社員の貢献度に応じて公正かつ魅力的な報酬を提供することで、
モチベーション向上と企業の成長促進を図る

報酬制度とは
報酬制度とは、企業が社員に対して労働の対価として提供する報酬を構成する仕組みや方針のことを指す。これは、単に給与を支給するだけでなく、社員の成果や貢献度に基づいて報酬を決定するための基準やプロセスを含む。
報酬制度は、社員の働きかけを促進し、企業全体の成長を支えるために重要な役割を果たすものである。

報酬制度の目的
報酬制度の目的は、企業が社員に対して適切な報酬を提供することで、組織のパフォーマンスや社員のモチベーションを向上させることにある。具体的には、以下のようなものが挙げられる。
1. 人材の確保と定着
社員によっては、「魅力的な報酬制度=その企業で働く意味」と捉えていることも少なくない。
報酬制度は社員のモチベーションに直結しうるため、社員にとって納得度の高い報酬制度を設計することで、近年激化している人材獲得競争に勝ち、人材を確保することができると同時に、社員の定着率を高める効果も期待できる。
2. 公平性と納得感の確保
報酬制度を明確にすることで、社員間での賃金の公平性を保ち、納得感を得やすくなる。不透明や報酬制度は、不満やモチベーションの低下を招く可能性があるため、報酬の決定基準や評価プロセスを明確にすることが重要である。
3. 企業文化や価値観の反映
報酬制度は、企業の文化や価値観を社員に伝える手段の一つでもある。例えば、成果主義を重視する企業は、業績連動型の報酬制度を通じて「成果を重んじる文化」を醸成することができる。つまり、企業として実現したい姿から逆算し、企業に合った報酬制度を設計することが重要である。

報酬制度の構成
報酬制度の構成は、大きく以下の要素で構成されている。
これらを組み合わせることによって、企業は多面的に社員を支援し、働くうえでの動機づけを図っていく。
1. 基本給
社員が労働の対価として定期的に受け取る賃金であり、職務内容や経験、スキルに基づいて設定される。
2. 変動報酬(ボーナス・インセンティブ)
業績や成果に応じて支払われる追加の報酬であり、賞与や業績連動型のインセンティブが含まれる。
3. 各種手当
特定の条件や状況に応じて支給される補助的な報酬であり、役職手当、通勤手当、住宅手当、家族手当などが含まれる。
4. 福利厚生
社員の生活を支援するための報酬(トータルリワード)であり、社会保険、退職金、健康保険、社員割引や育児支援などが含まれる。
5. 株式報酬
ストックオプションや社員持ち株制度など、社員に企業の株式を与えることで、企業の成長と共に報酬が増加する仕組みである。

報酬制度の運用方法
報酬制度の運用方法は、企業が社員のモチベーションを高め、パフォーマンスを向上させるために、戦略的かつ公正に管理することが求められる。
まず、透明性と公平性を確保することが重要である。報酬の決定基準や評価プロセスを明確にし、社員が自分の努力や成果がどのように評価され、報酬に反映されるのかを理解できる仕組みを作る。それによって、不公平性を防ぎ、社員の納得感を高めることができる。
次に、定期的な評価とフィードバックの実施が必要である。社員の成果や役割発揮度合いを定期的に評価し、その結果に基づいて報酬を調整する。また、評価結果を必ずフィードバックすることによって、今後の目標や期待されるパフォーマンスを共有し合うことで、社員の成長とモチベーションを促進する。
報酬制度は、市場の水準に合わせて定期的に見直す必要がある。業界の動向や地域の賃金水準を調査し、自社の報酬が他社と比較して競争力を保てるよう調整する。それによって、優秀な人材を惹きつけ、定着を図ることが可能となる。特に、労働市場が激しい場合や、業界全体が賃金水準の引き上げを行っている場合に、迅速な対応が求められる。
また、法令順守も大切な要素の一つである。報酬制度は、労働基準法や租税法などの関連法規を順守し、適切に運用しなければならない。企業が最新の法改正に対応しない場合、法的リスクが生じる可能性があるため、コンプライアンスの遵守は不可欠である。
さいごに
報酬制度を整備することによって、社員のモチベーション向上に繋がり、結果的に企業の成長を促進させることに繋げることができる。
また、報酬制度を通して企業としての考えや意思を社員に浸透させることができるため、自社に合った報酬制度の整備を実施いただきたい。
この課題を解決したコンサルタント

タナベコンサルティング
HRコンサルティング事業部
コンサルタント稲垣 咲香
- 主な実績
-
- 中堅電機工事業:人事制度運用支援、採用戦略
- 中小物流業:人事制度再構築コンサルティング
- 中小商社:人事制度再構築コンサルティング