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株式譲渡・事業譲渡の違いとは?
注意点や事前準備事項を解説

2023.04.20

譲渡とは?株式譲渡、事業譲渡の違い


M&Aには多くのスキーム(手法)がありますが、代表的なのが「株式譲渡」「事業譲渡」の2つのスキームです。

株式譲渡とは、売り手側が保有する会社の株式を、買い手側へ譲渡し、会社はそのままで経営権を移すことである。一般的には、売り手社長及び親族が100%保有する株式を、買い手側の企業へ売却し、買い手側の100%子会社となるケースが多いです。
一方、事業譲渡とは、売り手側企業の事業の全部もしくは一部を、買い手側企業へ売却することです。この際、売り手側企業の法人格そのものや、譲渡外の事業・資産・負債等は会社に残ることになります。お金の動きは、買い手企業から売り手企業に事業譲渡代金が支払われ、売主個人が得るには会社から報酬・配当等で得ることになります。

中小企業のM&Aは、ほぼ株式譲渡で行われております。売り手側企業は買い手側企業の子会社となり企業として存続するため、承継者がいない場合のM&Aで選ばれることの多いスキームです。
事業譲渡は一部の部門や事業部のみの売買時に選ばれることが多く、不採算部門のみの切り離しや戦略的撤退、買い手側のリスクヘッジなどの場合にはこのスキームが使われます。

株式譲渡と事業譲渡の詳細や、M&Aでの譲渡を検討する際のスキームの選び方は下記コラムで詳しく解説しています。


また、事業承継の方法にM&Aによる譲渡を検討すべき理由や、M&Aのトレンド・事業譲渡事例を現職のM&Aコンサルタントにインタビューした記事もありますので、M&Aによる事業譲渡の基本情報としてご一読ください。

株式譲渡・事業譲渡の違い


M&Aを進めるにあたり重要なことはM&Aをする「目的」であり、株式譲渡・事業譲渡はあくまでも「M&Aのスキーム(手法)」となります。株式譲渡・事業譲渡それぞれの特徴(違い)をお読みいただき、自社の戦略や目的に沿ったよりよい方法を選択してください。


M&Aをご検討中の方は、どのような選択肢があるのか、一度、専門のアドバイザーにご相談いただくことをお勧めします。

M&Aでの譲渡 事前準備は何が必要?


実際にM&Aで譲渡を進めるにあたり、事前準備は以下の2点が挙げられます。

●仲介会社・アドバイザリー会社の検討
M&Aを進めるにあたり、譲受企業の検討や交渉、各手続き等の支援を専門の仲介会社・アドバイザリー会社等へ依頼します。
仲介会社は売り手・買い手双方の中間に立ち、中立な立場でM&A交渉のサポートを行います。双方から仲介料を得る為安くサービスを利用できるのはメリットですが、あくまで中立の立場ですので相手企業の選定や交渉においてはご依頼企業様主導で進めていく必要があります。
アドバイザリーサービスはご依頼企業様の側にだけ立ち、ご依頼企業様の利益の最大化の為の行動・アドバイス・サポートを行います。相手企業の選定や交渉においてもご依頼企業様の利益を優先して動くため、安心して各プロセスを進めることが可能です。
企業ごとに支援範囲や手数料、交渉のスタンスにも大きな差が見られるので、以下の記事でご紹介する違いや各方式の詳細もご覧頂き、自社に最適な支援企業を選びましょう。


●書面・資料の準備
譲渡側企業は「貴社の事を買い手にお伝えする資料(貴社をPRするための資料)」と、「現状の把握ができる資料(デメリットも含める)」の準備が必要となります。具体的には、定款、謄本、会社案内、決算書、税務申告書等が挙げられます。売り手企業に帰属する人材、事業、財務状況がわかる資料というイメージです。

仲介会社だとこれらの資料を自身で用意しなければならない場合もありますが、アドバイザリー会社だとこれらの書面準備もサポートいたします。ただ、早い段階で必要な書面も多いため、譲渡をご検討の際は下記記事を参考に早めの着手をおすすめいたします。


株式譲渡・事業譲渡の違いとは?注意点や事前準備事項を解説

譲渡金額・M&Aにかかる税金について


自社を譲渡する際、創業者であれば自社に対する思い入れから価格の要望は高くなりがちです。

しかし、企業価値と譲渡価格は一致しないことがほとんどです。なぜかというと譲渡企業様のオーナーは企業価値=時価純資産+営業権(のれん代)と考えている場合が多く、またその企業価値を適正な譲渡価格であると考える傾向があります。したがって、コストアプローチで捉えた企業価値と、譲渡企業様のオーナーの考える営業権(のれん代)を上乗せした譲渡価格には乖離が生じます。さらにのれん代は譲渡企業様と譲受企業様それぞれ考えがあり、双方協議の上、譲渡価格が決定されるケースがほとんどです。

譲渡価格や企業価値評価にお困りの際は、是非専門家にご相談を頂きたいと思います。また、書籍や下記記事も参照頂いて、譲渡側と譲受側のギャップについて理解を深めることも重要です。

債務・借入がある企業の譲渡も複数社事例はありますが、借入金が多くあると株価はあまり期待することができません。しかしながら、株価がつかなくても企業は存続し、従業員の雇用は守られ、債務の連帯保証の解除等を約束頂けるという定性的な部分でのメリットは多くあります

非上場の中小企業における株式譲渡でのM&Aでは、売り手であるオーナー経営者(個人)が自身の所有する会社の全株式を買い手側に譲渡するケースがほとんどです。個人が株式譲渡で得た利益に課せられる税金は、所得税です。
子会社など他社の株式を譲渡することで譲渡益が出れば、法人に対し法人税が課されますが、法人税はその会社の全損益を通算したうえでの課税です。したがって、他に大きな損金がある場合、税額が少なくなる可能性があります。

譲渡時の税金対策は複数ありますが、主に
①繰越欠損金の利用
②第三者割当増資
③役員退職金の活用
が挙げられます。売却時の各条件により税金対策プロセスも異なるので、しっかり調べて自社に最適な方法を検討してみてください。

譲渡にまつわるトラブルについて


M&Aにはトラブルが付き物です。トラブルは突発的に起こるように見えて、実はディールの初めから起こる小さな綻びや不満が積もり積もって、ある時一気に噴き出す場合が多いのです。
不安な点はその時点で解消していくことがトラブルを防ぐポイントであるのと同時に、事前にどんなトラブルが起こりうるかの知識をつけておき、対策を講じる事も重要となります。

・株主が不明(既に故人になっていたり、経営者が知らない人物になってる場合)
・株券が不足している(株券発行会社に特有の問題)
・オーナーや個人と会社間での契約書が不十分(これまで口約束で進めてきた場合)
その他、DDで会計処理の仕方等もトラブルとして挙がりやすい項目です。
また、契約締結~引渡し間にも株がまとまらない、実施事項が引渡し期日までに完了しない等のトラブルが見られます。

その他
・黄金株が見つかる
・紛争事項や不祥事が発覚する
・簿外負債の発覚
等、引継ぎ後に発覚する場合もあります。どちらかというと譲受企業に影響の大きいトラブルですが、譲渡側の事前確認や契約前のリスク説明を行うべき内容のため、譲渡側でも上記の調査・説明は十分に行いましょう。

その他、トラブルの詳細と対策を下記でご紹介しているので、譲渡を進める際にはしっかり確認しましょう。

M&Aお役立ち資料

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