経営者・幹部・リーダーこそマインドセットから始めよう。
マインドセットとは
マインドセットとは、自分自身のもっている考え方のクセ、受け止め方、習慣、心理状態のことを指す。
これまでどのような教育を受けてきたか、これまでどのような人と出会い、導かれてきたか、今日までのあらゆる体験が"今"のマインドセットをつくりあげており、各人の習慣と密接に関係している。
従来のマインドセット(受け止め方)からは従来通りの結果しか生まれにくく、新たなマインドセット(受け止め方)によって、新たな結果が生まれやすくなる。【図表1】
【図表1】
特に、経営者・幹部・リーダーお一人お一人のマインドセットはご自身の成長は当然ながら、組織にも大きく影響を 及ぼすため、昨今はエグゼクティブクラスの教育・学習領域として注目を集めるようになっている。

個人と組織人と組織のマインドセット
マインドセットは大きく3区分で見ていくことができる。
1つ目の区分は組織のマインドセットである。
組織のマインドセットの構成要素は①パーパス(理念)、②ビジョン、③過去の経営判断、④コミュニケーション環境等から成り、今の組織のマインドセットとを形成していると言える。
2つ目の区分は個人のマインドセットである。
個人のマインドセットの構成要素は①過去に受けてきた教育、②蓄積された価値観、③過去の経験、④生まれつきの性格特性、⑤時代の影響等から成り、今の個人のマインドセットを形成していると言える。
3つ目の区分は組織人としてのマインドセットである。
組織人のマインドセットの構成要素は①当事者意識、②オーナーシップ、③ミッションフィット、④バリュー体現等から成り、今の組織人のマインドセットを形成していると言える。
(アイランドクレア吉田社長の全員経営者マインドセットより一部引用)
今回は、上記の組織人としてのマインドセットの中でも特に経営者・経営幹部層が身に付ける価値あるマインドセットについて、ポイントを絞ってご紹介していきたい。

ビジネスにおけるマインドセットの重要性
ビジネスにおけるマインドセットの重要性は非常に大きく、個人・組織問わず、行動や決断、そして結果に大きく影響します。
成功を収めるビジネスパーソンは、一般的にポジティブで柔軟なマインドセットを持っており、失敗を恐れず、継続的な学習と成長の機会と捉えることができます。
ビジネス環境は常に変化しており、競争が激しく、不確実性が高いため、このような環境下で成功するためには、変化に適応し、柔軟に対応する能力が必要です。マインドセットは、この適応力を形作る基盤となるため、困難に直面した際も、乗り越えるための解決策を見つけることができるようになります。
また、マインドセットはチームワークやリーダーシップといった組織行動にも影響を及ぼします。経営者や幹部の考え方はチームにも浸透し、組織全体のイノベーションと生産性を高める文化の醸成につながります。一方で、マインドセットを重要性を理解されない経営者や幹部の場合、リスクを避け、現状を維持する傾向があり、組織の成長を阻害する可能性があります。
最終的に、ビジネスにおけるマインドセットは、個人の成功はもちろん、組織の成長と繁栄においても決定的な役割を果たします。ポジティブで柔軟なマインドセットは、挑戦を受け入れ、持続可能な成功を実現するための基盤となります。

