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次世代リーダーを育てるための社内研修のベストプラクティス

次世代リーダーに求められる力~未来を導くために~

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次世代リーダーを育てるための社内研修のベストプラクティス

次世代リーダーの育成は、企業の未来を切り拓く鍵になる。

はじめに

はじめに

現代の企業経営において、次世代リーダーの育成は最も重要な課題の一つと言える。

市場環境や技術革新が急速に変化する中、将来を担うリーダーに求められる能力やスキルは広範囲に及び、日々、複雑化・多様化していることを前提に押さえていただきたい。

そのため、次世代リーダーを育成するための社内研修は、通り一遍な仕組みだけでは十分に機能しないため、注意が必要である。

本コラムでは、次世代リーダーを育成するための社内研修のベストプラクティスについて解説し、企業がどのように次世代リーダーを育成し、ケイパビリティ(組織力)を強化させていくのか、その手法について深堀りしていくこととする。

次世代リーダー育成の重要性

次世代リーダー育成の重要性

企業において次世代リーダーを育成することは、当然ながら、単に経営層の後継者を決めるためだけではない。
次世代リーダーの範囲は、後継者、次世代経営幹部候補、次次世代リーダークラスまで多岐に渡る。

また、グローバル化、デジタル化、そして社会的責任の強化といった課題に立ち向かうためには、組織の中で革新を推進し、チームを鼓舞し、適切な意思決定を行えるリーダーの存在が不可欠である。

リーダーとしての視野を広げることに加えて、他部門や外部との連携を強化し、変革を先導する役割を果たすことまで求められる。

こうした背景から、リーダーの育成はもはや"選ばれし者"を育てるという視点ではなく、組織全体の成長を支える"チーム全体"のリーダーシップを高めるという重要な戦略として位置づける必要がある。

次世代リーダーがこれらの役割を十分に果たすためには、適切な研修を通じてリーダーシップスキルを磨き、業務上で遭遇する多様な問題に対処する力を養うことが重要である。
そのため、企業は早期から計画的にリーダー育成のプログラムづくりに着手する必要がある。

次世代リーダー育成のための具体的な研修プログラム

次世代リーダー育成のための具体的な研修プログラム

次世代リーダーを育成するための研修は、単なる理論的な知識を詰め込むものではなく、実践的かつ多角的なスキルを強化することを目的とする。

以下3つの重要なスキルを中心に据えた研修プログラムは、次世代リーダーを実際のビジネスシーンで活躍できる人材に育てるために不可欠である。

1.リーダーシップ

リーダーシップ研修は、次世代リーダー育成において最も重要な要素の一つである。
リーダーシップのスキルは、単にチームを指導するだけでなく、組織をどのように運営し、方向性を示すかに直結する。

研修プログラムでは、リーダーシップの基礎理論やリーダーシップスタイルを学ぶことから始まる。
例えば、変革型リーダーシップ(Transformational Leadership)やサーバント・リーダーシップ(Servant Leadership)など、さまざまなリーダーシップ理論を学び、どのスタイルが自分に適しているのかを理解することが重要である。
さらに、チームビルディングやモチベーション管理を通じて、リーダーがチームをどうリードし、メンバーの能力を最大化するかを学ぶ。

リーダーシップ研修では、ロールプレイングやケーススタディを行うことで、より実践的なリーダーシップスキルを磨くことができる。

2.問題発見・解決力

次世代リーダーには、問題を早期に発見し、効果的な解決策を導き出す能力が求められる。
現場では、予期しない問題や課題が日々発生するため、リーダーは冷静に状況を分析し、解決に導く力を持たなければならない。
研修では、PDCAサイクル(Plan-Do-Check-Action)や、5W2H(Who,What,Where,When,Why,How,How much)など、問題解決のフレームワークを学び、実際の業務に応用できるスキルを習得する。
さらに、クリティカルシンキングやデザインシンキングを活用して、創造的な解決策を見つけ出す力を養う。

また問題解決の過程で重要なのは、リスクマネジメントである。

リーダーリスクを適切に認識し、その影響を最小限に抑える方法を考えなければならない。
起こりうるリスクを予測し、それに対して適切な対策を講じることができるかということもポイントととなる。

3.コミュニケーション能力

リーダーにとって、効果的なコミュニケーション能力は欠かせない。
特に、アクティブリスニングや建設的なフィードバックのスキルは、チームメンバーとの信頼関係を築き、チーム一丸となって協力するために大きな効果を発揮する。 研修では、聞く力と伝える力のバランスを取る方法を学ぶ。

例えば、メンバーからのフィードバックを受け入れる姿勢を養うことが、リーダーとしての成長に繋がる。

また、チーム内で意見が対立する場面において、調整力や説得力を発揮することが求められる。

リーダーは戦略や方針をチームに的確に伝える能力が必要なため、プレゼンテーションスキルや説得力のある発信力を高める研修も重要となってくる。

次世代リーダー育成における最新トレンド

次世代リーダー育成における最新トレンド

現代のビジネス環境は急速に変化しており、次世代リーダーには新しいスキルが求められる。
ここでは、最新のトレンドに基づいたリーダー育成のアプローチ方法について解説する。

1.デジタルスキルの強化

デジタル化が進む現代において、次世代リーダーにはデジタルスキルが欠かせません。リーダーは、データ解析やAIを活用して意思決定を行う能力が求められているため、研修プログラムでは、ビックデータ分析やクラウド技術、AI活用法を学び、これらのツールを効果的に活用する方法を習得する必要がある。

2.リモートワークへの適応

新型コロナウイルスの影響や働き方改革が推進される中で、リモートワークやハイブリッドワークが普及した。リーダーは、物理的に離れたチームを効果的に管理し、協力し合う環境をつくる力が必要となる。リモート環境でもチームのモチベーションを維持し、効果的なコミュニケーションを図る能力は、次世代リーダーに必須のスキルとなっている。
特に、オンラインツールを駆使ししてチームメンバー状況を把握し、定期的なミーティングを通じて進捗確認やフィードバックを行う方法は、リモートワーク環境でも高いパフォーマンスを引き出すために重要である。また、リモート環境ではメンバー同士の距離感が生まれやすいため、チームビルディングやチームの絆を深める工夫が求められる。

3.メンタルヘルスへの重視

現代では、メンタルヘルスへの配慮がますます重要視されている。次世代リーダーは、チームメンバーの精神的な健康状態にも敏感でなければならない。メンバーに対して共感(エンパシー)を持ち、メンバーが抱える悩みやストレスに寄り添いながら、適切なサポートを行う能力が求められる。

さいごに

次世代リーダーの育成は、単なるスキルの習得にとどまらず、企業の将来を担う重要な投資である。
企業は、リーダーシップ、問題発見・解決力、コミュニケーション能力といった基礎的なスキルを養うと同時に、デジタルスキルやリモートワーク環境でのリーダーシップ、メンタルヘルスへの対応など、現代のビジネス環境に合わせたスキルの強化にも注力する必要がある。
また、研修プログラムは実践的であることが重要で、ロールプレイングやケーススタディを通じて、実際の業務に即した体験を提供することが効果的である。
次世代リーダーを育成するためには、理論と実践を融合させた研修を実施し、リーダーとしての成長を支援することが求められる。
リーダーシップの在り方は変わってきている。
単に上司として指示を出すことにとどまらず、チームメンバーと協力しながら組織一丸となって目標に向かって進んでいくことが重要である。
企業が今後も持続的に成長していくためには、次世代リーダーの育成が欠かせない。
企業の未来を見据えたうえで研修に投資することが、明日の成功を生み出す重要な鍵となる。

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