個別のスキル管理を通じて強みと弱み(課題点)を把握し、
人材育成へと繋げる
スキル管理とは?
スキル管理とは社員一人ひとりが実務や研修・自己研鑽等で身に着けた能力を一元管理し、人事情報としていつでも確認できる仕組みを指す。個人ごとのスキルの習得レベルを管理できるため人事異動、配置転換、育成計画など組織戦略や人材戦略においても活かせることができる。とはいえ多くの企業でスキルや能力取得を推奨しているものの、どういったスキルが身についているのか管理する仕組みまで構築しているケースは少ない。本コラムではスキルを管理していくうえで必要不可欠なスキルマップの構築ポイントから管理方法まで解説する。
スキルマップの構築ポイントと管理方法
1.スキルの項目設定
まず第一に職種や資格等級別の役割からあるべきスキルを設定していただきたい。スキルを設定においてはアメリカの社会心理学者であるロバート・カッツ(Katz, Robert L.)による「カッツ理論」にて提唱されるテクニカルスキル(技能能力)、ヒューマンスキル(対人関係能力)、コンセプチュアルスキル(概念化能力)にて整理することを推奨する。ヒューマンスキルやコンセプチュアルスキルは資格等級を軸にある程度共通に設定できるが、テクニカルスキルについては職種別に設定しているケースが多い。そのためテクニカルスキルについては実際に業務に従事している現場担当者と共に進めていただきたい。また、絵に描いた餅に終わらないためにも単にスキル項目を設定するだけではなく、どのような方法(OJT・OFF-JT)で習得できるのかもある程度想定した上で設定いただきたい。
2.評価基準の設定
スキルマップ習得を図る上で2つの基準設定パターンが考えられる。
パターン①:スキル習得のみ評価
それぞれのスキルが習得できているか否かのみを評価するパターンである。具体的には習得済みであれば"〇"、未習得であれば"×"をつけるシンプルな設計であり、スキルの項目数が多い場合は馴染みやすい。
パターン②:スキル習得×スキル別熟練度を評価
それぞれのスキルを習得できているか否かではなく、熟練度(習得レベル)を評価するパターンである。例えば、「1点:未習得、2点:習得済み、3点:教えることができる」のようにスキル一つ見てみても単に〇・×ではなくスキルの深さ(習得レベル)を測ることで評価の納得性や、習得状況について詳細に把握することができる。
しかし、スキル一つひとつに検討が必要であり時間を要し、管理が煩雑になる可能性があるため、項目数に応じて検討いただきたい。
3.スキル管理方法
社員のスキル管理を行う上ではエクセルや紙媒体等で管理しているケースも多いが、効率的な運用に向けタレントマネジメントシステムの導入も検討いただきたい。また、上司と部下間でスキルの習得状況が常に共有されているのが理想であり、習得状況に基づき育成計画(スキル習得計画)を立てることがスキル管理の価値を高める。
まとめ
習得したスキルを見える化していくということは結果的に部下の成長を定点的に測ることであり、部下にとっても成長実感やモチベーション向上へと繋がる。また、スキルを軸にした強みと弱み(課題点)を把握することになり、人材育成計画にも活かすことができる。そのため、スキルの評価は半期もしくは1年間で見ることが多いが、評価するタイミングだけではなく、評価期間中の持続的サポートにより習得できる状態を目指していただきたい。
この課題を解決したコンサルタント
タナベコンサルティング
HRコンサルティング事業部
チーフマネジャー山中 惠介
- 主な実績
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- 大手小売業向け人事制度構築コンサルティング
- 製造業向け退職金制度再構築コンサルティング
- 建設業向け定年延長制度設計コンサルティング
- 飲食業向け人事制度構築コンサルティング
- 製造業向け人事制度再構築コンサルティング
- 中堅製造業教育カリキュラム再構築コンサルティング
- 福祉法人人事制度再構築コンサルティング
- 学校法人人事制度再構築コンサルティング