M&A情報
M&A相談先について
-仲介会社、FA会社、士業の違いを徹底解説-
2021.12.09

M&A仲介会社、M&A業務を行う総合コンサルティング会社(FA業務)、金融機関、会計士・税理士、弁護士の違い
M&Aのアドバイザーを検討する際に上記のようなM&A仲介会社、M&A業務を行う総合コンサルティング会社(FA会社)、金融機関、士業(会計士・税理士、弁護士)があげられます。
それぞれメリット・デメリットがあり、自社にあったアドバイザーを検討することが必要になります。例えば金融機関・会計士・税理士・弁護士は普段からの付き合いがあり、相談しやすい先になります。会計士や税理士にM&Aの相談をすることにより、税務や財務といった専門性の高い知識を必要とする手続きがスムーズに行えます。しかしながら、彼らは普段M&Aを専門業務として行わないため、ネットワークには限りがあることが多く、自社の希望する条件を満たした相手先を見つけにくい点やМ&Aの経験値でも不安がある場合があげられます。
相談相手によって得意とするМ&Aの分野や実施が困難な分野は異なります。したがって、М&Aの相談内容に応じて、最適な相手を選ぶことが重要になってまいります。例えば、法律分野なら弁護士、資金調達や資金繰りに関しては金融機関や税理士、М&A全般について幅広く相談したい場合は、М&A仲介会社やFA会社に相談することが良いでしょう。難点として、M&A仲介会社・総合コンサルティング会社(FA)は数が多いので、1社に選定するのに苦労することがあげられます。
M&A仲介会社と総合コンサルティング会社(FA)の違いは下記になります。

М&A仲介かFA(ファイナンシャル・アドバイザー)かどちらが自社に合っているのか
М&Aの交渉における支援の方法には、「仲介」か「FA(ファイナンシャル・アドバイザー)」かの違いがあります。FAは売り手側と買い手側のいずれかとアドバイザリー契約を結び、代理人のような形で顧客のサポートを行います。そのため、М&Aアドバイザーは自身がサポートする顧客の利益を最大化することを目的に業務を行います。
仲介は、両当事者の間に1社が立つ状態になるため、両当事者の意向を汲んだ動きが可能になり、成約スピードが比較的早いという特徴がある一方で、どちら側の味方か分からない状態になるため、利益相反の問題がたびたび取り上げられています。
両者ともМ&Aを成功に導くために尽力してくれる存在であるのですが、仲介であれば、売り手側サイド、買い手側サイドのどちらの立場に立つのか分からないため、心情的に不安な気持ちになることが多くあります。FA(ファイナンシャル・アドバイザー)に依頼するときは、どちらの味方か明白であるため、信頼がおけるというメリットがございます。自社を任せるためには、仲介会社に任せるか、FAに任せるかは慎重な判断が必要になります。コンサルタントと面談を行い、納得する相手を見つけてから御相手探しを頼むようにしましょう。

手数料体系は適切かどうか
手数料体系についても、「譲渡価格」に対しての手数料体系なのか、「総資産」に対しての手数料体系なのか、会社によって違いがあります。また、買い手側と売り手側と立場によって手数料体系が違う場合がありますので、事前に手数料体系については確認することが必要になります。
一般的にМ&Aで手数料が発生する場面には以下のようなものがあります(参考例)。
1.相談料:無料の場合が多い。
2.着手金:概要書の提示時やファイナンシャル・アドバイザリー契約の締結時に必要になる場合があります。支払った着手金は、コンサルタントやアドバイザーが行う調査や情報収集に使われます。支払った着手金は、返金されることはありません。お金を無駄にしないためにも、着手金を無料としているM&A会社を選ぶことは重要です。
3.中間金:成功報酬の一部をディールの途中段階でいただく場合があります。
4.デューデリジェンス費用:買収時の調査にかかる費用です。
5.成功報酬:案件の規模・内容に応じて、「レーマン方式」という成功報酬算出基準に基づき計算する場合が多いです。一般的な算出基準として多くのМ&Aを行う会社で使われています。
【レーマン方式の料率例】
取引価格等 | 手数料率 |
5億円以下 | 5% |
5億円超~10億円以下 | 4% |
10億円超~50億円以下 | 3% |
50億円超~100億円以下 | 2% |
100億円超 | 1% |
同じ「レーマン方式」であっても、料率を掛ける対象が異なります。そのため、成功報酬としてお支払いする金額は、М&Aの会社ごとに異なるので注意が必要です。主に3種類ほどあります。①株価レーマン(株式価額)、②企業価値レーマン(株式価額+ネット有利子負債)、③移動総資産レーマン(株式価額+有利子負債+その他の負債)です。
6.リテイナーフィー:リテイナーフィーとは「月額報酬」のことで、コンサルタントやアドバイザーの活動費となる定額の顧問料です。
7.最低報酬:小規模М&Aの場合、成功報酬だけではМ&Aの成立までにかかるコストを補填できません。そこで、小規模М&Aを取り扱う会社では、最低報酬を設定しているケースが多いです。最低報酬の存在は見落としがちなので、必ず有無や金額を確認したうえで、М&A会社を選ぶようにしましょう。

M&A相談先を選ぶ目安
M&Aの相談先の選び方で、先に述べた特徴や手数料の違い以外のポイントもいくつか紹介いたします。参考にしてみてください。
M&A相談先選びの1つ目のポイントは実績が豊富にあることです。
M&Aを進めるには、複雑なプロセスが多いことから高い専門性が必要になり、経営者自身が全て把握することは難しくなります。そのため、M&A実績が豊富でM&Aに関するネットワークを持ち合わせている相談先がおすすめです。
案件の規模や業界、市場動向によって交渉内容も大きく変わってきます。
そのため、M&A相談先の実績を確認する際に、これまで支援した業界や企業規模など詳細情報を見ておくこともポイントとなります。
自社に近しい企業の支援実績があれば、より的確なアドバイスが受けられる可能性が高くなるでしょう。
M&Aを実施するにあたり、譲渡側の企業価値算定やM&A成約後の事業統合(PMI)など専門的なプロセスがあります。M&A実績や業界の専門性もさることながら、相談先の財務や税務、経営統合など各プロセスごとの専門性についても確認しておくことが大切です。
相談先によってはM&Aアドバイザーに依頼した時点で「着手金」として費用がかかる先と、かからない先があります。着手金の金額もさまざまで、支払った着手金は返金されることはありません。
また成約を約束するものでもないため、まずは、着手金を支払う前にリスクや成約の見込みがあるのかをしっかりと確認する必要があります。
そのため、M&Aを実施するかどうかの検討段階においては、着手金がない相談先を選ぶようにしましょう。

丹尾 渉
執行役員
M&Aコンサルティング事業部長
2017年からM&Aコンサルティング本部の立上げに参画。M&A戦略構築からアドバイザリー、PMIまでオリジナルメソッドを開発。その後5年間で延べ80件以上のM&Aコンサルティングに携わる。「戦略無くしてM&Aなし」をモットーに、大手から中堅・中小企業のM&Aを通じた成長支援を数多く手掛けている。
- 主な実績
-
- 上場企業の新規事業開発を目的とした譲受側M&Aアドバイザリー
- 上場企業子会社の事業戦略からM&Aまで一貫性を持たせた戦略構築
- 上場企業子会社の買収調査のためのビジネスDD、財務DD、労務DD
- 中堅企業の事業ポートフォリオの転換によるビジネスモデル変革支援
- M&Aを初めて実施した中堅企業のPMI支援
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