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事業承継にリスクはある?リスク回避のポイントを解説

2023.06.01

事業承継とは


事業承継とは、会社・事業の経営を後継者に引き継ぐことです。具体的には、会社や事業の経営権を譲り渡すことです。後継者は、株式を取得し経営権を握ることで、会社の持つ全ての資産を手にします。また、事業承継には大きく親族内承継・社内承継・第三者承継(M&A)の3つの方法があります。


事業承継とは

事業承継の種類別のリスク


①親族内承継のリスク
親族内承継とは、子どもをはじめとした親族内の後継者に事業を引き継ぐことです。

親族内承継では、自社の株式を後継者に渡すにあたり、相続や贈与を選択することが一般的です。しかし、自社株式の評価額が想像以上に高額になった場合、株式を渡す際の相続税・贈与税も高くなるリスクがあります。
まずは顧問税理士等の専門家に依頼するなどして自社株式の評価額を確かめるとともに、株式の移転方法を早めに検討することが重要となります。

②社内承継のリスク
社内承継では、役員や従業員の中からふさわしい人物を選んで事業を引き継ぐことです。
社内承継では、後継者から譲渡対価を受け取り、株式を売却する手法を取ることが一般的ですが、従業員が株式を買い取るための十分な資金がないのが大半です。従業員に事業を引き継ぐと決めたら、買い取り資金の確保について早めに検討し、準備を進めていく必要があります。

③第三者承継(M&A)のリスク
近年後継者がいないことを理由に廃業する会社が後を絶ちません。そこで増加しているのが第三者承継(M&A)です。広く第三者の中から候補者を探し、ふさわしい会社に事業を引き継ぐことです。
親族内や社内で後継者が見つからなかったとしても、M&Aにより廃業を避けることができます。経営者は株式の売却益を得ることで、ハッピーリタイアすることができます。
ただし、すぐに事業を引き継ぐにふさわしい会社が見つかるとは限らないため、早めにM&Aの準備を進め、買い手候補を探すことが重要です。また、M&Aでは様々なステップを踏む必要があり、当事者同士だけでは中々うまく進まないことがあります。そこでまずは専門家に相談し、進めていくことがM&Aを成功させるポイントとなります。


事業承継の種類別のリスク

中小企業の事業承継に伴うリスク


中小企業の事業承継に伴うリスクとして主に3つ挙げられます。

①負債・個人保証を承継するリスク
事業承継によって引き継ぐのは会社そのものですが、厳密には、会社の事業で使っている資産・負債の両方を引き継ぎます。資金調達を借入に頼っている会社であれば、会社を引き継ぐと借入も引き継ぎます。

②後継者と社員が対立するリスク
後継者と社員とのトラブルも起こり得る問題です。社員は、先代経営者とともに会社を支えてきた自負があります。後継者は先代経営者よりも若いので、経営戦略など世代間のギャップによる対立が発生する可能性があります。

③相続時に遺留分を求められるリスク
相続による事業承継において特に問題となりやすいのが、後継者以外に相続人がいる場合の遺留分です。前経営者の資産である会社の株式について、複数の相続人がいると、後継者以外の相続人は相続の権利を主張できます。
相続人が1人であれば問題ないものの、複数の相続人がいる場合、前経営者が1人の相続人を後継者に指名したとしても、法的には他の相続人も相続する権利を持っています。万が一株式が各相続人に分割された場合、株式が分散することにより、後継者の経営権も脅かされることになるため事前に十分検討し解決しておく必要があります。


事業承継の検討に向けて


事業承継は企業の存続や成長における重要な手段の一つです。ここまで解説してきたリスクにある通り、事業承継を進めるには十分な事前準備と対策が必要です。
社内から後継者を選定するにしても後継者育成に向けた期間が必要ですし、第三者承継をするにしても、相手探しや条件の検討に時間がかかります。
事業承継を検討するタイミングは様々ですが、経営者自身の年齢や後継者不足といった問題を抱えている場合は、早い段階で事業承継の意思を固め、準備をしておくことをお勧めします。

譲渡検討企業向けの「事前準備チェックリスト」が無料でダウンロードいただけますので、ぜひご参考いただければと思います。


このコラムの執筆者
稲田 享広

稲田 享広

M&Aコンサルティング事業部
コンサルタント

金融業界にて法人・個人営業の経験、税理士事務所にてM&A担当を経験後、当社に入社。後継者不在企業において、M&Aニーズのヒアリングから、書類作成、ソーシング活動など事業承継M&Aに従事。顧客に寄り添い、顧客の要望を丁寧にヒアリングしていくコンサルティングスタイルに定評がある。

主な実績
  • 運送会社の譲渡側M&Aアドバイザリー
  • 調剤薬局の譲渡側M&Aアドバイザリー
  • 医療機器等卸売会社のM&A仲介
  • ガソリンスタンドの譲渡側M&Aアドバイザリー
  • 医療法人およびクリニックの譲渡側M&Aアドバイザリー
  • 産業廃棄物処理会社の買収のための財務DD
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