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M&A仲介会社とは?
事業承継に悩む経営者のための選び方を解説

2026.08.25

「後継者がいないが、廃業は避けたい」
「DMや営業電話で頻繁に連絡があるが、信用してよいのかわからない」
「M&Aを検討しているが、どの会社に相談すればよいかわからない」
こうした悩みを抱える中小企業の経営者にとって、M&A仲介会社は有力な相談先の一つです。
ただし、M&A仲介会社であればどこでも同じというわけではありません。事業承継を目的とするM&Aでは、譲渡価格だけでなく、従業員の雇用、取引先との関係、社名や企業文化の引き継ぎなど、経営者が大切にしたい条件が多くあります。そのため、自社に合った支援会社を選べるかどうかが、その後の進め方を大きく左右します。

この記事では、M&A仲介会社の基礎から、事業承継で後悔しにくい選び方まで、分かりやすく整理して解説します。

1.M&A仲介会社とは?事業承継を支える基本的な役割


M&A仲介会社の役割

M&A仲介会社とは、会社を譲りたい側と、譲り受けたい側の間に立ち、成約に向けて支援する会社です。一般的には、次のような業務を担います。

経営者への相談対応
譲渡の目的や希望条件の整理
相手先企業の探索、紹介
条件交渉のサポート
基本合意や最終契約に向けた調整
スケジュール管理や関係者との連携支援

M&Aは、単に相手を見つければ終わりではありません。秘密保持、条件調整、資料準備、交渉、契約など、段階ごとに専門的な対応が必要です。仲介会社は、その全体の流れを支える役割を持っています。

事業承継でM&A仲介会社が選ばれる理由

事業承継型のM&Aでは、オーナー経営者が日常業務を続けながら検討を進めるケースが少なくありません。そのため、M&A仲介会社には、まず何から着手すべきかを整理し、外部に情報を漏らさないよう配慮しながら進め方を設計する役割が求められます。さらに、自社に合った候補企業を探し、条件面だけでなく感情面も含めて経営者の判断を支えることも重要です。特に中小企業では、社長自身が営業、人事、財務まで幅広く担っていることも多く、M&Aの検討に十分な時間を割けない場合があります。そうした状況において、仲介会社の支援は実務面で大きな助けになるでしょう。

仲介会社とFA・士業との違い

M&Aの相談先には、仲介会社のほかにFA、会計士、税理士、弁護士などがあります。

•仲介会社
売り手と買い手の間に立ち、全体の調整を進める

•FA
原則としてどちらか一方の立場で助言する

•士業
法務、税務、会計など専門分野ごとに支援する

事業承継を初めて検討する経営者にとっては、まず全体像を整理しながら進めたい場面も多いため、仲介会社に相談するケースは多く見られます。

M&A仲介会社とは?事業承継を支える基本的な役割

2.事業承継でM&A仲介会社を利用するメリットとデメリット


事業承継でM&A仲介会社を利用するメリットは、候補企業の探索から交渉、契約に至るまで、一連の流れを見通しながら支援を受けやすい点にあります。
前述したように、M&Aでは相手探しだけでなく、条件整理や面談調整、交渉、契約対応など複数の工程が発生するため、全体の進め方を把握したうえで伴走してもらえることは、経営者にとって大きな支えになります。

また、事業承継の検討を、早い段階で社内外に知られると、従業員や取引先に不安を与える可能性があります。仲介会社は匿名情報での打診や秘密保持契約の運用など、情報管理に配慮しながら支援を行うのが一般的です。さらに、本業を続けながら相手探しや交渉を進めるのは簡単ではないため、資料準備の進め方や論点整理、各種調整を任せやすいことも、経営者の負担軽減という意味で大きなメリットといえるでしょう。

一方、デメリットとしては、M&A仲介会社であればどこでも同じ支援を受けられるわけではなく、対応する業界や企業規模、案件の進め方、担当者の経験などによって、得意分野や支援の質に差がある点が挙げられます。そのため、自社に合わない会社へ依頼してしまうと、紹介先の質やコミュニケーション面で不満が生じることもあります。

