人事コラム
人事制度

人事制度の見直しにおける基本的な考え方について

給与体系を見直し従業員の不満や給与に対する満足度を向上させましょう。

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人事制度の見直しにおける基本的な考え方について
給与体系の見直しの背景と目的について

給与体系の見直しの背景と目的について

大前提として人事制度は、等級制度、評価制度、賃金制度の賞与やインセンティブの仕組みですが、人事制度の根幹には、経営理念があります。経営理念を実現するために「目標・戦略」を立て更に「目標・戦略」を達成する人事ビジョンを考えます。人事制度はその人事ビジョンを達成するための手段となります。正しい評価がなされ、誰もが納得できる賃金に落とし込むことで社員のモチベーションに繋がります。等級・評価制度で、部下をあるべき姿に育成し、賃金制度でモチベーションをアップさせ、その結果、経営理念を実現する、これがトータル人事システムであり、タナベコンサルティングが設計する基本的な考え方になります。

その上で今回のテーマである給与体系の見直しですが、単に賃金をあげることだけが目的ではありません。従業員が自分の給与に納得し、会社の方針に対する理解を深め、長期的なキャリアの中でモチベーションを持ち続けられることが重要です。この点から以下のポイントが見直しの主な目的として挙げられます。

(1) 従業員の不満解消

従業員が給与に不満を感じている場合、業務への集中度やモチベーションが低下する可能性があります。不満が溜まると離職につながり、企業にとっては人材の流出が深刻な問題となります。適切な給与体系の整備は、不満の解消につながります。

(2) 基本給と手当のバランス

多くの企業では基本給に加えて様々な手当を支給していますが、その割合や目的が不明確な場合、従業員にとってはわかりにくい構造となり、不満の原因となることがあります。基本給を基盤として適切な手当を付与することで、給与体系全体の透明性と納得感を高めることが重要です。

(3) 従業員満足度とモチベーションの向上

給与体系を見直すことで従業員の満足度を高め、仕事に対するモチベーションを向上させることができます。満足度の向上は従業員の成長意欲を促し、結果として企業の成長にもつながります。

(4) 企業成長と人件費の適切な配分

企業が成長する過程では、人件費が膨らむこともありますが、これをうまく管理しながら従業員に還元する方法を考える必要があります。成長に伴って給与体系を柔軟に見直すことで、人件費を効率的に配分し、従業員の納得感を高めることができます。

基本給と手当の見直し

基本給と手当の見直し

給与体系の中心となる基本給は、従業員にとって安定した収入源であり、生活の基盤ともなります。そのため、基本給の決定は慎重に行う必要があります。また、手当の付与についても、業務内容や個々の貢献度に応じて公正に配分されることが重要です。

(1) 基本給の決定方法

基本給は、職種や職務内容、経験やスキルレベルに基づいて決定されるべきです。多くの企業では年齢や勤続年数に基づいた給与設定を行っていますが、最近では成果主義や職能給を取り入れる企業も増えてきました。従業員が自分の能力や業績に見合った報酬を得られるような基本給の設定が、満足度向上につながります。

(2) 手当の種類と目的

手当には、役職手当や資格手当、住宅手当、通勤手当などがあります。これらの手当は基本給と併せて支給されることで、従業員が必要とする経済的支援を提供します。しかし、手当が多すぎると給与体系が複雑になり、逆にわかりにくくなる場合もあります。そのため、手当の種類や金額についても定期的に見直しを行い、実情に合わせた適正な付与が求められます。

(3) 人事評価制度と連携した給与体系

給与体系の見直しにおいて、従業員の評価制度との連携が欠かせません。評価制度が透明かつ公正であることは、給与に対する不満を解消し、納得感を高める重要な要素です。従業員が自分の評価と給与の関係を理解できるよう、給与体系と評価制度の整合性を図ることが求められます。

従業員の満足度とモチベーション向上のための施策

従業員の満足度と
モチベーション向上のための施策

従業員の満足度向上には、給与だけでなく福利厚生やワークライフバランスの充実も重要な要素となります。以下の施策により、従業員が安心して働ける環境を整えることができます。

(1) ワークライフバランスの推進

ワークライフバランスが整っていることは、従業員の生活の質を高め、働きやすさに対する満足度を向上させます。フレックスタイム制やリモートワークの導入、有給休暇の取得推進など、柔軟な働き方を提供することで、従業員が仕事と生活を両立しやすい環境を整えます。

(2) 福利厚生の充実

従業員にとって働きやすい環境を提供するためには、福利厚生の充実が欠かせません。健康保険や退職金制度、産休・育休制度の充実に加え、社内イベントや教育支援制度など、従業員の成長を支援する福利厚生が重要です。

(3) キャリアパスの明確化

従業員が長期的に働く意欲を持つためには、キャリアパスが明確であることが重要です。昇進・昇格の基準を明確にし、従業員が自分の将来像を描けるような支援を行うことで、モチベーションの維持・向上が期待できます。

さいごに

~人事制度は仕組みでしかない~

人事制度はあくまで仕組みの一部であり、それ自体が目的ではありません。重要なのは、その仕組みをどう運用し、従業員の成長と企業の発展にどう結びつけるかです。制度を効果的に活用し、従業員一人ひとりが自分の価値を発揮できる環境を整えることこそ、企業の成長を促す鍵となるでしょう。

この課題を解決したコンサルタント

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