エンゲージメントと成果の関係性
エンゲージメントスコアが高い企業ほど、生産性が向上しているといった研究結果が、厚生労働省(労働経済白書)をはじめ、多くの専門機関によって提唱されるようになった。
タナベコンサルティングにおいても、エンゲージメントとパフォーマンス(成果)には明確な相関関係があることを、コンサルティング経験より導き出し、独自のエンゲージメントロジックに落とし込んで臨床を積み上げている。
また、エンゲージメントは強制的・支配的な側面ではなく、能動的・循環的な側面によって成立することから、新たなマネジメント思想を土台に向き合っていくことが、これからの経営における重要成功要因(KSF)であると考える。
エンゲージメントはもはや、経営・組織・人事に対する一機能ではなく、トップマネジメントレイヤー(経営層・人事最高責任者)が最重要経営テーマとして向き合うべき領域へと昇華されているのである。
本コラムでは、このような背景を踏まえた「エンゲージメント経営」について言及したい。
エンゲージメント経営の定義と基本ロジック
先述の通り、エンゲージメント経営とは、エンゲージメントを単なるトレンドや手段ではなく、「最重要経営テーマとして戦略的に向き合う概念」最重要経営テーマとして戦略的に向き合う概念を指す。
エンゲージメント経営を構成する基本ロジックとして、上位概念となるマネジメントロジックを押さえていただきたい。マネジメントロジックは、①エンゲージメントコンセプト、②トップエンゲージメント、③エンゲージメント戦略 の3つの切り口である。
それぞれポイントを絞って掘り下げていきたい。
①エンゲージメントコンセプト
エンゲージメントコンセプトとは、エンゲージメントを育む人事思想・人事コンセプトを指す。
各企業がPMVV(パーパス・ミッション・ビジョン・バリュー)を踏まえて、どのようにエンゲージメントを育んでいくかを明文化したモノである。PMVVとの繋がりが重要であり、エンゲージメント経営を行っていく上での第一ボタンとなる。
②トップエンゲージメント
トップエンゲージメントとは、経営者・エグゼクティブクラスの事業や組織に対する熱量・愛着・関心を指す。
「不機嫌は伝染する。」というゲーテの言葉にあるように、経営者・エグゼクティブクラスの事業や組織に対する熱量・愛着・関心といった前向きな影響(インフルエンス)は明確に組織(組織メンバー)に伝染する。
それも一社員の影響とは比べ物にならないスピードで広範囲に広まっていくのである。
これまで筆者をはじめ各人が感覚的に理解していた領域であるが、エンゲージメント経営では、明確に「トップエンゲージメント」として定義し、向き合っていくことを原則とする。
③エンゲージメント戦略
エンゲージメント戦略とは、企業と社員間の熱量や愛着・信頼関係を軸とした経営戦略を指す。
上記を踏まえた経営戦略は、組織戦略、人材戦略、人事戦略、教育・学習戦略と多岐に渡るが、すべてに共通しているのが、「企業と社員間で継続的に熱量や愛着・信頼関係を育むことができる戦略である。」という点を押さえていただきたい。
エンゲージメント経営の今後の位置づけ
多くの企業が、PMVV(パーパス・ミッション・ビジョン・バリュー)や中期経営計画、事業戦略、経営戦略を、各社の状況に応じて組み上げていく訳であるが、そのすべての土台にエンゲージメントの要素が取り入れられるべきであると筆者は考えている。
その理由はシンプルである。
経営はゴーイング・コンサーンであり、基本的にはゴールの無いマラソンである。
決算が終わった次の日から新たな期がスタートし、また決算まで走りづづける必要がある極めて高い持久力を必要とした集合体である。
ゆえに、組織としての「一体感=エンゲージメント」をどう育み続けられるかがポイントであり、再現性をもって「一体感=エンゲージメント」を育むためにエンゲージメント経営を実装いただきたい。
本コラムが、皆様の経営の一助になれば幸いである。
この課題を解決したコンサルタント
タナベコンサルティング
HRコンサルティング事業部 エグゼクティブパートナー浜西 健太
- 主な実績
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- 大手IT業:人事制度再構築コンサルティング
- 大手建設業:人事制度再構築コンサルティング
- 大手卸売業:人事制度再構築コンサルティング
- 中堅美容業:人事制度再構築コンサルティング
- 中堅介護福祉業:人事制度再構築コンサルティング
- 中小製造業:中期ビジョン策定コンサルティング
- 中小サービス業:マーケティングコンサルティング
- 中小製造業:マーケティングコンサルティング
- 中小サービス業:採用コンサルティング