人事部門の実態把握を踏まえて、事業戦略・経営戦略と真に連動した
自社独自の戦略人事機能を発揮する。
変革期を迎えた人事部門
新型コロナウイルスの影響を受け早3年。
ウィズコロナがもたらした生活様式の変化や企業活動における変化は、こと管理部門において大きな影響を受けている。
勤務スタイルや日常のコミュニケーションをはじめ、採用活動や人材育成においても、急激な変化への順応が求められ、これまでも断片的に「攻めの人事」についての提言が各方面から挙がっていたものの、この3年は間違いなく、人事部門の機能を改革するターニングポイントにある。
今こそ、オペレーション人事(守りの人事)から戦略人事(攻めの人事)への機能転換が求められている。
ウィズコロナ・アフターコロナの環境に適応した人材マネジメントが企業を存続させる要であることは間違いなく、人事が管理機能に留まらず、経営に直結する戦略的なマネジメントを行う機能へとシフトする必要がある。
戦略人事機能を発揮するための3ステップ
自社の人事機能を強化・変革していくうえで、押さえておくべき3つのステップを紹介する。
■STEP1:戦略人事機能とオペレーション人事機能の棚卸し
まずは現在の人事機能の棚卸しをいただきたい。人事部門に属するメンバーが、どのような業務をどのくらいの割合で実施しているのか、正しく現状を捉える必要がある。経験上、「戦略人事機能が経営陣からは求められているが、それどころではなく、オペレーション業務に全メンバーが追われている」という人事部門は少なくない。どの業務を効率化(DX化含む)できる余地があるのか、アウトソーシングすることが可能な業務はないのか、部門としての課題を今一度精査いただきたい。
■STEP2:中長期視点でみる人事のあるべき姿の設定
環境変化を踏まえ、人事部は「事務であり管理する部門」ではなく、「経営や業績に直結する戦略部門」として位置づけ、認識を新たにステージを引き上げていく必要がある。そのうえで、自社の経営戦略や事業戦略を踏まえた、人事部のあるべき姿・役割を検討いただきたい。3~5年、10年単位の中長期視点で設計することをおすすめする。私が担当する関西・大阪エリアでは、人事機能は総務部に集約されており、総務部門のメイン業務は労務管理中心に留まっているクライアントがまだまだ存在する。STEP1の棚卸しをもとに、自社における今後の人事部門の価値をどう見出すか、攻めと守りの割合をどれくらいにしていくか、そのためには人事部にどんな人材が必要か、描いていただきたい。
■STEP3:主要となる人事機能の明確化
最後は「どのように価値発揮をするか」を決めることである。STEP2で描いた自社のあるべき姿にもよるが、例えば
①人事評価制度と教育制度の連動
②経営戦略・事業戦略に沿った要員計画に基づく先行採用の実施
③エンゲージメント指数の向上(定点観測)を通じた人的資本経営の実装
のようなテーマは、経営に直結する主要人事テーマであると考えられる。
自社にとって追求すべき価値あるテーマを設計いただきたい。
さいごに
人事部門が最適に機能するうえでオペレーション業務をゼロにすることは当然本質ではない。
その一方で、このままではいけないという正しい危機感を経営陣のみならず、人事部門の責任者および人事部門メンバー自らが主体的に認識し、攻めの人事へ変革することが重要である。
この課題を解決したコンサルタント
タナベコンサルティング
HRコンサルティング事業部
チーフマネジャー永易 杏菜
- 主な実績
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- 医薬品製造業向人事制度再構築コンサルティング
- 製造業向人事制度再構築コンサルティング
- 介護福祉業向人事制度再構築コンサルティング
- 食品製造業向人事制度再構築コンサルティング
- 菓子製造業のビジョン策定支援コンサルティング
- 建設資材メーカー向ジュニアボードコンサルティング
- サービス業向アカデミー設立支援コンサルティング
- 製造業向インナーブランディングコンサルティング