M&A事例
廃業を検討も、技術力のある
従業員と長年の取引先をM&Aにより承継

譲渡企業(A社)
業 種 製造業
売上規模 5千万円未満
譲受け企業(B社)
業 種 設備工事業
売上規模 1億円~5億円
譲渡企業様の概要
当社オーナーの社長が創業者で、70歳。
奥様と、ベテラン従業員1名の3名体制の企業。
取引先は創業時からという長年の関係性。
金融機関借入は無借金だが、収益は今一つという課題があった。

譲渡企業様の課題
社長夫妻にご子息はおられず、ベテラン従業員も後を継がないという意思のため、後継者不在であった。
無借金のため、廃業という選択肢もあったが、1名の従業員の雇用と長年の取引先との仕事を継続してもらいたいという社長夫妻の希望からM&Aを検討した。
トピックス:廃業とM&A、それぞれのメリットとデメリット
廃業とは、計画的に会社を解散させる事であり、実は法律上の名称ではありません。株主総会で解散決議が可決された上で、会社の財産の清算手続を計画に基づいて行い、会社を自主的に解散させることを指します。
経営者が引退を考えた際、後継者の心配が一切必要ない点は利点ですが、取引先が中小企業である場合は、その会社との取引がなくなることで迷惑をかける事となります。従業員も再雇用先を探す時間的・金銭的余裕がある状態とはいえ、必ずしも再雇用が叶うとも限りません。本ケースの場合、取引先は長く取引を行ってきたA社用に設備投資を行っており、今後も継続した取引を望んでいました。従業員も技術のあるベテランとはいえ、再就職は容易ではない状況でした。
一方M&Aは、買い手の検討や調査、各手続き等の業務負担はデメリットとして挙げられますが、企業活動を継続できることが最大のメリットと言えます。
取引先との取引は継続しますので、その取引先にかかる負担はほとんど無くなります。従業員の雇用も保証されるため、本人や家族の生活や収入を守ることにも繋がります。
本ケースで社長夫妻が懸念されていた取引先、従業員の継続という点において、事業承継のためのM&Aは最良の選択肢と言えます。
譲受け企業探索の基本方針
従業員・取引先の継続と、最低限の売却金額の条件を設定した。
規模や内容から譲受先がでるのかと心配をされておられたが、同県内と他県で複数の企業へ提案。
異業種であるが近いビジネスをしている1社が強く興味を持ち、交渉は円滑に進んだ。
事業承継M&A成功のポイント
他県と遠方の譲受企業であったが、譲渡企業へと何度も足を運んでいただいた。
特に、始めの面談から1週間後には意向表明書を持参され、キーマンとなる従業員との面談も行い、譲渡後の希望・体制について深く話し合いを設けた。
通常、M&Aは従業員には初期段階で開示しないことが多いが、社長夫妻のご理解もあり、交渉の初期段階から従業員と良い関係性を築くことができた。
成果
-
1.後継者問題の解決
半年程度の社長による引継ぎ期間を設けた後、当社幹部への承継の体制を築くことができた。
社員承継でネックとなっていた経営の責任については、譲受側グループ企業の1社となる事で解消ができた。 -
2.従業員の雇用継続
ベテラン従業員は、譲受企業の希望で役員に就任いただき、待遇面の向上と更なる活躍をしていただいている。
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