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失敗しないM&A統合!
PMIとは?現場で陥りやすい問題点と対処法

2025.11.07

PMI(経営統合)とは


買収後に企業文化をすり合わせる統合作業のことを指し、これをPMI(Post-Merger Integration)と呼びます。
TCG(タナベコンサルティンググループ)では、M&Aの交渉だけでなく、戦略構築などの検討段階から買収後の統合プロセスまでを一貫して支援する「PMI(経営統合)コンサルティング」を提供しています。
「M&A成功の鍵はPMI」と言われるように、M&Aによるシナジーを生み出せるかどうかは、PMIの質に依存しています。
PMIを進めるうえで最も重要なのは、自社の現状を認識することです。TCGでは、この現状認識を行うためにチェックリストを整備し、クライアントの状況を分析することから始めます。


PMI(経営統合)とは

PMIの流れについて


PMIコンサルティングの流れは、大きく分けて「PMIプロジェクト体制の確立」「PMI実行」「モニタリング」の3つの段階(フェーズ)から構成されます。

フェーズ1:PMIプロジェクト体制の確立

(1)PMIを進める際は、一人で進めるのではなく、各関係部門を含めたチームで進める必要があります。具体的には、事務局および意思決定機関の設置、さらにPMIに関わるプロジェクトメンバーの選定を行うことが必要です。

(2)M&A検討時に実施した買収監査(デューデリジェンス:DD)で指摘された事項を確認します。

・事業分析:
SWOT分析を行い、企業の内部環境(強み・弱み)および外部環境(機会・脅威)を整理し、業界内でのポジショニングを把握します。

・組織分析:
人事処遇制度および意思決定構造(会議システム)について分析を行います。また、譲渡企業のキーマンと面談し、状況を把握することが重要です。

・収益・財務分析:
会計ルールや日常業務内容を確認します。

(3)現状認識を踏まえ、買収スキームを基礎とした統合方針(ビジョン)の策定を行います。具体的には、統合ビジョンの策定、統合手順および統合スケジュールの策定、重点項目の絞り込みなどを実施します。

PMIの準備は、M&Aの最終契約締結後から始まります。そのため、クロージング(成約)までに、PMIプロジェクト体制(フェーズ1)を確立させることが重要です。


フェーズ2:PMIの実行

PMIの実行段階では、「長期的に実施する内容(経営のPMI)」と「短期的に実施する内容(業務のPMI)」に分けて進めます。

(1)長期的に実施する内容:中長期ビジョンを構築します。

・中長期ビジョンの設定:
定性的ビジョンおよび定量的ビジョンを設定します。

・事業戦略の設計:
セグメント別、エリア別、商品別に既存事業の強化策を検討します。また、全社(および事業別)の販売計画を策定し、新規事業についても検討します。

・収益および財務戦略の設計:
全社および事業別の収益構造を設計し、中期数値計画を策定します。また、資金調達方法を含む投資計画を策定し、中期KGI(Key Goal Indicator:重要目標達成指標)およびKPI(Key Performance Indicator:重要業績評価指標)を設定します。

(2)短期的に実施する内容:業務の引継ぎを重視します。

・譲渡企業との信頼関係の構築:
成約(クロージング)完了後、従業員への公表および面談を実施します。また、社内のキーパーソンと面談し、クライアントへのメッセージを発信します。

・コーポレート部門の統合:
経理処理や決済プロセスを中心とした統合作業を実施します。さらに、管理会計ルール(経営会議資料)および文書管理体制の統一も行います。さらに、KPIの設計と管理方法を支援し、決算手続きについてもサポートします。
・統合に関わる内容については、公開するメンバーを限定したうえで適宜進捗報告を行います。特に、組織や人材に関わる部分は時間を要するため、慎重に進めることが重要です。


フェーズ2:PMIの実行
フェーズ3:モニタリング

PMIの骨格が固まった段階で、テスト運用を開始します。具体的には、中長期計画で設定した項目の実施状況や、日常業務が支障なく進められているかをチェックします。

・事業戦略アクションプランの実施:
年度別KPI達成に向けた事業戦略の具体策を検討します。また、プロダクト&サービス別のプロモーションミックスを設計し、当初のシナジー効果を創出するための対策を実施します。

・収益および財務戦略アクションプランの実施:
業務PMIの進捗確認およびブラッシュアップを行います。また、業績進捗の確認や経営会議への参加を通じて、PMIノウハウの文書化を支援します。

・組織・人材アクションプランの実施:
人的資源(HR)領域の制度充実に向けた具体策を検討します。具体的には、人事制度や賃金制度の見直し、労務関連規定の整備を行います。また、人事計画に基づいたキャリア開発の方向性を検討します。
継続的なモニタリング報告を通じて、統合状況の進捗やシナジー効果が十分に発揮されているかを確認することが重要です。


フェーズ3:モニタリング

PMIを成功させるポイント


(1)「PMIの型」を持つ
PMIを成功させた企業に共通している点は、自社独自の「PMIの型」を持っていることです。
独自のPMIの型を定め、エグゼキューションの最中からその型に合わせて譲渡側の現状認識を行い、PMIに入る際の論点や課題を見極めていきます。
これにより、シナジー効果の実現が難しいと判断した場合には、M&Aのディール自体を取りやめるという決断が可能になります。

(2)M&A実施後の対象企業でのオペレーション体制の構築
譲渡企業の内情を深く理解するためには、譲渡企業に常駐する担当者を配置する必要があります。
具体的には、譲受企業から譲渡企業へ送り込む経営者人材および実務担当者の存在が重要です。
経営者人材と、現場レベルで業務を把握できる担当者を早期に配置することで、円滑なオペレーション体制の構築が可能になります。


このコラムの執筆者
稲田 享広

稲田 享広

M&Aコンサルティング事業部
チーフマネジャー

金融業界にて法人・個人営業の経験、税理士事務所にてM&A担当を経験後、当社に入社。後継者不在企業において、M&Aニーズのヒアリングから、書類作成、ソーシング活動など事業承継M&Aに従事。顧客に寄り添い、顧客の要望を丁寧にヒアリングしていくコンサルティングスタイルに定評がある。

主な実績
  • 運送会社の譲渡側M&Aアドバイザリー支援
  • 調剤薬局の譲渡側M&Aアドバイザリー支援
  • 医療機器等卸売会社のM&A仲介支援
  • ガソリンスタンドの譲渡側M&Aアドバイザリー支援
  • 医療法人およびクリニックの譲渡側M&Aアドバイザリー支援
  • 産業廃棄物処理会社の買収のための財務DD
  • ゲーム会社の買収のための財務DD
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