また、費用は重要な比較要素ではあるものの、手数料の安さだけで判断すると、必要な支援範囲が十分に含まれていなかったり、事業承継で重視したい条件整理が不十分になったりする恐れがあります。加えて、事業承継におけるM&Aでは、譲渡価格だけでなく、従業員の処遇や取引先との関係維持、現経営者の引継ぎ期間、社名やブランドの扱い、今後の事業継続方針といった条件も同じくらい重要になります。こうした価格以外の論点まで丁寧に整理し、経営者の意向を踏まえて進めてくれるかどうかは、仲介会社を選ぶうえで重要な見極めポイントです。

3.失敗しないM&A仲介会社の選び方


会社の知名度だけで相談先を決めてしまうと、自社の業界や事業承継の事情に本当に合っているかを十分に見極められないことがあります。また、手数料の安さや「高く売れます」といった説明だけをうのみにしてしまうのも注意が必要です。

事業承継型M&Aの実績があるか

事業承継を目的としたM&Aでは、成長戦略としての買収支援とは異なる視点が求められます。成長戦略型のM&Aでは、事業拡大やシェア獲得などが主な論点になりやすい一方、後継者不在に伴う事業承継型M&Aでは、譲渡価格だけでなく、従業員の雇用や地域との関係、さらにオーナーが大切にしてきた想いをどのように引き継ぐかも重要な判断材料になります。そのため、仲介会社を選ぶ際には、事業承継案件の支援実績があるかを確認することが大切です。あわせて、中小企業の支援経験があるか、自社と近い業界での経験を持っているか、さらにこれまでどのような課題に対応してきたのかを具体的に説明できるかといった点も、見極めのポイントになるでしょう。

自社の業界や事業モデルへの理解があるか

同じ中小企業でも、製造業、卸売業、建設業、医療関連、ITなどで見られるポイントは変わります。業界特性を理解していないと、強みの伝え方や候補企業の選定にズレが出る可能性があります。
また、事業承継の相談では、数字だけでなく感情面の整理も欠かせません。相談しやすさも軽視できない要素です。

支援範囲が明確か

支援範囲が明確かどうかも、M&A仲介会社を選ぶうえで重要なポイントです。仲介会社によって対応できる範囲は異なるため、どこまで支援してもらえるのかを事前に確認しておくことが大切です。例えば、初期相談への対応に加え、企業概要書などの資料作成を支援してくれるか、候補先の探索をどのように進めるのか、面談や交渉に同席してくれるのかといった点は、あらかじめ確認しておきたいところです。

さらに、基本合意に至るまでの条件調整や、弁護士・会計士・税理士などの専門家との連携、成約後の引継ぎやPMIに関する助言まで対応しているかどうかによって、実際の進めやすさは大きく変わります。そのため、価格や知名度だけで判断するのではなく、自社が必要とする支援をどの範囲まで受けられるのかを具体的に見極めることが大切です。

M&A仲介会社を選ぶ際には、情報管理や秘密保持の体制に加えて、買い手探しの方法やネットワーク、さらには成約後まで見据えた対応力があるかどうかも重要な確認ポイントになります。M&Aでは情報の取り扱いが非常に重要であり、「どの段階で何を開示するのか」「匿名でどこまで打診するのか」といった進め方が曖昧なままだと、従業員や取引先をはじめとする社内外への影響が大きくなる恐れがあります。

また、候補企業の見つけ方は成約可能性にも大きく関わるため、単に紹介先の数が多いかどうかだけでなく、自社の希望条件に合う相手をどのような考え方で探していくのかを具体的に説明できるかも確認したいところです。M&Aは成約すれば終わりというものではなく、その後の引継ぎや現場の統合が円滑に進まなければ、従業員や取引先に負担が生じることもあります。そのため、仲介会社がPMIまで見据えた視点を持ち、成約後の進め方についても一定の助言や支援ができるかどうかは、事業承継型M&Aにおいて特に大切な見極めポイントといえるでしょう。

