M&A情報
中小企業M&A、3つの注意点
2022.11.17
最近では中小企業が後継者不足問題の解消や事業拡大のためにM&Aを行うことも珍しくなくなってきました。そこで今回は中小企業がM&Aを行う際の注意点について解説します。
M&Aには多くの人が関わり、多くのお金も動くため、注意すべき点を理解し自分に必要な情報を取捨選択する必要があります。M&Aは契約内容や、成立までのスケジュールなど複雑なプロセスもありますが、今回紹介するポイントを押さえてスムーズにM&Aを進められるようにしましょう。
中小企業のM&A動向
一昔前までは、M&Aは大企業が行うものというイメージがありましたが、今では中小企業においてもM&Aが積極的に行われるようになりました。中小企業のM&Aは事業拡大・経営課題改善のなど自社を成長させる手段として定着しつつあります。また事業承継を目的としたM&Aも多く、後継者不在の解決方法としてM&Aを選ぶ経営者も増加しており、M&Aは必要不可欠な経営技術となってきています。さらに中小企業の経営者年齢の高齢化も年々進んでおり、事業承継時期を迎える経営者も増加している背景からも、事業承継のためのM&Aは今後もさらに広がりをみせていくでしょう。
M&Aを実行するにあたっては、事前準備や社内調整、相手企業や仲介会社との契約内容に関する問題など、最終合意までの全体の流れの中でさまざまな注意点があります。
今回は中小企業の「事業承継」M&Aにおける注意点を3つご紹介します。
注意点1 自社の利害関係者を把握、調整
M&Aを推進するにあたり、自社または自身の利害関係者の(株主、役員・従業員、親族、金融機関、取引先等)は誰かを把握し、事前にどのように調整を行っていくかを検討することは重要なポイントとなります。
株主は直接の利害が絡むため、M&Aを進める前から、どのように了解を得るかを慎重に検討し対策しておくことが求められます。議決権保有比率の高い株主が反対となった場合には、M&Aを進めることが難しくなることもあります。
また、役員・従業員においてはM&Aを実施することで、就労環境が変わるかもしれないという不安等から反対するケースもあります。事前にキーマンである役員・従業員に開示するかも含めて検討をすることが必要となります。
M&Aは利害関係者が多いこと、経営権が移動することや大きな資金が動くことから、より慎重に利害関係者の把握と調整を行うことが求められます。
注意点2 リスク回避のために情報は包み隠さず開示
M&Aにおいて、売り手側の企業は高く譲渡したい、早く譲渡したいといったことから、都合の悪い情報を隠してしまう場合があります。都合の悪い情報の中でも定量面・定性面があり、定量面では「簿外債務」「給与未払(未払残業代)」「粉飾」等、定性面では「労働紛争」「取引先との関係性」等が挙げられます。
買い手側の企業は譲受前にDD(デューデリジェンス)を実施し、DDの際に発覚することもありますが、交渉を進めていく中や譲渡後に発覚するケースもあります。虚偽や隠ぺいは必ず発覚し、最悪の場合は訴訟問題に発展します。
売り手側の企業は情報開示を嘘偽りなく行い、誠実に対応することが買い手側の企業との信頼関係を築くことにも繋がり、後々のリスクを背負わないことにもなります。
注意点3 M&Aを進めるための事前準備
M&Aを進める為の準備として「M&Aの目的をしっかりと確立する」「M&Aの知識をインプットしておく」「余裕のあるスケジュールを立てる」ことをポイントとしてあげます。
M&Aは単純に企業を譲渡する、譲受するといったものではなく、多くの利害関係者が絡み、大きな資金が動きます。また、専門知識も必要となります。
まずは、M&Aの目的をしっかりと確立し、推進することがポイントとなります。企業の譲渡目的が明確ではない場合、M&Aを推進していく中での意思決定に迷いが生じ、上手く推進できない場合があります。そのためにM&Aの目的をしっかりと確立することが必要となります。
M&Aは専門知識、専門用語も多くあり、そのため、様々な専門家(M&Aアドバイザー、税理士、弁護士、司法書士等)との連携を図っていきますが、自身でもM&Aの知識をインプットして推進することが望ましいです。
最後に「余裕のあるスケジュールを立てる」ことについて、企業の譲渡は一生に一度あるかないかの意思決定です。不測の事態により、企業の譲渡検討にかけられる時間が少なくなるケースもありますが、しっかりと検討し判断ができるスケジュールで取り組みをすることが、より良いM&Aの達成に繋がります。
大西 靖彦
コーポレートファイナンスコンサルティング事業部
チーフマネジャー
金融機関にて法人営業に従事し、約10社以上の事業承継を支援。その後、事業会社にて株式上場準備を担い、組織再編や事業戦略構築、ガバナンス強化などの経験を経て、当社へ入社。「誠実に顧客の経営課題と向き合う」をモットーに、収益・財務構造改革や組織再編、PMIコンサルティングなど、幅広く案件を手掛ける。
- 主な実績
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- 次世代グループ経営体制構築コンサルティング
- ホールディング体制設計・構築コンサルティング
- PMIコンサルティング
- 事業再構築及び中期ビジョン策定支援コンサルティング
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