経営者に必要なマインドセットとは
成功を収める経営者には、特有の経営者マインドが不可欠です。
経営者マインドとは、事業を成功に導くための思考や姿勢を指します。経営者マインドは、企業の方向性を決定し、チームを牽引する力となります。具体的にどのようなマインドセットが求められるのでしょうか。
まず、経営者は常にビジョンを持ち、それを実現するための戦略を練るべきです。将来の企業像を明確に描き、それに向かって進む姿勢が、組織全体にポジティブな影響を与えます。また、リスク管理能力も重要です。不確実なビジネス環境の中で、リスクを見極め、適切に対処する力は経営者マインドの核と言えるでしょう。
次に、経営者には柔軟性も求められます。市場や技術の変化に迅速に対応し、組織を変革できる能力が、競争優位性を保つ鍵となります。さらに、コミュニケーション能力も不可欠です。幹部や従業員との効果的なコミュニケーションによって、組織の士気を高め、チームワークを促進します。
最後に、持続可能な成長を目指す経営者マインドは、社会的責任を重んじる姿勢も必要とします。企業の利益追求だけでなく、環境保護や社会貢献にも配慮した経営を心がけることで、長期的な信頼関係を築くことができます。
経営者・幹部が持つべきマインドセットは、ビジネスの成功はもちろん、企業の持続可能性にも大きく寄与します。経営環境において、これらのマインドセットを身につけ、実践することが、企業の成長と社会への貢献へと繋がります。
経営者・経営幹部が身に付ける価値あるマインドセット
1.ABCD理論
ABCD理論とはアルバートエリスが提唱した論理療法であり、A(出来事)がC(結果)をつくっているのではなく、A(出来事)に対するB(受け止め方)がC(結果)をつくっているという理論である。
出来事という過去を変えることはできないものの、我々は受け止め方であれば幾らでも、変えることができる。
このことを正しい論理に導くD(論駁)と表現することができる。【図表2】
【図表2】
経営者・幹部として日々あらゆる問題やトラブル、壁に直面する状況下において、どう受け止めていくかが鍵となる。
2.影響の輪を活かす
我々を取り巻く日常には、①関心の輪(各人が関心を持っている事柄)と②影響の輪(自分に影響がありコントロールできる事柄)の2種類が存在する。(スティーブン.R.コヴィー博士の「7つの習慣」より引用)
関心の輪とは明日の天気・自然災害・国家情勢に始まり、部下の態度(対応)や他人の価値観、他人の言動等が該当する。
一方、影響の輪は自分の言動や自分の価値観、自身の他者に対する接し方や自身の感情のコントロール(アンガーマネジメント)など、その矛先はすべて自分を向いている。
我々は無意識に関心の輪に対する興味を持ちやすいが、極論、明日の天気も他人の価値観についても、我々が今日明日でどうこうできる問題ではない。
経営者・幹部にオススメなのは、自分自身の影響の輪に意識を持っていくことである。過去と他人は変えられない。変えられるのは自分自身とその結果としての未来である。(精神科医 エリック・バーンより)それほどに、経営者・幹部が変わっていくことの影響は大きい。
3.感情コントロール
最後に感情のコントロールについてご紹介する。経営者・幹部必見のマインドセットである。
皆様は部下や社内メンバーに対して、叱ったり、怒りを表したことはないだろうか。この"怒り"というのは第二感情であり、第一感情には必ず"期待"が存在する。その存在を無視して、単に沸き上がった感情を部下や社内メンバーにぶつけても、根本的な解決には至らない。大切なことは、第一感情を目を向けることである。「Aさんだったらこれくらいやってくれるだろう。」「Bさんだったら、このタイミングで動いてくれるだろう。」「Cさんだったら、こういうサポートをしてくれるだろう。」これらはすべて第一感情であり、この感情を素直に伝えていく方が、効果的であると言える。【図表3】
【図表3】
その他にも経営者・幹部必見のマインドセットアプローチは多数存在する。
前段の記述通り、テクニカルな教育・学習も勿論重要であるが、経営者や幹部が一番最初に吸収していく価値ある
領域がマインドセットであると言える。これを機に各社の教育・学習の現場に落とし込んではどうだろうか。
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この課題を解決したコンサルタント

タナベコンサルティング
HRコンサルティング事業部 エグゼクティブパートナー浜西 健太
「誰もが幸せに働ける会社を生涯かけて追求する」をポリシーに、組織・人事に関するプロフェッショナルとして多くのコンサルティングを展開。 特に、経営者へのコーチングが高い評価を得ている。 クライアントのステージに合わせた人事制度設計および組織開発を通して、エンゲージメント向上と売上倍増へと導いた経験を多く持つ。
- 主な実績
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- 大手IT業:人事制度再構築コンサルティング
- 大手建設業:人事制度再構築コンサルティング
- 大手卸売業:人事制度再構築コンサルティング
- 中堅美容業:人事制度再構築コンサルティング
- 中堅介護福祉業:人事制度再構築コンサルティング
- 中小製造業:中期ビジョン策定コンサルティング
- 中小サービス業:マーケティングコンサルティング
- 中小製造業:マーケティングコンサルティング
- 中小サービス業:採用コンサルティング


