
クロスファンクショナルチームとは
クロスファンクショナルチーム(CFT)とは、経営課題や、組織にまたがる課題について、課題の解決・推進をするため、部門または組織機能を横断して、様々な経験・スキル・ノウハウを持ったメンバーを集めたチームのことを指す。
クロスファンクショナルチームが昨今注目をされている理由として、次の2点が挙げられる。
1.VUCA時代における課題への対応
近年は、グローバル化、情報技術の発展、交際関係の複雑化、環境問題等からビジネス環境を複雑化させ、将来の予測を困難にしており、VUCA時代と呼ばれている。
(VUCA=Volatility(変動性)、Uncertainly(不確実性)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性)という4つの言葉の頭文字で構成されているキーワード)
このような環境下における従来の縦割り型の組織では、複雑化された課題に対応できないケースが増えている。
クロスファンクショナルチームにより、様々な経験・スキル・ノウハウを掛け合わせることにより、複雑化された課題にスピード感を持って対応できることが期待されている。
2.人材不足への対応と組織開発
近年は、15〜64歳の生産年齢人口の減少により、企業は人材不足に悩まされているため、クロスファンクショナルチームをつくり、課題を解決することで、限られた人材を最大限活用し人材不足を補うことが期待されている。
また、異なる部門や役職のメンバーがチームとして協力し合うことで、組織のコミュニケーションの活性化や、人材のレベルアップについても期待されている。

クロスファンクショナルチームのメリット
1.様々な経験・スキル・ノウハウを掛け合わせることで生まれる総合力の発揮
異なる部門・役職のメンバーが集まることで、従来のチームでは生まれなかった多様な視点や、アイディアが生まれる。
そして、長所連結主義によりメンバーの専門性を掛け合わせることで、総合力を発揮することが可能である。
2.スピード感のある意思決定と全体最適の実現
部門間をまたぐチームでディスカッションを行うことで、部門最適(特定の部門だけで最適な決定)ではなく、全体最適(各部門で最適な決定)をスピード感を持って行うことが出来る。
3.組織開発と人材開発
部門間の交流が促進され、組織のコミュニケーション活性化されるだけではなく、チームで成果を上げることで組織の一体感が高まり組織開発につながる。また、異なる専門性を持つメンバーから学ぶことで人材開発にもつながる。

効果的なクロスファンクショナルチームの作り方
1.求める成果の明確化
経営陣によるクロスファンクショナルチームに求める成果と期限の明確化が必要である。求める成果が明確化されていなければ、そもそも適切なメンバー選定が出来ない。また、チーム立上げ後にスピード感を持って成果を追い求めてもらうためにも期限の明確化が必要である。
2.チームメンバー選定
求める成果を達成するために必要な要件を持つメンバー選定が必要である。また、経験・スキル・ノウハウ以外に"使命感"があるかどうかも重要な軸である。やらされ感を持ち参加をしても成果は期待できない。そのため、メンバー候補を挙手制で募集することも一つの方法である。
3.役割と責任の明確化
求める成果・チームの規模感によって異なるが、一般的には、リーダー、サブリーダー、事務局を決めることで、指揮命令系統・責任の所在を明確化する必要がある。
4.定期ミーティング(会議)
求める成果を達成するために適切な頻度でミーティング(会議)が必要である。下記のようなミーティングであれば、成果の達成にはつながらないため、注意が必要である。
(1)会して議さず・・・議論の場ではなく報告会になっている
(2)議して決さず・・・決定・結論が出来ない、議事録を取らない
(3)決して行わず・・・決定したことを実行しない
5.成果・プロセスに対する評価
メンバーは、通常業務に加えて新たなことを実行するケースが多い。そのような中で、本人のモチベーションを上げるためにも、成果やプロセスについては、適正に評価をする必要がある。

クロスファンクショナルチーム導入事例
ークロスファンクショナルチームによる採用インターンシップ強化ー
製造業のA社では、採用活動の一環として人事部主体となり、必要に応じて他部門に確認を取りながらインターンシップを推進していたが、インターンシップの参加者が少ない、実施後の評価が低い、インターンシップから採用に繋がらないという課題を抱えていた。
そこで、採用強化のため、クロスファンクショナルチームによるインターンシッププロジェクトを立ち上げた。
具体的には、人事部・営業部・製造部・設計部のベテラン、若手で構成された10名程度のチームである。
結果としては、目標として掲げられた参加者人数、実施後の評価点数、インターンシップ経由での採用について、すべて達成をすることが出来た。
達成をした理由として、下記が挙げられる。
1.若手から、インターンシップ募集について良いアイデアが発案され、参加者人数を増やすことが出来た。
2.インターンシップ受入部署の専門性の高いメンバーと内容を練ることで、今までよりも自社の強みを活かした内容になった。
3.メンバーが、厳しい採用市場や採用目標を知ることで、人事部に対する協力体制が強化された。また、実際の受入の際に求職者への接し方が良くなったことで、実施後の評価が上がった。
さいごに
業種・業態問わず様々な企業での活用が期待できるクロスファンクショナルチームについては、ぜひとも導入を検討して欲しい。
また、経験・スキル・ノウハウの掛け算により、成果を最大化するという点では、取引先や協力会社等、他の会社の社員をチームに加えることも効果的である。
今回の内容が、厳しい環境変化の中で、戦い続ける経営者の皆様、社員の皆様にとって、少しでも参考になれば幸いである。
この課題を解決したコンサルタント

タナベコンサルティング
HRコンサルティング
チーフコンサルタント大西 将之
- 主な実績
-
- 中堅製造業:採用戦略構築コンサルティング
- 中堅卸売業:新入社員受入体制構築・社外エルダー担当
- 中堅卸売業:階層別教育
- 中堅製薬業:若手階層別教育
- 中小建設業:経営理念・人事ビジョン策定コンサルティング
- 中小不動産業:人事ビジョン・人事制度構築コンサルティング
- 中小製造業:採用戦略構築・インターンシップ推進支援
- 中小製造業:人事制度構築コンサルティング
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