アンケート実施により組織状態を正しく捉え、
効果的な採用活動に繋げる
人事アンケートの目的・意義とは何か
皆さまは、人事アンケートを組織に導入したことはあるでしょうか?
人事アンケートとは、月1回〜数ヶ月に1回程度の実施が多く、
職場環境や働きがいなどを把握するための質問を投げかけ、調査をするものです。
実施の目的は様々であるが、4点が多く挙げられます。
①会社方針の浸透度確認
②従業員の満足度を引き上げ
③マネジメント機能の確認
④経営全般・職場環境に関する課題抽出
組織の状態を正しく捉え、効果的な施策を打ち出すためのエビデンスとなる貴重なデータを回収することができます。
人事アンケートを実施する上で、メリット、デメリットがあり、それは以下の通りです。
メリット
- 経営課題解決による業績向上効果
- 職場環境が良くなることでの定着率向上
- コミュニケーションパイプ整備による社内コミュニケーションの円滑化
デメリット
- アンケート実施と集計の煩雑さ
- 集計結果を踏まえた的確な改善策の立案の難しさ
- 得られた回答結果への対応不備による次回以降の回答信頼性の低下
メリットが大きいものの、デメリットも当然存在し、後工程も含んだ実施体制で臨まなければ、 社員の期待を損なうことになる側面があることも把握しておく必要があります。
人事アンケート実施の流れとポイント
人事アンケート実施には、以下のステップで実施をしていくとスムーズです。
<実施のステップ>
①実施目的を整理し、結果の仮説を設定
②仮説を検証しやすい手段・ツールの選択
③実施・集計
④分析
⑤結果を踏まえた問題の抽出
⑥課題と実行具体策の検討
⑦今後の方向性を社員へ説明
⑧取り組みの開始
特にポイントとなるのは、①・⑥・⑦です。
①の仮説設定がないまま取り組む企業様は意外に多く見受けられます。仮説を立てることで、アンケートの実施手段や
質問内容の設定ができ、精度の高い結果を得ることが出来ます。仮説を検証するためにアンケートを実施するレベルまで
仮説の精度を高めることを目指せることが理想です。
⑥には時間と工数をかけていただきたいです。集計結果から問題点を抽出することは比較的容易です。その問題点を踏まえ、課題点と真因(根本的原因)がいかに的確であるかで、対策の効果性が変わってくるからです。この課題抽出が成功すれば、対策は容易に想定ができてきます。
⑦については、アンケート実施後、可能な限り短いスパンで社員へ結果と今後の方向性を発信していきたいです。アンケートに答えた限りは、社員は期待を膨らませて、どのように良い変化が起こるのかを期待しています。
⑥で時間と工数をかける必要性をお伝えしたことと逆説的ではありますが、今後の方向性だけでも良いので、早く発信し、スモールスタートできるよう意識いただきたい。
人事アンケートを採用活動に生かす
アンケートでは、問題点を抽出することと合わせて、良い点を棚卸することも実施いただきたい。
現場社員が感じる良い意見は採用戦略の組む上でのヒントになり、他社と競合した際の差別化ポイントになります。
採用活動に現場社員の協力がある会社ならば尚更です。
その上、得られたアンケート結果から、以下3点を採用活動に活かしていけると良いです。
1.アンケートで抽出できた強みを踏まえた採用戦略構築
2.組織の弱い機能を強化する人材採用
3.可能な範囲でのアンケート結果公開による企業信頼性の向上
抽出できた問題の解決に向け、社内人材の活用や育成で解決できる部分もあれば、
既存のリソースで解決できそうになければ、その知見を持った人材を確保に動くことも1つの選択肢となります。
特に昨今では事業ポートフォリオの見直しを迫られる企業も増え、これまでの採用対象とは違った人材の確保に
動く必要性が高まっています。所謂、事業ポートフォリオと人材ポートフォリオを繋ぐ戦略的な採用です。
これらの潮流を受け、新卒・中途採用市場ともにスカウト型サービスの種類が増えています。
検索型では目に止まりにくい企業にとってはチャンスと言えますので、ぜひ検討してみてください。
良い経営状態の構築が、結果的に採用力の強化になる
採用に成功している企業の特徴は何かとご質問いただくことは多いですが、
唯一明確にお伝えできるのは、求職者にとって魅力的な企業は自ずと成功していることです。
当たり前ではありますが、時代が変わっても普遍的に変わらないことです。
ここで押さえるべきは、「求職者にとって」魅力的であるという点です。
求職者一人ひとり求める職場環境や職業観は違っています。だからこそ、自社が求める人材が何を求めているのかを
整理し、自社が魅力に感じられる点はどこにあるのかを押さえることが重要です。
決して大企業だけが採用に成功する訳ではなく、人の数だけ志向性があるという認識をお持ちいただきたい。
このためには、自社の状態や強みを把握することが必要で、今回取り上げた人事アンケートは、その把握のために有効な手段の一つです。
経営者や人事部門の方々からすると、耳の痛い内容も出てきますが、企業の経営状態の今を正しく捉えることから
始める意義は非常に大きいです。
タナベコンサルティングでも三現主義として「現実・現場・現品」を把握することを大切にしています。
自社や自社で働く人を知ることから始めてみてください。
この課題を解決したコンサルタント
タナベコンサルティング
HRコンサルティング事業部
チーフマネジャー立入 俊介
- 主な実績
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- 人事制度設計(製造・商社・小売・物流倉庫など)
- 採用支援コンサルティング
- 教育体系構築支援コンサルティング