人事コラム
人材育成

効果的な社員研修プログラムの設計と実施方法

社員の成長を促す研修プログラムの成功法則を紹介します。

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効果的な社員研修プログラムの設計と実施方法

効果的な社員研修プログラムの設計と実施法を徹底解説

はじめに

タナベコンサルティングでは、企業における戦略構築を「事業戦略」と「経営戦略」に切り分けることを原理原則としております。

事業戦略とは、
「勝てる場の発見」であり、自社の強み(Technology)をどの市場(Market)にぶつけるかが重要になります。
経営戦略とは、
「勝てる条件づくり」であり、どのように「人(Man)・モノ・カネ(Money)」をバランスよく配分・管理(Management)し、勝てる条件を整えるかがポイントです。

今回のテーマは、「社員研修プログラム」ですが、上記「経営戦略」遂行の視点から見ていきたいと思います。

コロナ禍からどれだけアップデートしたか?

コロナ禍からどれだけアップデートしたか?

コロナ禍を通じて、社員研修は(1)実施形態(2)目的(3)プログラム・コンテンツの3点で大きく変化しました。

(1)「実施形態」について

リモートワークの普及に伴い、オンライン研修が急速に広がっています。現在、Zoomなどのプラットフォームを利用したウェビナー研修が普及することで、地理的な制約が解消され、全国各地からの参加が可能となった結果、研修の受講者数が増加したと考えられます。
また、オンライン研修と対面研修を組み合わせたハイブリッド型の研修も増加しており、柔軟な運用が可能となっています。例えば、基礎的な内容はオンライン研修で広く実施し、より実践的なスキルを必要とする研修においては対面で行う集合型を採用するなど、柔軟な運用がなされています。さらに、自社の社員が講師となり実施する社内研修や、外部セミナーに参加するなどの社外研修も多様化しています。

(2)「目的」について

従来から次の2点が明確になっています。
1つは基礎的な知識の習得を求める場合であり、これは主に入社後教育に相当し、新入社員教育など多くの企業で実施されています。
2つ目は専門知識やスキルの習得です。階層別教育の中でも、管理職を対象にしたマネジメント教育や、技術者を対象とした高度スキル研修などが該当します。
上に挙げた目的自体は従来から行われていたものの、近年では人的資本経営の考えが高まっており、企業の競争力を高めるための重要な人事戦略として教育を位置づけ、社員の成長と企業の成長を相互に促進させるために社員教育を行う企業が増えています。

(3)「プログラム・コンテンツ」の変化について

従来は階層別に行う「リーダーシップの育成」や「必要スキルの習得・向上」、「業務の標準化」などの専門知識やスキル教育が中心に行われてきました。現在では、上記に加え、企業のビジョンや価値観を社員に浸透させる「企業・組織文化の醸成」や「社員のモチベーション向上」、「変化への適応力強化」、「コミュニケーション能力の向上」など、エンゲージメントを強化させるプログラムが注目されています。

よくある研修の間違い

研修を実施する際によく見られる間違いの一つは、自社のボトルネックを把握せずに研修を行うことです。この場合、研修の効果が薄れ、期待した成果を得ることが難しくなります。
効果的な研修を実施するためには、まず初めに、階層別やスキル別に総点検を行い、どの部分が改善を必要としているのかを明確にします。さらに、このプロセスを通じて、自社に必要な人材を明確にし、必要スキルを習得させる研修内容を的確に絞り込みます。
そして、その研修に必要なノウハウが社内に不足している場合は、社外から調達することで研修の効果を最大化することが可能になります。
結果として、組織全体のパフォーマンス向上につながる研修体系となります。

効果的な社員研修プログラムの設計

効果的な社員研修プログラムの設計

効果的な社員研修プログラムの設計において、下記の階層を対象に考慮して設計することが重要です。

(1)次世代リーダー候補

特に次世代リーダー候補に何を経験させるかは非常に重要なポイントです。従来の年功序列の考え方にとらわれず、社員の適性や能力は年次によって決まるものではないという認識が必要です。次世代リーダーを育成するためには、彼らに実践的な経験を積ませることが不可欠です。
具体的には、プロジェクトのリーダーを任せたり、異なる部門との連携を求めたりすることで、社員は多様な視点を持つことができ、リーダーシップの資質を磨くことができます。また、タフアサインメントを通じて、失敗から学ぶ機会も提供されるため、リスク管理や問題解決能力も向上します。

(2)中堅社員

次世代リーダー候補だけでなく、中堅社員や若手社員向けのプログラムも重要です。中堅社員には、リーダーシップやマネジメントスキルを強化するための研修を提供し、組織内での役割を拡大させることが求められます。一方、若手社員には、基礎的なビジネススキルや業務知識を身につけさせるプログラムを通じて、早期に戦力化することが重要です。これにより、各階層の社員が連携し、組織全体の成長を促進します。

(3)若手社員

若手社員を中心に全社員向けのオンライン研修を展開する「企業内大学」を設立することも効果的です。この取り組みは、学びを止めない環境を提供し、社員が常に新しい知識やスキルを習得できるようにします。特に、講師役を担う社員は、自らの知識を整理し、他者に教えることで一番成長する機会を得ることができます。若手・中堅社員が主体的に関与することで、研修の質が向上し、全体の学習効果が高まります。
このように、効果的な社員研修プログラムは、単なる知識の習得にとどまらず、実践的な経験を通じてリーダーシップを育成することが求められます。大切な着眼点として、現在・未来の両リーダーを育て、持続的な成長を実現することが挙げられます。

社員研修プログラムの評価と改善方法

研修結果を評価することは、経営戦略を遂行するうえで非常に重要な要素です。
特に、定められた人事KPIに対して、研修効果の測定が必要です。受講者のフィードバックや業務成果を基にしたデータ分析を行うことで、研修プログラムの効果を客観的に評価し、必要な改善点を特定することができます。
また、研修の投資効果を明確にすることで、経営層への報告が容易になり、経営戦略に基づいた研修の実施が可能となります。
このようなデータ分析とオンライン研修の組み合わせにより、企業は研修プログラムの評価と改善を継続的に行うことができ、社員の成長を促進し、組織全体のパフォーマンス向上につなげることが可能です。

さいごに

冒頭に、企業の戦略策定には「事業戦略」と「経営戦略」があるとお伝えしました。
図の通り、企業の人材育成は、価値判断の基準となる「経営理念」や「ビジョン」と、それに基づく様々な戦略に紐づいていなければなりません。

価値判断システム、人材育成システム

タナベコンサルティングでは、経営戦略遂行の視点から「社員研修プログラム」を立案することをお勧めしています。
その結果、企業は変化する市場環境に柔軟に対応し、持続的な成長を実現することができると考えます。

この課題を解決したコンサルタント

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