仲介会社を選定するために、M&Aを検討する経営者自身も、あらかじめ考えを整理しておくと相談が進めやすくなります。たとえば、価格を最優先するのか、従業員の雇用維持を重視するのか、取引先との関係をできるだけ維持したいのかといった譲れない条件を明確にしておくことで、仲介会社とも方向性を共有しやすくなります。会社の強みだけでなく、現時点で抱えている課題についても早めに整理しておくことも重要です。
実態を正しく把握できれば、仲介会社としても無理のない進め方を考えやすくなります。なお、「まだM&Aをするか決め切れていない段階で相談するのは早いのではないか」と感じる経営者もいますが、実際には初期段階で相談したほうが選択肢を比較しやすくなることもあります。

売却を前提にするのではなく、まずは現状を整理し、自社にどのような可能性があるのかを把握するための相談として始めることも十分に可能です。

失敗しないM&A仲介会社の選び方

4.よくある質問


ここまで、M&A仲介会社の役割や選び方、見極める際のポイントについて整理してきました。実際には、検討を進める中で「いつ相談すべきか」「何社くらい比較すべきか」「まだ売却を決めていなくても相談できるのか」といった疑問を持つ経営者も少なくありません。そこで、M&Aご支援している中でよく寄せられる質問をまとめました。

①M&A仲介会社に、いつ相談すればよいですか

M&Aや事業承継の相談は、方針が固まってから始めるものと思われがちですが、実際には早い段階で相談した方が進めやすい場合もあります。早めに情報収集や論点整理を進めておくことで、結論を急がず、自社に合った選択肢を比較しやすくなるためです。事業承継を進めるかどうかを決めてから相談するのではなく、方向性を整理するために相談するという考え方もあるでしょう。

②仲介会社は1社に絞るべきですか

初期段階では、複数の仲介会社を比較しながら相談先を検討することにも意味があります。各社で支援方針や得意分野などが異なるため、あらかじめ見比べておくことで、自社に合う相談先を判断しやすくなります。一方で、実際に案件を進める段階では、窓口を1社に絞った方が、情報管理ややり取りの面で進めやすいことが一般的です。

③まだ売却を決めていなくても相談できますか

まだ売却を決めていない段階でも相談は可能です。実際には、まず現状を整理し、自社にどのような選択肢があるのかを確認する目的で相談する経営者も少なくありません。相談したからといって、必ずM&Aを進めなければならないわけではないため、方向性が固まっていない段階でも過度に構える必要はありません。必要に応じて、一定期間を設けて情報収集や可能性の確認を進めながら、今後の方針を検討していく進め方も考えられます。

よくある質問

5.最後に


事業承継におけるM&Aは、会社を手放す話というより、会社の未来をどうつなぐかを考える経営判断です。だからこそ、仲介会社選びでは、知名度や費用だけでなく、自社の事情を理解し、丁寧に伴走してくれるかどうかを見極めることが大切です。比較の軸を持って相談先を検討することで、納得感のある進め方につながりやすくなるでしょう。

このコラムの執筆者
文岩 繁紀

文岩 繁紀

M&Aコンサルティング事業部
ゼネラルパートナー

金融機関を対象とした経営セミナー運営や、従業員教育支援を経験。M&A部門立ち上げに伴って、M&A部門へ異動。 M&Aアドバイザーとして活躍し、数十件の成約実績を積み、現在に至る。 譲受企業、譲渡企業それぞれの心情を理解し、クライアントに寄り添ったアドバイスを得意としている。

主な実績
  • 上場企業のカーブアウト
  • 債務超過、再生案件のご支援
  • 50件以上のディールを実施
  • 成長戦略や承継問題による、譲受側、譲渡側のアドバイザリー業務の実施
    売り手向け
  • 承継問題や成長戦略による、譲渡側、譲受側のアドバイザリー業務の実施
    例)建設業の売り手アドバイザー
    サービス業の売り手アドバイザー
    人材派遣業の売り手アドバイザー
    小売り卸の売り手アドバイザー
    ITの売り手アドバイザー
    医薬関連の売り手アドバイザー
    運送業の売り手アドバイザー
    旅行業の売り手アドバイザー
    製造業の売り手アドバイザー 等
    ※成約件数約50件程で多種多様な業種の支援を実施。
    売上:数千万円から数十億円の案件をご支援。

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