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財務デューデリジェンス

2025.09.17

財務デューデリジェンス(財務DD)とは


M&Aにおいて、買い手が売り手の財務状況を監査する作業を財務デューデリジェンス(財務DD)といいます。

<財務デューデリジェンス(財務DD)の目的>

①財務リスクを把握する
財務デューデリジェンス(財務DD)を行うことで、対象企業の簿外債務や契約不履行になっている条件などを抽出します。

②企業価値を評価する
財務デューデリジェンス(財務DD)は、対象企業の企業価値評価を行うことが目的の一つである。
財務デューデリジェンス(財務DD)を行い、結果的に簿外債務が発覚すれば、M&A後の支払いが増えることから、企業価値は低下します。

③経営統合(PMI)の事前調査を行う
財務デューデリジェンス(財務DD)は、対象企業を財務的な側面から監査する方法なので、経営統合を進める際の問題点も明確になります。


財務デューデリジェンス(財務DD)とは

財務デューデリジェンスの流れ


①専門家に依頼する
財務デューデリジェンス(財務DD)を担当する専門家には、税理士や公認会計士、会計コンサルティング会社などが挙げられます。しかしながら、M&Aに関する専門的なスキルを有していなければ財務デューデリジェンスでリスクを発見できないケースもあるので注意が必要です。

②調査(スコープ)範囲を決める
対象企業の規模や事業内容、企業価値や取引の内容により、調査範囲が異なるのが一般的です。デューデリジェンス開始前には調査範囲・調査方法を必ず決めてスタートします。

③資料請求および調査を行う
財務デューデリジェンス(財務DD)における調査範囲が決定すれば、次に調査に必要な資料の請求を行って実際に調査を開始します。調査では、損益計算書や貸借対照表、会計方針などさまざまな価値評価に関する関連資料が必要です。したがって調査にあたる専門家はQ&Aを作成して対象企業からヒアリングを行い、ヒアリングの結果を分析して調査を開始します。

④経営陣へヒアリングする(オンサイトDD)
財務デューデリジェンス(財務DD)に必要な資料請求完了後、調査を開始し、経営陣へのヒアリングを実施します。ヒアリングを行えば、対象企業の現状の運営状況、経営方針などの情報を把握でき、細かな分析が可能です。またヒアリングでは、帳簿だけでは把握できないM&Aにおけるリスクなども確認します。

⑤結果報告を行う
売り手へのヒアリングが完了し、調査内容をまとめれば最後に依頼主である買い手に調査結果の報告を行います。その結果をもとにして買い手はM&Aを実行するか検討します。財務デューデリジェンス(財務DD)を専門家に依頼してから結果報告までの期間は、平均1か月程度かかるのが一般的です。


財務デューデリジェンスの流れ

財務デューデリジェンス実施時のポイント


①財務デューデリジェンス(財務DD)のレポートを作成する
M&Aで財務デューデリジェンス(財務DD)を手掛ける際には、財務上のリスクや運営状況などを事前に把握するために財務デューデリジェンス(財務DD)専門のレポートを作成します。レポートはパワーポイントを使用して作成される方法が多いですが、Q&Aシートや財務分析などはエクセルを使用します。

②資料によるデータ分析を行う
財務デューデリジェンス(財務DD)に関するレポートや必要な資料が集まれば、そのデータをもとに各担当者が分析する項目ごとに過年度の財務データの分析を行います。また分析時に疑問点などが生じた場合には、Q&Aシートに記載して後から解決策を検討するのが一般的な方法です。

・貸借対照表
貸借対照表は、売上債務や現預金、棚卸資産や有形・無形固定資産などの「資産」と、仕入債務や退職給与引当金や有利子負債などの「債務」、企業の売上から負債額を差し引いた「純資産」に分類されます。

・損益計算書
損益計算書を分析すれば、事業運営で発生する不定期な支出を省いた、事業の純粋な収益である「正常収益力」を計測できます。したがって売り手の正常収益力を把握すれば、M&A後に獲得できる大まかな収益や企業価値評価の確認ができます。

・会計方針
財務デューデリジェンス(財務DD)では、売り手企業の財務状況や企業価値によって譲渡価格も変動するため、売り手の会計方針の変更の有無に注意する必要があります。またM&Aでは売り手・買い手双方の財務状況を比較することもあるので、会計方針を細かくチェックすることで財務デューデリジェンス(財務DD)に備えるのが重要です。

・税務リスク
M&A事例の中には、売り手企業が適正な税務処理をしていなかったため、M&A後に買い手側に追徴課税されるケースがあります。

③財務デューデリジェンス(財務DD)レポートを完成させる
分析結果の共有が完了すれば、次にコメントやフィードバックを参考にして財務デューデリジェンス(財務DD)のレポートを完成させます。完成されたレポートは再度最終報告会に向けてブラッシュアップを行い、完成度を高めるのも重要なポイントです。

このコラムの執筆者
丹尾 渉

丹尾 渉

執行役員
M&Aコンサルティング事業部長

2017年からM&Aコンサルティング本部の立上げに参画。M&A戦略構築からアドバイザリー、PMIまでオリジナルメソッドを開発。その後5年間で延べ80件以上のM&Aコンサルティングに携わる。「戦略無くしてM&Aなし」をモットーに、大手から中堅・中小企業のM&Aを通じた成長支援を数多く手掛けている。

主な実績
  • 上場企業の新規事業開発を目的とした譲受側M&Aアドバイザリー
  • 上場企業子会社の事業戦略からM&Aまで一貫性を持たせた戦略構築
  • 上場企業子会社の買収調査のためのビジネスDD、財務DD、労務DD
  • 中堅企業の事業ポートフォリオの転換によるビジネスモデル変革支援
  • M&Aを初めて実施した中堅企業のPMI支援
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