取材先様のお役職は、取材当時のもの、タナベ経営社員の役職は、2020年現在のもの
140周年を迎えた老舗企業 架線金物を主力に事業拡大
内田鍛工 専務取締役
内田 圭士郎氏内田鍛工は1877年、内田洋一郎社長の曽祖父に当たる内田銀次郎氏が鍛造品製造工場を設立して創業。2017年に創業140周年を迎えた老舗企業だ。三重県四日市市に置く本社を中心に、北海道と九州に拠点を設け、それぞれのエリアの特性に合わせた製品を全国へ提供している。
同社は創業以来、鉄の加工技術をベースに発展を遂げ、特に電力会社向けの架線金物(配電用装柱用品)を主力商品として事業を拡大。現在は電力分野にとどまらず、情報通信、建築、交通、電気機器、農業・水産などへと事業のフィールドを広げる。太陽電池モジュール架台、フェンス、ガードパイプや牧柵、自走式駐車場、洞道内金物、照明柱、通信鉄塔やシステムポールなど多岐にわたる鉄製品で、私たちの暮らしを支えているのだ。
鉄は熱いうちに"叩け" 若手社員研修が充実
内田鍛工 総務部総務課
山下 理恵氏 「高い加工技術力とそれを受け継ぐ人を育て、社員全員で工夫し、日本の工業の基礎を支える」。そんな思いを込めて、社名は鍛造ではなく、あえて鍛工の字を当てた経緯があるという。
社名の由来の通り、長い歴史の中で同社は継続して人材育成に力を入れ、日本の産業発展を支えてきた。中でも創業者の提唱した「鉄は熱いうちに"叩け"」、つまり若いうちにさまざまな機会を与えるべき、という教育理念は今も脈々と受け継がれている。
特に近年、同社はグループ全体で入社1~3年目の若手社員教育を強化している。例えば、入社1年目は報告・連絡・相談など基本的なビジネススキル、2年目になるとコミュニケーションスキル、3年目には問題の発見・解決といった具合に、年次ごとにテーマを設定し、順次習得できるよう体系的な研修をグループ3社合同で実施。この若手社員の教育研修プログラムは「CONNECT(コネクト)、未来につなげる」をテーマに、タナベ経営と共に構築したものである。
研修の成果もあり、若手社員の成長は目覚ましく、定着率も向上しているという。一方、若手社員の育成が進むにつれ、「彼らの上司も学び、変わっていく必要がある」といった新たな課題も浮上。内田社長の意向もあり、2018年から30歳代の若手社員を中心に人生観や仕事観などをテーマにした新たな研修を開始している。
専務の内田圭士郎氏は「社員や会社の成長につなげるために、社員一人一人の能力を高めていくことが大切。学びの機会も活用しながら徳を高めてもらい、豊かな人生を送ってもらいたい」と語る。同社ではこの他にも、一般研修、マシニング研修、幹部研修、経営管理研修など、社員のレベルに応じた研修を実施し、ステップアップを図りやすいよう支援している。
200年企業を見据えた人材育成、働き方を追求
新卒採用を継続している内田鍛工は近年、インターンシップを実施しており、2018年冬も大学3年生のインターン生を受け入れた。「職場の雰囲気や社員の様子も含めて自社を知ってもらい、ミスマッチを防ぐことで採用後の定着・活躍を促したい」(総務部総務課の山下理恵氏)との考えだ。
また、新卒採用時にはタナベ経営の「My KARTE(性格特性診断・性格能力判定)」を実施。社員一人一人の特性を把握し、採用した人材の育成や指導に生かすことが目的である。
「無難な人材だけでなく、ユニークでエッジの効いた人材、思考性や創造性の高い人材も積極的に採用したい。そうした人材を見極める評価ツールとしてもMy KARTE(性格特性診断・性格能力判定)は最適。また、こうした人材を採用したとき、当社で育てられる環境を整えることも必要」と内田専務。同社では採用以外にも、昇格時のスキルチェック機能としての活用なども検討していきたいという。
内田専務は今後、多様な働き方にも柔軟に対応する考えを示す。企業の人手不足が深刻化する中、従業員の多様な働き方に対応できるかどうかが、人材の獲得・定着の成否を握るからだ。「例えば、全員が同じ時刻に出社し、同じ時刻に帰る働き方が本当に必要だろうか?そもそも会社に来る必要があるのか?今後も今の営業スタイルでよいのか?など、今までの常識や手法にとらわれず、根本的に働き方を見直すことも必要になる。社員によってそれぞれ都合や事情も異なるので、多様な働き方に柔軟に対応できる組織づくりを進めて、よい人材の確保につなげていきたい」(内田専務)
「企業は人なり」といわれる通り、企業にとって最大の資産は「人」である。同社が創業150年、200年を迎えるためにも、人づくりへの継続的な取り組みが必要不可欠であることは言うまでもない。同社の未来を担う社員に向けて、内田専務は「失敗を恐れず、とにかくチャレンジしてほしい。世の中に常に必要とされ続けるために、自分たち自身が常に変化し、進化していく集団でありたい」と熱いエールを送る。
タナベ コンサルタントEYE
経営コンサルティング本部
チーフコンサルタント 水谷好伸内田鍛工グループは三重県をはじめ北海道、佐賀県に子会社を展開。創業以来140年以上、鉄を加工する匠(たくみ)の技をベースに、電力会社向けの架線金物を主力商品として飛躍してきた。固有技術を活用し、電力分野以外にも情報通信、建築、交通、電気機器、農業・水産など多様な分野へ事業を展開している。
「昨日より今日、今日より明日へ」。新しく便利な暮らし創造の一翼を担うことを喜びとし、同社はさらに新分野の開拓に向かっている。「未来を拓く企業力を高めるためには、社員一人一人の能力向上が必要」との考えから、次世代を担う人材育成への投資も積極的だ。グループの今後の進化が楽しみである。
会社プロフィール
- 会社名
- 内田鍛工株式会社
- 所在地
- 〒512-8062 三重県四日市市黄金町58
- 創業
- 1877年
- 代表者
- 代表取締役社長 内田 洋一郎
- 売上高
- 31億1982万円(2018年5月期)
- 従業員数
- 138名(2018年5月現在)
- URL
- http://www.utk.jp/
- 会社名
- 北海道内田鍛工株式会社
- 所在地
- 〒069-1507 北海道夕張郡栗山町字旭台23-81
- 代表者
- 代表取締役社長 内田 圭士郎
- 会社名
- 九州内田鍛工株式会社
- 所在地
- 〒848-0146 佐賀県伊万里市黒川町黒塩字分崎2098-1
- 代表者
- 代表取締役社長 内田 洋一郎