人事制度説明会を通して制度の持つ本質的な価値まで落とし込むことが重要である
人事制度説明会の重要性
ニューノーマルな時代において働き方の多様化が進む中、社員に対する考え方も転換期を迎えている。人的資源(コスト)という考え方から人的資本(価値)と考え、人財価値を高めていくことにより企業価値を高めていくという考え方へと変わりつつある。こうした社会変化の中で、経営における人事制度は非常に大きな役割を担っている。
そんな中、タナベコンサルティングでは、人事制度は制度2割・運用8割と提唱している。いくら良い制度でも運用されなければ意味がなく、社員が理解し、自身の成長やキャリア形成に繋げる制度でなければならない。例えば制度を改定し、変更点を文章やガイドブックのみの伝え方であれば、改定した趣旨・目的が伝わりにくく表面的な理解になりかねない。
さらに社員が改悪と誤認してしまった場合や納得できる説明がない場合、不信感を与えるだけでなく最悪の場合制度の再設計が退職につながる可能性もある。つまり人事制度を再設計しても伝え方次第では逆効果に繋がる可能性がある。そうならないよう社員が人事制度を理解し、スムーズな運用につなげていくために人事制度説明会で押さえるポイントを伝えていきたい。
人事制度説明会で押さえるべき4つのポイント
1.人事制度の目的を伝える
制度の詳細な仕組みから入るのではなく、制度再設計に至った背景や経営者としての制度にかける想いや目的を伝えていただきたい。
人事戦略は経営戦略の一つであり、人事担当者だけで進めるのではなく経営者と一体となって進めていく事が重要である。
経営者自身も真摯に向き合っていく事が人事制度の浸透へと繋がる。
2.階層別の説明会の実施
人事制度説明会について、考課を行う管理職層から実施することが大切である。なぜなら先に人事制度説明会を実施することにより、新たな制度に基づき部下の育成方針やキャリアプランを活用することができるなど、管理職層も運用側として巻き込むことにより制度運用がスムーズに進みやすくなる。
3.可能な限り対面での実施
人事制度は社員にとって大きな変化をもたらす内容となるため、極力対面で実施する事をおすすめする。とはいえ、企業規模や多拠点展開している企業などはすべてを対面で進める事は難しい場合は、現場に一名管理職層にご参加頂き、適宜現場サポートいただく事も検討したい。
4.繰り返し行っていく事を前提に進める
1回の説明会において全ての情報を伝えるのではなく、改定したポイント・改定や制度の目指すべき姿を繰り返し伝え、浸透させる事が重要である。そのためには変更内容によっては階層別や年次別で対象を分け、説明することも検討していただきたい。また、制度改定することにより賃金が下がる社員がいる場合などは個別に行うなど質問しやすい環境を整えることにも配慮する必要がある。
人事制度説明会の企業事例
タナベコンサルティングでは人事制度構築から運用サポートを複数社行っている。
その中でも一例をご紹介する。
中堅メーカー企業/社員数800名/売上160億円/国内外に複数工場あり
中期経営計画の一環として人事制度を再構築。人事制度説明会では、質問しやすいよう工場のラインごとに小グループで複数回開催。さらに説明動画を作成し、ガイドブックと動画でいつでも閲覧できる環境を整えている。また考課者に対してどの部門でも等しく評価できるよう訓練を実施。評価尺度の目線合わせと評価をする本質の研修を行う。運用開始後も評価基準に合った評価ができているかタナベコンサルティングがチェックし安定運用を目指している。
出所:タナベコンサルティングにて作成
さいごに
人事制度は会社の目指すべき姿・業績目標達成に向けて、人材をどのように評価し、育成していくかを示したものである。人事制度説明会を通して、改めて会社のビジョンを示し、社員はキャリアパスを描く機会にすることが重要である。
人的資本として社員の価値を高めていくには、単なる説明会で終わるのではなく、人事制度をもとに上司と社員がコミュニケーションを取る機会を作り、社員の成長やモチベーションUPに繋げる事が重要である。
この課題を解決したコンサルタント
タナベコンサルティング
HRコンサルティング事業部
チーフコンサルタント柴田 貴也
- 主な実績
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- 金属商社:人事制度再構築支援
- 物流業:人事制度再構築支援
- コールセンター:人事制度再構築支援
- 金型製造業:事業再生支援
- 化粧品製造業:執行役員制度構築支援 など