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M&Aにおける企業概要書とは?
成約率を上げる作成のポイント

2023.06.01

M&Aにおける企業概要書(Information Memorandum)とは


企業概要書とは、売手企業が作成する書類で、企業概要・事業内容・財務諸表などの詳細が記載された書類のことを示します。英語では「Information Memorandum」と呼ばれており、通用「IM」と省略して表現されることが多いです。


企業概要書の目的と主な記載項目


企業概要書の目的は、売手企業が買手企業に対し、M&Aを検討するにあたり必要となる具体的な事業内容や財務情報、今後の事業計画などの詳細を伝えることになります。


具体的に企業概要書にはどのようなものが記載されているかというと、以下の内容になります。


①会社概要

②株主構成

③役員構成

④売上構成

⑤ビジネスモデル

⑥エリア拠点

⑦組織・従業員構成

⑧就業規則

⑨財務内容BS、PL、販管費明細

⑩保有資産(固定資産・投資その他の資産)の一覧

⑪借入金


企業概要書の重要性


前述の通り企業概要書は、自社の事業内容、財務状況、組織構成、ビジネスモデルなど、企業全体の状況をまとめたものです。これらの情報は、他社が自社とのM&Aを判断するための重要な事項となります。


企業概要書は自社のビジョンや戦略、強みなど自社の基本情報や特徴を他社に理解してもらうことが求められます。自社をアピールすることも重要ですが、M&Aを進める上では、情報を「正確」に「わかりやすく」記載しておくこともM&Aの成功につながる要素となります。


また、企業概要書を開示する前提条件としては、売主がその買主に開示することを許可しており、買主が売主またはアドバイザーと秘密保持契約書を締結していることが必要になります。企業概要書は企業の内部情報であるため、取り扱いには十分に注意が必要です。


企業概要書の重要性

買手が「検討しやすい」企業概要書とは


売手企業にとって、企業概要書は買主に自社の内容をPRする資料となるので、企業概要書の出来がM&Aの成約にも大きく影響を及ぼします。ここでは、買手企業が「検討しやすい」企業概要書を作成するポイントを説明いたします。
1つ目に、すべての情報が分かりやすく記載されていることがポイントとなります。まずは、前述した必要最低限の記載項目が入っているかを確認しましょう。上記内容が記載できていない場合は、その背景と理由を明確にし、企業概要書の開示の段階で記載しない理由と、どの段階で開示できるかをきちんとお伝えすることが大切です。また、情報が多いことは売主企業を把握する上で重要ではありますが、内容が整理が出来ていないことも少なくありません。情報が多い場合は、一度買手企業側の立場になって考え、整理して伝える工夫が必要になります。
2つ目に、案件のポイントが整理されていると検討しやすい企業概要書になります。強みだけでなく、弱みや課題についても記載があると丁寧で分かりやす内容となります。例えば、借入が多いがそれに見合う資産が保持されている。事業としては未成熟ではあるが、従業員が若く、成長の余地があるなどです。
アドバイザーなど専門家に相談し、自社の企業価値や魅力を最大限にPRできるわかりやすい企画概要書を作成することを心がけましょう。


買手が「検討しやすい」企業概要書とは

企業概要書の注意点


企業概要書における注意点を確認します。
1番の注意点は虚偽の記載です。売主として自社をよく見せたいという気持ちも分かりますが、事実を誇張したり、拡大するような表現や内容には十分に注意しましょう。買主が企業概要書の内容を信じ、デューデリジェンスを行って、企業概要書の内容と明らかに違う内容が見つかった場合、M&Aがなくなってしまうこともあります。
買手企業にとって分かりやすく、かつ事実に基づく正確な情報を記載し、自社の企業価値や魅力を最大限にPRできる企業概要書の作成がM&Aの成功の第一歩になります。弊社は、アドバイザーとして企業概要書作成のアドバイスも行っておりますので、これから譲渡をお考えの方、作成に悩まれている方などは是非ご連絡ください。


このコラムの執筆者
三谷 博孝

三谷 博孝

M&Aコンサルティング事業部
チーフマネジャー

銀行にて法人営業に従事した後、事業承継の課題に取り組むためM&Aを志し、当社に入社。「クライアントに寄り添い、企業繁栄に奉仕する」をモットーに、中堅中小企業へ向けた譲渡案件の受託交渉から、企業価値評価、企業概要書の作成、買手企業とのマッチング及び条件交渉等のM&Aアドバイザー業務を担当。年間5件以上の成約を手掛ける。

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