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M&A戦略とは?
立案プロセスやフレームワークをご紹介

2025.08.27

M&Aはシナジー効果を創出し、これまでに実現できなかった経営を実現します。自社のオーガニックな成長のみで描く未来ではなく、M&Aを活用することで飛躍的な成長や新たな事業展開も描くことができます。

今回はM&A戦略とは何か、戦略立案プロセス、戦略策定のためのフレームワーク、目的別の戦略のポイントを解説します。

M&A戦略とは?


M&A戦略とは、M&A後の売却・買収まで見据えたM&A全体の戦略を指します。

自社がM&Aを通じて達成したい経営目標や創出したいシナジーを明確にしたうえで、いつ・どの領域で・どの規模の案件を実行し、その後、どのように統合していくか、包括的な方針・計画を立てます。

M&Aの戦略立案プロセスをステップで解説


M&A戦略は、次のようなステップを踏んで進めていくことで、最適な戦略立案につながるでしょう。

1.自社の課題分析
まずは自社の課題を分析し、現状を把握します。経済資源や財務状況、成長性、弱みとなることなどあらゆる角度から把握します。

分析手法の一つにSWOT分析のフレームワークがあります。

SWOT分析では、自社の内部環境である強み(Strength)と弱み(Weakness)、外部環境である機会(Opportunity)と脅威(Threat)を通じてポジティブな側面とネガティブな側面の両方を把握します。

2.市場調査とM&Aの目的策定
市場調査を行い、シェアや市場規模、競合他社の状況など、現在の状況を正確に捉えた上で、今、自社はどの方向へ向かうべきかを把握します。
その上で、M&Aの目的を策定します。

●M&Aの目的例
・事業承継の実現
・既存事業領域の買収による経営基盤の強化
・周辺事業領域の買収によるシナジー効果の獲得
・海外進出の基盤作りなどエリア展開

このとき、M&A達成後に得られる状態も目的に含めておくことが大切です。例えば従業員の雇用を守る、自社の独立性は保つなどです。

3.戦略立案
目的を達成するにはどのような譲渡相手や買収相手が必要で、どのような手法でM&Aを達成するのかを決めます。
この時点でM&Aの専門知識が求められるため、専門家に相談するのも一案です。

4.M&A相手先の企業リスト作成
M&Aの相手先の企業の複数候補を上げて、その中から選定していくため、まずはリストを作成します。
10社以上を選定し、そこから目的や条件に照らし合わせながら絞り込みます。
候補先選定の基準としては、戦略・目的に合致した事業内容、活動地域、顧客特性、従業員数、固有技術などが挙げられます。各戦略により異なりますので、自社の関連事業部と相談して進めるか、コンサルタントに依頼するのもよいでしょう。

5.候補企業へのアプローチ
リスト化した候補企業へアプローチしていきます。アプローチにあたっては、前提となる戦略や目的を分かりやすくまとめ、相手方へのメリットも享受できるよう整理します。また、どのような条件だと納得を得られるかというスキームの点も検討が必要です。
アプローチにあたっては、自社から直接話をするパターンと、金融機関や提携先、M&A仲介やコンサルティング会社に委託するなど様々なパターンがあります。

M&A戦略策定のためのフレームワーク


M&A戦略策定を進めるのに役立つフレームワークを3つご紹介します。

●バリューチェーン分析
自社の事業の機能別に価値を分析し、自社の強みと弱み、改善点を把握する手法です。
例えば主活動のうち、購買物流、製造、出荷・物流、販売・マーケティング、サービスそれぞれの機能においてどのような価値が創出できているのかを調査・分析します。

●アンゾフの成長マトリクス
M&A達成後に自社がどのような成長戦略を取るべきかの検討材料になります。

成長戦略を「製品」と「市場」に分け、さらに「既存」と「新規」に分類し、それぞれを組み合わせると次の4つの戦略が浮かび上がります。

アンゾフの成長マトリクス

出所:タナベコンサルティングにて作成

●ポーターの競争優位の戦略
自社の競争力を高めるために下記のような戦略を把握することで、M&Aを通じてどのような戦略を取っていくべきかの検討材料になります。
差別化戦略:競合とは異なる特別な要素を持ち、付加価値によって顧客に選ばれやすくする。

コストリーダーシップ戦略:競合よりも安く販売・サービス提供する。

集中化戦略:対象市場を特定ターゲットに絞り、差別化/コストリーダーシップ戦略をとる。

M&Aの目的別の戦略のポイント


M&Aの目的別に、戦略を立てるときのポイントをご紹介します。

●売却側の目的別の戦略のポイント
・事業承継:従業員の雇用や経営方針の維持などの希望条件によって最適な手法やプロセスを検討する。経営者自身が引退するために、自身が行っている業務や権限を棚卸ししておき、M&A後の体制で必要なことをおさえる。

・事業拡大:譲渡先企業の事業規模や事業内容を把握し、自社の事業展開の方向性と合っているかを確認する。自社が目指す成長の姿と現状のギャップで不足する経営資源を持っている企業を探し、かつ譲渡先企業の成長の方向性が合致していれば双方が協力、補完し合いながら成長できる可能性が高い。上場企業のIR資料などを調べることが有効である。

・事業の整理:不採算事業など一部の事業のみ切り離して考え、譲渡することで中核事業など稼げる事業に経営資源を集中する方法もある。

●買収側目的別の戦略のポイント
・コスト削減:コストシナジーを検討する。製造プロセスの共有、共同仕入れ、物流の統合など。

・シナジー効果の獲得:売上シナジー、コストシナジー、財務シナジー、組織シナジーなどシナジー効果の種類と期待するものを吟味する。

・海外進出の足がかり:国境を越えたクロスボーダーM&Aを検討する。現地の経済成長率や政治状況、とりまく法などの調査を十分に行い、シナジー効果を分析する。

まとめ


M&Aは戦略を綿密に立てて実施することが重要です。戦略策定にはさまざまなフレームワークを活用し、自社やM&A相手、市場をあらゆる角度から分析し、目的達成のために方向性を定めることが鍵となります。

戦略策定および相手先企業の選定・交渉には、専門家を活用することが有効です。

タナベコンサルティングでは、貴社の目的と条件に応じたM&Aコンサルティングをご提供しております。

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どのようなお困りごとでも、まずは一度お気軽にご相談ください。

このコラムの執筆者
小野 樹

小野 樹

M&Aコンサルティング事業部
ゼネラルパートナー

金融機関や会計事務所とパートナーシップを築き、後継者を育成する企画や取引先企業が抱える経営課題とコンサルティングソリューションをマッチングするアライアンス事業を推進。M&A部門の事業化、仕組みづくり、商品開発、実績づくりを行い、大手企業のバイサイド支援から中小・個人企業のセルサイド支援まで幅広い実績を持つ。

主な実績
  • 大手生活品メーカーの同業買収に関するバイサイドFA
  • 中小システム開発会社のM&Aアドバイザリー
  • 中堅建設業の同業買収に関してのデューデリジェンス
  • 地場ゼネコンのM&A戦略構築支援
  • リサイクル関連会社の企業買収に関するセカンドアドバイザリー
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