施策につなげていくことが重要です。自部門だけで取り組むのではなく、他部門や経営層など関連する部署にデータドリブンマーケティングの重要性を理解してもらってから推進すること、そしてデータ利活用ができる人材を育成することが急務となります。

実践ポイント2:分業・専業化による営業プロセスの最適化とKPI設計

限られたリソースを最大限生かすために、リード創出、ナーチャリング、商談化・クロージング、アフターフォローのように営業プロセスを分割し、それぞれに専門部隊を設定することが重要です。プロセスごとに集中した営業活動を行い、各プロセスの最大成果をつなげることが、受注や売上につながります。
そのためには、KGI、KPIの設計を行い、営業活動における指標をもとにシステムを検討する必要があります。システムの利便性から入るのではなく、ビジネスの成果から逆算して必要なデータとシステムを定義することが成功の鍵です。

実践ポイント3:データの「つなぎ目」に人を置く

マーケティング活動は経済情勢、業界動向、消費者動向、法規制やライバルの動きによって日々変化します。気づくと日常業務に忙殺され、本来検討すべき「打った手の確認」や「データの解析」「新しい技術のインプット」が遅れがちになります。
重要度が大きく緊急度が小さい「見落とし業務」は、データの「つなぎ目」で発生するものが多いのです。MAツールと営業支援システム、CRMと外部環境データといったデータのつなぎ目に担当を配置し、時流に即したマーケティング施策をタイムリーに展開できるかどうかが、中期的なマーケティングの成否を分けるカギとなります。

まとめ:戦略×データ活用×営業連携でDXを「プロフィットセンター」に

デジタルマーケティングの取り組みにおいて、成果を出している企業と出していない企業が二極化している現状は、単にツールやシステムの導入有無ではなく、「戦略の有無」によって分かれていると言っても過言ではありません。
戦略なきデジタル化は、Webサイトやツールの維持費だけがかさむ「コストセンター」にとどまります。一方、明確な事業戦略に基づき、データを利活用し、組織体制を整え、中期的な視点で取り組むマーケティングDXは、持続的な成長を支える「プロフィットセンター」となります。
今こそ、「なんとなく」のデジタル化から脱却し、戦略に基づいたマーケティングDXへと舵を切る時です。自社の現在地を正しく認識し、目指すべき姿を描き、そこに至る道筋を明確にすることから始めてみてはいかがでしょうか。

※本コラムは、タナベコンサルティング実施「デジタル経営に関する企業アンケート調査」(2024年10月、回答数312社)のデータを基に作成しています。

関連資料
AUTHOR著者
執行役員
デジタルコンサルティング事業部
庄田 順一

マーケティング戦略パートナーとして、顧客に向けたデジタルとリアルを融合したコミュニケーションの戦略設計コンサルティング活動を展開。顧客創造に向けたWEBとリアルを融合した集客プロモーションコンサルティングにより売上げ拡大を支援。マーケティングの戦略策定から、実行・運営までトータルでサポート。特にプロモーション企画とその推進マネジメントを通じた人材育成で、クライアントから高い信頼を得ている。

庄田 順一
関連サービス
データ利活用ナレッジ

関連記事

ABOUT
TANABE CONSULTING

タナベコンサルティンググループは「日本には企業を救う仕事が必要だ」という
志を掲げた1957年の創業以来、69年間で大企業から中堅企業まで約200業種、
18,900社以上に経営コンサルティングを実施してまいりました。

企業を救い、元気にする。私たちが皆さまに提供する価値と貫き通す流儀をお伝えします。

コンサルティング実績

  • 創業 69
  • 200 業種
  • 18,900 社以上