本コラムは、ダイヤモンド社発行の「DX戦略の成功のメソッド~戦略なき改革に未来はない~」の第2章の抜粋記事です。
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ここまでで紹介してきた「DXを阻む5つの壁」を突破する上で必要なことは、「経営者の覚悟」である。なぜなら、5つの壁を乗り越えるためには、①経営者自身の変革、②戦略投資の決断、③断行、④人的資本マネジメント、⑤組織風土改革などが求められ、いずれも経営者自身がなすべきことだからである【図表2‐4】。
DXに強い関心を寄せる経営者は多い。実際にDXの推進に取り組む企業も増えてきた。なかには「権限委譲」を名目に、システム部門や若手社員に任せきりというケースが散見される。
しかし、DXはビジョンの実現に向けた継続的な投資が必要となる。したがって、経営者自身がDXとそれに伴う市場変化の可能性を最も理解しておかなければ、投資の意思決定ができず、DXビジョンは必ず形骸化する。
それどころかDXに対し健全な危機感を持っている若手メンバーと、それを理解できない経営者の間でギャップが生まれ、有望人材の離脱にまでつながるリスクが考えられる。
DXに関する理解がないということは、数年後のビジネスに対する理解がないということでもある。もし、「デジタルに詳しくない」という理由でDXに距離を置いている経営者がいるとすれば、社内で最初に変わらなければいけないのは経営者自身といえるだろう。
経営者の覚悟がないDXは成功しないと断言してもよい。DXとは、トップ自らが本気で取り組むべき改革なのである。
「自社がDXを通じて何を目指すのか」というビジョンからDX戦略を描き、実践すべき改革テーマへ落とし込むメソッドを提言します。