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事業譲渡・株式譲渡側に有利なM&Aのスキームを解説

2021.06.01

M&Aはスキームの選択により、諸条件やその他の事由が変わってまいります。
特に譲渡側の場合、スキーム選択は手取り金額にも影響が出てまいります。
本コラムでは、スキームで多く採用されている株式譲渡と事業譲渡に絞り、それぞれのポイントを記載させていただきます。

M&Aには多くのスキーム(手法)があるのはご存じでしょうか?
細かく分類すると10個以上のスキームに分かれますが、代表的なのは下記の2つになります。
「株式譲渡」「事業譲渡」です。

中小企業のM&Aは、ほぼ株式譲渡で行われております。売り手側企業は買い手側企業の子会社となり企業として存続するため、承継者がいない場合のM&Aで選ばれることの多いスキームです。
事業譲渡は一部の部門や事業部のみの売買時に選ばれることが多く、不採算部門のみの切り離しや戦略的撤退、買い手側のリスクヘッジなどの場合にはこのスキームが使われます。

M&Aはスキームの選択により、諸条件やその他の事由が変わってまいります。
特に譲渡側の場合、スキーム選択は手取り金額にも影響が出てまいります。
例えば株式譲渡の場合は株の売り主、つまり売り手側オーナー様個人へのお支払いとなります。課税対象は売り手側オーナー様個人の売却益になり、比較的安く済みます。一方事業譲渡の場合、売主は売り手側企業になりますので、対価は売り手側企業へ入ります。さらに、売却の利益に消費税や法人税等の課税もあるため、比較的課税率は大きくなります。
そのため、負債の有無や売却額・会社の状況だけでスキームを選ぶのではなく、オーナー様ご自身の金銭的状況や会社の状況、目的に合ったスキームでM&Aを進める必要があります。

本コラムでは、スキームで多く採用されている株式譲渡と事業譲渡に絞り、それぞれのポイントを記載させていただきます。

株式譲渡のポイント


株式譲渡とは、売り手側が保有する会社の株式を、買い手側へ譲渡し、会社はそのままで経営権を移すことである。一般的には、売り手社長及び親族が100%保有する株式を、買い手側の企業へ売却し、買い手側の100%子会社となるケースが多いです。
1.取引がシンプルであり、簡便である。
株式のみを譲渡するため、会社に所属する従業員の契約や取引先との契約を細かく気にする必要があまりない。
2.現体制をそのままにM&Aが実行できる。
社名や従業員の雇用、取引先、リース契約、金融機関借入など、会社に紐づくものはそのままにM&Aが実行できる。買い手側が上記を全く変えなければ、M&Aが実行されたと気が付かないケースもある。
3.手取り額が高いケースが多い
株式譲渡の際にかかる税金は、約20%となる。事業譲渡と比較すると負担する税金を抑えられるケースが多い。また、譲渡時に社長や親族の役員が退任する場合には、取り決められた譲渡価額の内の一部を役員退職金とすることで、更に税金負担を抑えることができる。


事業譲渡のポイント


事業譲渡とは、売り手側企業の事業の全部もしくは一部を、買い手側企業へ売却することです。この際、売り手側企業の法人格そのものや、譲渡外の事業・資産・負債等は会社に残ることになります。お金の動きは、買い手企業から売り手企業に事業譲渡代金が支払われ、売主個人が得るには会社から報酬・配当等で得ることになります。

1.企業経営は存続し、不要事業・撤退事業がある際はそれを現金化することができる
2.譲渡希望はあるが会社に瑕疵がある場合に、事業譲渡を選択することで売却が可能になるケースがある
従業員への未払残業や、税金未納、訴訟リスク、コンプライアンス問題等がある場合は、法人ごと譲渡をする株式譲渡は買い手側が受け入れないケースが多いが、事業譲渡スキームを選択することにより買い手側のリスクを排除し、譲渡を実行できる可能性がある。
3.売主個人が売却対価を得ようとすると、株式譲渡に比べ少なくなるケースがある
事業譲渡は売却代金が一度会社に入り、利益とみなされる分は法人税の負担がある。更に売主個人が得ようとしたときに、報酬や配当での課税があるため、株式譲渡20%に比べると課税負担が高くなるケースがある。


このコラムの執筆者
小野 樹

小野 樹

M&Aコンサルティング事業部
ゼネラルパートナー

金融機関や会計事務所とパートナーシップを築き、後継者を育成する企画や取引先企業が抱える経営課題とコンサルティングソリューションをマッチングするアライアンス事業を推進。M&A部門の事業化、仕組みづくり、商品開発、実績づくりを行い、大手企業のバイサイド支援から中小・個人企業のセルサイド支援まで幅広い実績を持つ。

主な実績
  • 大手生活品メーカーの同業買収に関するバイサイドFA
  • 中小システム開発会社のM&Aアドバイザリー
  • 中堅建設業の同業買収に関してのデューデリジェンス
  • 地場ゼネコンのM&A戦略構築支援
  • リサイクル関連会社の企業買収に関するセカンドアドバイザリー
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