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人事制度

食品製造業・食品メーカーにおける人事制度構築のポイント

人材の採用難が叫ばれている食品製造業界においては、消費者の健康と安全を守り、目標を達成できる人材の確保と人材づくりが大切である。

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食品製造業・食品メーカーにおける人事制度構築のポイント

他業種とは異なった「食品製造・メーカーに、求められる人事制度」

はじめに ー 食品製造業・食品メーカーにおける人事制度構築について ー

はじめに ー 食品製造業・食品メーカーにおける人事制度構築について ー

食品製造業は、消費者の健康と安全を守るために、HACCPのような高い品質基準を維持しつつ、人材を確保し生産体制を確立することが求められる。このような業界特有のニーズに応えるためには、適切な人事制度の構築が必要不可欠である。
本編では、食品製造業における人事制度構築のポイントについて、成功例と失敗例を交えながら、人事制度のあるべき姿を解説する。

食品製造・メーカーにおける人事制度構築のポイント

食品製造・メーカーにおける人事制度構築のポイント

1.キャリアパスと評価制度

食品製造業は、品質管理や衛生管理が重要な業界である。人事制度には、これらの管理業務に必要なスキルや知識を評価する仕組みを組み込むことが重要である。例えば、品質管理に関する専門知識を持つ人材を適切に評価し、キャリアパスを明確にすることである。

2.柔軟な雇用条件と働き方

昨今の人材不足や採用難に加えて、食品製造業は季節や需要に応じて生産量が変動するため、柔軟な雇用形態が求められる。シフト制やパートタイム勤務の導入、職種によってはリモートワークの活用など、社員のライフスタイルに合わせた働き方を提供することが人材の確保につながる。

3.多様性とインクルージョンの推進

食品製造業界では、労働力不足を補うために外国人労働者の活用が進んでいる。多様な文化背景を持つ外国人労働者を効果的に活用するためには、言語サポートや文化理解を促進する取り組みが必要である。筆者が担当する沖縄のクライアント先では、多言語対応のマニュアル動画や研修動画の整備、異文化理解を深めるための日本人向けの研修などを行っている。

4.社員のモチベーションアップ

社員のモチベーションを高めるためには、適切な評価制度と賃金制度が重要なポイントとなる。営業職や開発職は、成果に基づくインセンティブや、製造や品質管理はスキルアップを支援する研修制度を導入することや資格手当を設けることで、社員のやる気を引き出すことができる。また、定期的なフィードバックを通じて、社員の成長をサポートし、組織への貢献を実感させることもやりがいやモチベーションを高める重要なファクターとなる。

上手くいっていなかった人事制度の運用(失敗例)

上手くいっていなかった人事制度の運用(失敗例)

事例1: A社の全職種統一の評価制度

A社は、職種に関係なく統一した評価制度を導入した結果、社員の納得性が低い評価となっており、モチベーションが上がらない仕組みとなっていた。すべての社員を同一の基準で評価したため、個々の業務内容やスキルが正当に評価されず、不満がアンケート結果に表れていた。これまでに優秀な人材の流出があり、製造業としての企業力は低下傾向であった。

事例2: B社の一律昇給型賃金制度

同社は、社員の公平性を重視し、一律昇給型の賃金制度を採用していた。これは、勤続年数に応じて賃金が上昇する仕組みであり、当初は社員から一定の支持を得ていたようだが、優秀な社員や一生懸命働き努力をしている社員などのモチベーションは低下し、退職者が出るようになっていた。

採用と人事制度とダイバーシティを実現した成功例

採用と人事制度とダイバーシティを実現した成功例

事例1: C社の採用戦略と賃金・評価制度を連動させた人事戦略

C社は、業界特有のスキルを持つ人材をターゲットにした採用戦略を行っている。具体的には品質管理や衛生管理に関する専門知識や商品開発等で実績を持つ人材をターゲットとし採用活動を戦略的・計画的に展開。製造ラインごとの生産効率やロス率、品質基準の達成度を評価基準に組み込み、個人およびチームの成果に応じたインセンティブ(賞与に反映)を支給する仕組みを構築した。合わせて、スキルを評価するための明確な基準を設定した。また、人事制度成功のポイントは、管理職の理解とヒューマンスキルの工場が最重要ポイントであるため、目標設定と考課者トレーニングを年に3回取り組み、以前と比較するとうまく運用ができるようになり、会社の業績も順調に伸びている。

事例2:外国人労働者を活躍させる取り組み

D社は、外国人労働者の能力を活かし、幸せになって欲しいというトップの思いもあり、賃金制度や評価制度は、国籍に関係なく統一した制度運用を行っている。また、社外への研修派遣も日本人と同様とし、社員600名の内200名が外国人であるが、高いモチベーションで取り組んでおり、仕事のパフォーマンスも良い。また、外国人労働者が安心して働けるよう、相談窓口も設けている。このような取り組みから、外国人労働者からの評判も上々で(一種のブランディング効果である)、彼らのコミュニティ内の人脈で人材を引っ張てきたりと、採用活動にも活きている好事例である。ちなみに、社員間で切磋琢磨する組織風土の醸成にもつながっている。

さいごに

食品製造業・食品メーカーにおける人事制度構築は、業界特性を理解し、キャリアパス・賃金制度・評価制度を整備するとともに、柔軟な労働環境を提供して、社員のモチベーションを高めつつ、多様性を受け入れ、採用にも活かしていくことが重要である。成功例から学び、失敗例を教訓とすることで、自社の生産性向上と組織風土にマッチした人事制度を構築し、企業競争力を高めていただきたい。

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