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成長戦略のカギとしてのM&Aバリューチェーン

2026.01.14

企業がM&Aのプロセスで懸念するポイント


近年、上場企業・非上場企業を問わず、多くの企業が中長期ビジョンや中期経営計画においてM&Aを重要なテーマとして掲げています。特に、上場企業のIR資料を確認すると、今後のキャッシュアロケーションにおいてM&A投資枠として具体的な金額を明示している企業も少なくありません。

一方で、各社と議論を重ねる中で、M&Aで自社のどの部分を補完し伸ばすのか、またどのような企業を買収したいのかといった、より具体的な戦略まで落とし込めていない企業も多いのが現状です。

たとえ戦略が明確であっても、M&Aを検討する部門や担当者(経営企画部門が多いものの)が複数の業務を兼務しており、多忙で情報収集や検討に割く時間が限られているため、結果的にM&Aが進まないケースも見受けられます。

M&Aというと、案件情報の有無だけが注目されがちですが、連続的に買収を実現している企業には、それを可能にする体制や仕組みが整っています。弊社ではこれを「M&Aバリューチェーン」と定義し、企業に組み込むべき仕組みとして提言しています。


企業がM&Aのプロセスで懸念するポイント

連続的買収を実現するために組み込むべきM&Aバリューチェーン


連続的なM&A・アライアンスを実行する上では、自社の明確な戦略に基づき、対象企業の情報収集と検討、そして買収の仕組み化が必要です。これを実行するための組織体制も不可欠です。M&Aを実行する上で必要となるこれらの仕組みを、弊社では「M&Aバリューチェーン」と定義しています。

「M&Aバリューチェーン」は、以下の5つのテーマで構成されます。

a. コーポレート戦略
b. M&A戦略
c. ソーシング
d. エグゼキューション
e. PMI


まず、M&A・アライアンスを検討するにあたって必要な組織や担当者の設置が「コーポレート戦略」に該当します。中小企業では社長自らが担うケースもありますが、連続的なM&Aによる成長を実現するためには、専門組織または担当の設置が必要です。その組織や人材に十分なノウハウが不足している場合には、勉強会や事例研究を通じて能力を培うことが求められます。また、M&A検討を仕組み化することも重要です。たとえば、初期の検討条件をあらかじめ定めておくことや、情報の粒度に応じて進めるかどうかの判断を、個人、部門、会議体の単位で決定する仕組みを整えることが挙げられます。この仕組みは、専門組織だけでなく、関連する事業部やコーポレート機能の部署(財務、法務など)も含めて構築する必要があります。

次に、「M&A戦略」とは、事業戦略に基づく参入戦略の一つです。オーガニックに参入するのか、M&Aやアライアンスを活用するのかを判断しますが、基本的には両軸で検討することが望ましいです。ここでは、目指すべき姿や必要とする経営資源を具体化・明文化することで、M&Aのターゲットが明確になります。M&A戦略を構築する段階では、自社の財務状況や投資余力、今後のキャッシュフローをもとにしたキャッシュアロケーションを考慮し、投資予算枠を確保することも重要です。

「ソーシング」の手法は大きく2つに分けられます。1つは、金融機関やM&A仲介会社に紹介を依頼する方法です。もう1つは、自社から積極的にアプローチを行う能動的な手法です。

1つ目の紹介方式はシンプルで、M&A戦略に基づいて希望する条件を分かりやすく伝え、忘れられないように、定期的に情報発信や接点を持ち続けることが重要です。この点については、コーポレート戦略において接点数や紹介数をKPIとして設定し、情報獲得量を確保している企業もあります。
能動的アプローチの方法としては、まず候補先の大まかな基準を設定し、ロングリスト(絞り込む前段階の候補先)を作成します。「大まかな基準」とは、事業(取り扱い商材・サービス)、地域、売上規模などを指します。この時点では譲受の実現可能性は考慮せず、対象範囲内に入る企業を広く列挙します。その後、作成したロングリストをもとに、事業内容、販売チャネル、地域シェア、製品ブランド力、技術力、株主構成、財務状況などを基準にスクリーニング(ふるい分け)を行い、候補先を絞り込んでショートリストを作成します。

個別交渉とPMI


買収候補先が見つかった後、個別交渉(エグゼキューション)に移行します。この際の要点も、コーポレート戦略と同様に、交渉フェーズにおける組織体制や意思決定ルートの整備にあります。一対一での交渉であれば、自社の都合で融通が利く可能性がありますが、人手不足の業界などの人気業種や優良企業であればあるほど、買収を希望するライバル企業が多くなります。そのため、意思決定に時間がかかりすぎる企業は、買収の機会を逃してしまう可能性があります。専門知識や買収経験はもちろんのこと、検討・意思決定をスムーズに進める体制の整備が重要です。

買収後のPMI(経営統合)も非常に重要です。連続的にM&Aを検討できる体制や買収余力があったとしても、買収した企業を円滑に運営できなければ、M&Aの進行が停滞してしまいます。PMIの目的は、当初想定していた当事者間のシナジーを創出することです。現状認識の過程で、大きく3つのインテグレーションレベルを判断します。インテグレーションレベルとは、いわゆる"方針"であり、統合が必須というわけではありません。

連続的M&Aを検討する企業において、これらの統合方針はすべての買収対象企業に当てはまるものではありません。たとえば、経営陣が続投し、自走できる企業であれば部分統合や既存維持が選択される可能性があります。一方で、再生が必要な企業であれば、完全統合に近い形が想定されます。買収対象企業のケースに応じたPMIパターンを策定すると同時に、すべてに共通する統合方針を確立することが求められます。また、それらを実行する人材として、事業部の現場人材や、コーポレート業務を担う財務、労務、法務などの部門の体制を構築しておくことも重要です。


個別交渉とPMI
このコラムの執筆者
小野 樹

小野 樹

M&Aコンサルティング事業部
ゼネラルパートナー

金融機関や会計事務所とパートナーシップを築き、後継者を育成する企画や取引先企業が抱える経営課題とコンサルティングソリューションをマッチングするアライアンス事業を推進。M&A部門の事業化、仕組みづくり、商品開発、実績づくりを行い、大手企業のバイサイド支援から中小・個人企業のセルサイド支援まで幅広い実績を持つ。

主な実績
  • 大手生活品メーカーの同業買収に関するバイサイドFA
  • 中小システム開発会社のM&Aアドバイザリー
  • 中堅建設業の同業買収に関してのデューデリジェンス
  • 地場ゼネコンのM&A戦略構築支援
  • リサイクル関連会社の企業買収に関するセカンドアドバイザリー
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