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人事制度

介護・福祉業界における人事評価の事例

介護・福祉業界における人事制度構築のポイント

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介護・福祉業界における人事評価の事例

自社の言葉で表現したオリジナル人事評価制度

介護・福祉業界における現状と課題

介護・福祉業界における現状と課題

介護・福祉業界において人材確保は継続的な課題である。社会的意義や業界の将来性について共感する社員が多いものの、一方で愛社精神などの「ここでなければ」「この仲間とともに」というエンゲージメントが低い傾向を感じる。当業界数社に話を聞くと、同エリアの給料が良いところへジョブホッピングすることが当たり前になっているそうだ。
人材を確保すべく、高い給与水準の求人を出すことも一つの手段であるが一過性の対策となってしまうため、根本的には、現メンバーのモチベーションやエンゲージメントを高めることで離職を防ぎ、長く働き続けてもらえる体制をつくることも同時に目指したい。

介護・福祉業界での人事評価制度の重要性

介護・福祉業界での人事評価制度の重要性

介護・福祉業界における人事評価制度は、組織の健全な運営とサービス品質向上に不可欠である。介護の現場では、スタッフ一人ひとりのスキルやモチベーションがサービスの質に直結するため、適切な人事評価制度を導入することで、スタッフの成長を促し、組織全体のパフォーマンスを向上させることが可能となる。
介護業界の人事評価制度は、単なる給与評価にとどまらず、スタッフのキャリアパスを明確にし、目標達成に向けた具体的なフィードバックを提供することが求められる。スタッフは自分の役割や期待される成果を理解し、自身の成長に対する意識を高めることができ、また、人材の定着率が向上し、組織の安定性が確保され、評価制度が透明で公平であることは、スタッフ間の信頼関係を築く上でも重要で、組織全体の協力体制が強化され、より質の高いサービス提供が可能となる。
上記の理由で介護・福祉業界での人事評価制度は、スタッフの成長と組織の発展を支える重要な要素であると言え、適切な評価制度を導入し、運用することで、組織全体のパフォーマンスを向上させることが可能となる。

介護・福祉業界における評価基準とは?

介護・福祉業界における評価基準とは?

当業界幹部に、重視する評価項目について尋ねると、口をそろえて「人間性」と言う。人に対するサービスを直接提供することから、まごころや愛情といった目に見えにくい要素を求めているケースが多い。また、測りにくい要素であるために、個人の頑張りや取り組み姿勢が見えていないことも課題としてよく聞かれる。
評価項目・評価基準を設定する際のポイントは、まごころや愛情といった要素を自社の言葉におき直すことである。どんな姿勢・行動をまごころとするのか、愛情とするのか、ぜひ幹部・ベテラン・若手で話し合っていただきたい。求める人間性をうまく体現しているコンピテンシー社員にヒアリングするのも手だろう。一般的な言葉で表現する分かりやすさはあるものの、「まごころ」などの言葉のイメージやレベルの認識は個人によって異なる。その中でも「なんとなく共通している認識」それこそが自社のブランドであり、強みであるはずである。自社が提供する価値や人材力を正しく言語化し、社員に評価制度を通して発信することで、自社の活動に共感してくれる社員は現れる。結果として、「ここでなければ」「ここだから働きたい」という姿勢を示す社員は、管理者や幹部になる素養を持ち自社を牽引する頼もしい存在となるだろう。

介護業界の人事評価制度の導入ステップ

介護事業者が具体的にどのように人事評価制度を導入すべきか、そのステップを紹介する。

・ステップ1: 目的の明確化
まず介護事業者は人事評価制度の導入目的を明確にする必要がある。例えば、職員のスキルアップ、離職率の低減、サービス品質の向上などが挙げられる。これにより、評価基準や評価項目が具体化しやすくなる。

・ステップ2: 評価基準の設定
次に、評価基準を設定する。介護業界特有のスキルや知識、例えば介護技術やコミュニケーション能力などを評価基準に含めることが重要である。これにより、職員の専門性を正確に評価できるようになる。

・ステップ3: 評価方法の選定
評価方法も重要なポイントである。定量的な評価(数値で表せるもの)と定性的な評価(観察やフィードバックによるもの)をバランスよく組み合わせることで、公平で納得感のある評価が可能となる。

・ステップ4: フィードバックの実施
評価結果を職員にフィードバックすることも忘れてはいけない。フィードバックを通じて、職員は自身の強みや改善点を理解し、今後の成長に繋げることができる。

・ステップ5: 継続的な見直し
最後に、人事評価制度は一度導入したら終わりではない。定期的に見直しを行い、制度が現場のニーズに合っているかを確認し、必要に応じて修正を行うことが重要である。

介護業界における人事評価制度の導入は、適切なステップを踏むことで職員のモチベーション向上やサービス品質の向上に大きく寄与する。法人として、しっかりと計画を立て、実行していくべきである。

介護・福祉業界における人事制度の導入事例

介護・福祉業界における人事制度の導入事例

関西(大阪)のA社は地域に根差した福祉企業である。同社は、特別養護老人ホーム・ショートステイ・グループホーム・デイサービス・看護小規模多機能型居宅介護等の介護サービス全般のほか、就労移行支援・事業所内保育園運営を展開する。A社より初めに聞いた課題は「評価制度が正しく運用できていない」ということであった。職種が多岐にわたることから、当時評価制度は個人目標設定にて運用されていた。しかし、何をもって目標とするのか、そもそも目指す(期待する)姿はどこなのかが明確になっておらず、社員の中には「事務所のデスクを整理整頓する」「10キロ痩せる」というような、自身の業務やキャリアに関連しない目標設定を通年実施しているメンバーがいた。また、管理者・リーダーはバラバラな個人目標に対して個別にフォロー・サポートができないため、半年に一度思い出して評価する実態があった。
そこで、新評価制度では、各職種別・等級別に目指す姿やスキルを設定し、段階的に成長していく姿を項目別に明確に定めた。この時のポイントは前述した「自社の言葉で表現する」である。どんな行動がわが社らしいのか、ベテラン社員を中心に延べ30時間以上をかけてヒアリングし言語化していった。その結果、新人が見ても分かりやすく、上位等級のメンバーがどんな事を意識すべきか、どんなスキルを持っているべきかが明確になった。副産物としては、ベテラン社員に求める姿をヒアリングしたことで、彼らが若手社員や新人メンバーに対してどんな声掛けをするべきか考えるきっかけとなり、コミュニケーションが密になった。また、自分自身がこれからも活躍できるようにレベルアップしなければというモチベーションにもつながったと聞く。それが結果として役職や賃金に繋がり、適切な定着に繋がっているのである。
「人間性」という目に見えにくい要素を評価するからこそ言語化し、社員同士がコミュニケーションを取ることが必須である。社会的に意義のある業界だからこそ、ここで働き続けたいと思える制度設計・運用を目指したい。

まとめ

介護・福祉業界における人事評価制度の重要性や導入事例を紹介しました。

介護・福祉業界における人事評価制度は、スタッフのモチベーション向上やスキルアップ、サービス品質の向上に直結する。適切な評価は従業員の満足度を高め、離職率の低減にも寄与する。また、公正な評価を通じて組織全体の信頼性を確保し、利用者に対するサービスの質を維持・向上させるためにも不可欠である。

タナベコンサルティングでは、高い専門性を有するコンサルタントが理念・戦略・文化・ブランド・採用競争力・評価・給与連動などの多面的要素を含めて、オリジナルな人事制度・人事評価制度の構築を支援する。

自社の人事制度・人事評価制度でお困りの企業はぜひ、お問合せいただきたい。

この課題を解決したコンサルタント

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