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債務・借入があってもM&Aはできる?徹底解説

2022.08.26

債務・借入があってもM&Aはできる?


中小企業の事業承継問題が進む中、後継者のいない企業経営者の方は、選択肢として一度はM&Aによる第三者承継を考えられたことがあるのではないでしょうか?
筆者は、年間に数十社の後継者不在企業の経営者からご相談を頂いており、そのほとんどが年商数億円の中小企業です。よくご面談時に「わが社のような中小企業を買収したいと思う譲受候補企業はあるのでしょうか」というご質問や「借金がたくさんあって引き受けてもらえないのでは」というお声をいただきます。その答えとして、借金がある中小企業であっても、関心を示される企業はあるだろうという回答をしています。数年間赤字の企業、債務超過の企業等からご相談を頂いたこともありますが、相手先を探し無事売却となり第三者承継を完了されています。これも1社でなく複数社ございます。
ただし、借入金が多くあると株価はあまり期待することができません。株価の計算は、皆さまご存知の通り、中小企業では「純資産法」がよく用いられます。そのため、年々赤字を出し過去積み上げた利益が目減りしていたり、債務超過であったり、借入金が現預金を大幅に超えている等の内容であれば、ほぼほぼ株価はつきにくいと思っていただく必要があります。しかしながら、株価がつかなくても企業は存続し、従業員の雇用は守られ、債務の連帯保証の解除等を約束頂けるという定性的な部分でのメリットは多くあります。


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相手先が見つかる可能性が高いのは?


前述したように、債務・借入金があっても譲受候補は現れると記載しましたが、もちろん赤字企業・借入過多の企業、その全てに相手先が現れるということはありません。それでは、どのような企業・どのようなパターンだと相手先が見つかる可能性があるのでしょうか。以下簡易に整理をさせて頂きます。

①同業との提携:スケールメリットによるコスト改善や売上拡大が見えており、損益改善ができるケース
→共同仕入、同居による賃料削減、顧客先へのクロスセル等のケース
②周辺業種との提携:自社もしくは従業員に固有の技術・ノウハウがあり、相手方がそれを欲している・内製化したいケース
→有資格者の人数・年齢、ITだとスキル・実績経験、特許 等

上記のように、借金があるから「候補先が現れないのでは?」、「うちみたいな中小企業を・・・」といったご心配をされることがありますが、決してそんなことはないので、廃業という企業を存続させない手法ではなく、存続させ続けるということを目的にM&Aをご検討いただければと思います。


相手先が見つかる可能性が高いのは?|債務・借入があってもM&Aはできる?徹底解説

M&A後の債務・借入金はどうなる?


M&A後の負債・借入金の債務の取り扱いについて、気になる方も多いのではないでしょうか。
債務については、M&Aのスキームによって取り扱いが異なることが一般的です。M&Aのスキームとしては、主に株式譲渡と事業譲渡があげられますが、それぞれの債務の取り扱いについては以下のようになります。

・株式譲渡の場合
株式譲渡を行う場合、株式ごと譲受企業が所有することになり、債務や借入金についても同時に買手会社に引き継がれることが一般的です。

・事業譲渡の場合
事業譲渡を行う場合、株式は譲渡企業に残したまま事業のみを売却するため、債務や借入金については売手企業に残ることが一般的です。

M&A後に債務が残ることを不安に思う方も多いかもしれませんが、事業譲渡で得た収益で、借入金を返済できる可能性もあるので、一概に株式譲渡、事業譲渡どちらが良いとは断定できません。それぞれの企業にあったM&Aのスキームを検討していく必要があります。また、連帯保証人である経営者個人の債務の取り扱いについては、M&A成立前に必ず確認し、条項に含めておくと良いでしょう。


このコラムの執筆者
小野 樹

小野 樹

M&Aコンサルティング事業部
ゼネラルマネジャー

金融機関や会計事務所とパートナーシップを築き、後継者を育成する企画や取引先企業が抱える経営課題とコンサルティングソリューションをマッチングするアライアンス事業を推進。M&A部門の事業化、仕組みづくり、商品開発、実績づくりを行い、大手企業のバイサイド支援から中小・個人企業のセルサイド支援まで幅広い実績を持つ。

主な実績
  • 大手生活品メーカーの同業買収に関する譲受側M&Aアドバイザリー
  • 中小システム開発会社のM&Aアドバイザリー
  • 中堅建設業の同業買収に関してのデューデリジェンス
  • 地場ゼネコンのM&A戦略構築支援
  • リサイクル関連会社の企業買収に関するセカンドアドバイザリー

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