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M&A譲渡価格交渉のポイント

2021.06.01

M&Aでは譲渡価額の決定は双方にとって重要な事項であり、適正な価格を決めるために交渉を正確に慎重に進める必要があります。
一般的には「譲受企業は良い企業を安価に譲受けたい、譲渡企業は自社を高く譲渡したい」というギャップが交渉開始時点で既に存在します。この相反する希望をすり合わせるために、交渉が行われます。

適正な価格とは?

適正価格でなければ相手探しは困難


自社を譲渡する際、創業者であれば自社に対する思い入れから価格の要望は高くなりがちです。
中には売上を基準とする方がいます。
企業に価格をつけるのはいかがなものかと思いますが、M&Aが巷でここまで広まった昨今、やはり価格目線にも基準がございます。一般的には「時価純資産+のれん(営業利益を基準に数年分の設定)」が多く使われています。
思いだけではお相手が見つからない場合がございますので、ぜひ譲渡を検討される前には、一度書籍等を御覧になり、自社の価格を頭にいれ希望額を設定してみてはいかがでしょうか。


価格と成約までのスピード

価格と成約スピードは相反する?


価格と成約スピードは相反する関係にあるのではないでしょうか。もちろん高額な価格設定でも、相対取引のため良いお相手がすぐに見つかることはあると思います。
しかし、価格が一般的な企業価値算定の方法から導き出された想定価格よりも高くなればなる程、買い手は少なくなります。
逆に価格が想定価格より低いと、多くの買い手が現れる可能性があります。
よって、売り手はM&Aにおいて何を重要視するのかを今一度考え価格に反映させることも大切です。
事業が好調で、良いお相手が現れれば譲渡しても良いというのであれば、スピードよりも価格に重点を置いても良いでしょう。しかし、体調へ不安や後継者不在から譲渡のスピードを求めるのであれば価格設定を低くすることも必要です。
ご自身のM&Aの意味を一度問うてみてはいかがでしょうか。


トピックス:適正価格はどうやって決まるのか?

「時価純資産+のれん(営業利益を基準に数年分の設定)」で価格が決まると書きましたが、より具体的にお伝えすると、価格にはいくつかの算出方法があります。
ここではその方法につき、簡単に解説いたします。より詳しく知りたい方、実際に算出したい方は是非弊社までお気軽にご相談ください。

①コストアプローチ(ストックアプローチ、ネットアセットアプローチ)
中小企業のM&Aで最もよく使用される、会社の純資産を基に価格を算出する方法です。賃借対照表の簿価を時価に修正し、総資産から負債合計を差し引いて算定する時価純資産法が最もよく使われる計算式になります。
この方法で算出した場合は会社や製品の将来性についての価値観が一切入っていない為、売り手側企業が納得できない額になる傾向が強く、そのため、実際は本記事で記載したように、のれん代を加味した計算式に修正し算出されます。

②マーケットアプローチ
マーケットアプローチは市場価値をベースに算出する方法です。売り手側企業と同一業種、かつサービスや規模が似ている上場企業をいくつか挙げ、各企業の経営指標の倍率(EV/EBITDA)を算出します。売り手側のEBITDAに算出したEV/EBITDAの平均を掛け、その値から純有利子負債を差し引いて算出します。

③インカムアプローチ
こちらはM&A後に見込まれる利益とリスクを考慮し算出する方法で、最も多いのはDCF法です。
見通せる範囲のフリーキャッシュフローの額、割引率を決め、フリーキャッシュフローを割引率を使って割り戻し、事業価値を算出します。割引率は事業がローリスクな場合は低くなり、ハイリスクな場合は高くなります。
算出した事業価値から企業価値を算出し、そこから純有利子負債を差し引いた金額が最終的な価格となります。

この他にも算出方法や、企業様の状況により算出条件が大きく変わりますので、是非一度タナベ経営にご相談ください。

このコラムの執筆者
文岩 繁紀

文岩 繁紀

M&Aコンサルティング事業部
ゼネラルパートナー

金融機関を対象とした経営セミナー運営や、従業員教育支援を経験。M&A部門立ち上げに伴って、M&A部門へ異動。 M&Aアドバイザーとして活躍し、数十件の成約実績を積み、現在に至る。 譲受企業、譲渡企業それぞれの心情を理解し、クライアントに寄り添ったアドバイスを得意としている。

主な実績
  • 上場企業のカーブアウト
  • 債務超過、再生案件のご支援
  • 50件以上のディールを実施
  • 成長戦略や承継問題による、譲受側、譲渡側のアドバイザリー業務の実施
    売り手向け
  • 承継問題や成長戦略による、譲渡側、譲受側、のアドバイザリー業務の実施
    例)建設業の売り手アドバイザー
    サービス業の売り手アドバイザー
    人材派遣業の売り手アドバイザー
    小売り卸の売り手アドバイザー
    ITの売り手アドバイザー
    医薬関連の売り手アドバイザー
    運送業の売り手アドバイザー
    旅行業の売り手アドバイザー
    製造業の売り手アドバイザー 等
    ※成約件数約50件程で多種多様な業種の支援を実施。
    売上:数千万円から数十億円の案件をご支援。
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