M&A情報
M&Aアドバイザリー契約書に関するトラブルと解決策
~企業経営者が知るべき注意点~
2025.12.04
M&Aアドバイザリー契約書のトラブル、どう防ぐ?
企業の成長戦略としてM&A(企業の合併・買収)は重要な手段ですが、そのプロセスを円滑に進めるためには、専門家の支援が欠かせません。その際に締結される「M&Aアドバイザリー契約書」は、アドバイザーとの関係を明確にする重要な書類です。しかし、この契約書に関するトラブルが後々の問題を引き起こすことも少なくありません。
例えば、「契約内容が曖昧で追加費用を請求された」「期待していた成果が得られなかった」などの事例が報告されています。こうしたトラブルを未然に防ぐためには、契約書の内容を十分に理解し、注意点を押さえることが必要です。本記事では、M&Aアドバイザリー契約書に関するトラブル事例と解決策について説明します。
確認すべき契約内容とは?
1.M&Aアドバイザリー契約書の基本的な役割
M&Aアドバイザリー契約書は、企業がM&Aプロセスを進める際にアドバイザーと締結する契約書です。この契約書には、アドバイザーが提供するサービス内容、報酬体系、責任範囲などが明記されます。契約書を適切に作成することで、双方の期待値を明確にし、トラブルを防ぐことができます。
2.契約書に含まれる主な項目
①サービス内容契約書には、アドバイザーが提供する具体的な業務内容が記載されています。例えば、譲受候補の選定、交渉支援、契約書のサポートなどが含まれます。
これらの業務範囲を明確にしておくことで、アドバイザーに期待する役割と実際のサービス内容のギャップを防ぐことができます。
契約書の中でも特に重要な項目です。成功報酬型や固定報酬型など、報酬形態によって費用負担やリスクが異なります。
契約の有効期間と更新条件を定める項目です。M&Aプロセスは長期化することもあるため、必ず確認してください。
アドバイザーの責任範囲と免責事項も契約書に記載されます。例えば、アドバイザーが提供する情報の正確性や、交渉の結果に対する責任の範囲などが含まれます。
契約書に関するトラブル事例
1.報酬体系が不明確で追加費用が発生
ある企業がM&Aアドバイザリー契約を締結した際、報酬体系が曖昧だったため、予想外の追加費用を請求される事態が発生しました。契約書に「成功報酬型」と記載されていたものの、「成功」の定義が不明確だったため、企業側とアドバイザー側で解釈が異なってしまった事例です。
2.契約解除条件の不備で違約金が発生
契約解除に関する条件が不明確だったため、企業がアドバイザーとの契約を終了しようとした際に、違約金を請求されるトラブルが発生しました。契約期間の途中での契約解除や、契約満了時の更新の意思表示など、契約解除の条件を明確にしておくことが重要です。
まとめ
最後に、前述したようなトラブルを回避し、M&Aを成功に導くためのポイントを記載します。
1.契約書の内容を詳細に確認する
契約書には、サービス内容、報酬体系、契約期間、責任範囲、解除条件などを詳細に記載することが重要です。特に、報酬体系については「成功報酬型」の場合、成功の定義を明確に確認する必要があります。重要事項説明書など、理解が難しいものについても確認が必要です。
2.専門家の助言を受ける
契約書の作成や内容の確認に当たっては、弁護士やM&Aコンサルタントなどの専門家の助言を受けることを推奨します。専門家の視点を取り入れることで、リスクを最小限に抑えることができます。
3.アドバイザーの選定を慎重に行う
アドバイザーを選定する際には、過去の実績や経験年数、専門性を十分に確認することが求められます。複数の候補者を比較検討し、自社にとって信頼できるアドバイザーを選定することが重要です。
4.定期的に契約内容を見直す
契約期間中も定期的に契約内容を見直し、必要に応じて修正を加えることで、トラブルを未然に防ぐことができます。
これらのポイントを押さえることで、M&Aアドバイザリー契約書に関するトラブルを未然に防ぎ、M&Aプロセスを円滑に進めることができます。契約書を適切に整備し、信頼できるアドバイザーとともに、自社の成長戦略を実現するための準備をすることが重要です。

文岩 繁紀
M&Aコンサルティング事業部
ゼネラルパートナー
金融機関を対象とした経営セミナー運営や、従業員教育支援を経験。M&A部門立ち上げに伴って、M&A部門へ異動。 M&Aアドバイザーとして活躍し、数十件の成約実績を積み、現在に至る。 譲受企業、譲渡企業それぞれの心情を理解し、クライアントに寄り添ったアドバイスを得意としている。
- 主な実績
-
- 上場企業のカーブアウト
- 債務超過、再生案件のご支援
- 50件以上のディールを実施
- 成長戦略や承継問題による、譲受側、譲渡側のアドバイザリー業務の実施
売り手向け - 承継問題や成長戦略による、譲渡側、譲受側のアドバイザリー業務の実施
例)建設業の売り手アドバイザー
サービス業の売り手アドバイザー
人材派遣業の売り手アドバイザー
小売り卸の売り手アドバイザー
ITの売り手アドバイザー
医薬関連の売り手アドバイザー
運送業の売り手アドバイザー
旅行業の売り手アドバイザー
製造業の売り手アドバイザー 等
※成約件数約50件程で多種多様な業種の支援を実施。
売上:数千万円から数十億円の案件をご支援。
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