BtoBマーケティングにおけるKPI設定のポイントとは

コラム 2024.06.12
マーケティングDX デジタルマーケティング企業成長
BtoBマーケティングにおけるKPI設定のポイントとは
目次

営業のデジタルシフトの重要性が高まる中、BtoBデジタルマーケティングに関するご依頼が増えています。
このコラムでは、BtoBマーケティングにおけるKPI設定のポイントについて考察していきます。


1.BtoBマーケティングとは

BtoBマーケティングとは、企業間で行われるマーケティング活動であり、企業が他の企業を顧客として対象にします。商品やサービスの提供、契約、取引が主な焦点であり、一般消費者向けのマーケティングとは異なります。企業間の取引やビジネス関係の構築を目的とし、取引規模や契約の複雑さが特徴です。顧客企業は専門的なニーズや要件を持ち、通常、複数の決裁者や購買意思決定者が関与します。

BtoBマーケティングの具体例として、IT企業がクラウドソリューションやソフトウェアを他社の企業に提供してビジネスプロセスを支援することが挙げられます。製造業では部品や機械装置の供給を行い、他社の製造プロセスをサポートします。

BtoBマーケティングの特徴は、長期的なビジネス関係の構築や維持が重要であり、顧客の規模や業界に応じて戦略が異なります。大手企業にはビジネスソリューションやパートナーシップが、中小企業にはコスト効率の高いソリューションやサポートが焦点となります。企業間のマーケティングは専門的で複雑なニーズに対応することが求められ、取引プロセスは消費者向けのマーケティングとは異なる特性を持ちます。

2.BtoBマーケティングにおけるKPIとは

BtoBマーケティングにおけるKPI(Key Performance Indicator)は、マーケティング活動の成果や効果を測定し、ビジネス目標の達成度を評価するための重要な指標です。BtoBマーケティングでは、単純な売上や利益だけでなく、顧客獲得や顧客維持、リード生成、顧客満足度の向上など、さまざまな要素が成果として重要視されます。そのため、適切なKPIを設定し、定量的かつ定性的にマーケティング活動の効果を評価することが必要です。

BtoBマーケティングにおけるKPIは、主に以下のような領域で設定されます。

顧客獲得とリード生成

BtoBマーケティングでは、新規顧客獲得が重要なKPIの一つです。これには、リード(見込み顧客)の生成数や質、新規顧客獲得コスト(CAC: Customer Acquisition Cost)などが含まれます。マーケティング活動がどれだけ効果的に新規ビジネス機会を創出し、顧客獲得につながっているかを測定することが重要です。

顧客維持とロイヤリティ

BtoBマーケティングでは、既存顧客の維持やロイヤリティの向上も重要なKPIです。顧客の継続率(Retention Rate)やリピート購買率、顧客満足度指標(NPS: Net Promoter Score)などが使われます。顧客維持やロイヤリティの向上は、顧客生涯価値(CLV: Customer Lifetime Value)の最大化やブランド価値の向上につながります。

売上成約率と取引効率

BtoBマーケティングでは、顧客との取引効率や売上成約率の向上が重要なKPIです。これには、セールスサイクルの短縮、契約締結率(Conversion Rate)、セールスチームの生産性向上などが含まれます。マーケティング活動がビジネスの成約率や取引効率向上にどれだけ貢献しているかを評価することが重要です。

顧客満足度とブランド認知

BtoBマーケティングでは、顧客満足度やブランド認知の向上も重要なKPIです。顧客からのフィードバックや評価、ブランド認知度の向上度合いを定量的・定性的に評価します。顧客満足度の向上はリピートビジネスや口コミによる新規顧客獲得につながります。
これらのKPIは、BtoBマーケティングのマーケティング戦略やタクティクスの評価や改善に活用されます。マーケティングチームやセールスチームは、KPIの定期的なモニタリングと分析を通じて、成果を可視化し、戦略の調整や最適化を行います。また、KPIは企業のビジネス目標と直結しており、マーケティング活動が企業戦略や利益最大化にどのように貢献しているかを明確にします。

BtoBマーケティングにおけるKPI設定は、企業の成長戦略や競争力強化に不可欠な要素であり、継続的な改善と最適化を通じてビジネスの成功に向けて重要な役割を果たします。

3.BtoBマーケティングにおけるKPI設定の重要性

BtoBマーケティングにおけるKPI設定は、企業が他の企業を顧客として対象にするマーケティング活動において極めて重要です。BtoBマーケティングは、消費者向けのマーケティングとは異なり、複雑な取引プロセスや長期的な関係構築が求められるため、適切なKPIを設定することでマーケティング戦略の効果を評価し、ビジネスの成果を最大化することが可能となります。

(1)マーケティング活動の効果を定量的に評価する

BtoBマーケティングでは、単純な売上数字だけではなく、顧客獲得の効果や顧客維持の成功度、市場シェアの拡大など、さまざまな要素がマーケティング活動の成果を構成します。適切なKPIを設定することで、これらの要素を定量化し、マーケティングの効果を客観的かつ数値的に評価することが可能です。例えば、リード獲得数や顧客獲得コスト(CAC:Customer Acquisition Cost)、顧客の継続率(Retention Rate)などが重要なKPIとなります。

(2)ビジネス目標との連動を促進する

BtoBマーケティングにおけるKPI設定は、企業のビジネス目標との連動を促進する重要な役割を果たします。マーケティング活動は単なる売上増加だけでなく、顧客獲得数の増加や顧客のロイヤルティ向上、新規市場への展開など多岐にわたるビジネス目標を支援する役割を担っています。適切なKPIを設定することで、マーケティング活動がどのようにビジネス目標の達成に貢献しているかを明確化し、戦略の最適化やリソースの効率化を図ることができます。

(3)マーケティング戦略の評価と改善を支援する

BtoBマーケティングでは、競争が激しく市場環境が変化しやすいため、マーケティング戦略の定期的な評価と改善が不可欠です。適切なKPIを設定することで、マーケティング活動の成果や効果を客観的に評価し、戦略の強化や改善をサポートします。定量的なKPIデータを分析することで、どのマーケティング活動が効果的であり、どの領域に改善の余地があるかを把握し、迅速かつ適切な対策を講じることが可能となります。

(4)チーム間の連携と業績評価を助ける

適切に設定されたKPIは、マーケティングチームやセールスチーム間での連携を促進し、業績の評価や改善に貢献します。共通のKPIを定義することで、異なる部門間での業績評価やフィードバックが円滑に行われるようになります。また、KPIの設定と定量的な評価は、チームメンバーのモチベーション向上や成果の可視化にも寄与します。

総括すると、BtoBマーケティングにおけるKPI設定は、マーケティング活動の成果を定量化し、ビジネス目標との連動を図り、マーケティング戦略の評価と改善を支援し、チーム間の連携と業績評価を助ける重要な要素です。適切なKPI設定によって、企業は効果的なマーケティング戦略を展開し、競争力を強化し、持続的な成長を実現するための基盤を築くことができます。

4.BtoBマーケティングのKPI設定のポイント

KPIは、ただ設定すれば良いわけではなく、きちんと管理することが大切です。適切なKPI管理を行うことは、生産性やモチベーションを高めることに繋がります。
以下では、BtoBマーケティングにおけるKPI設定のポイントについて詳しく見ていきます。

(1)ビジネス目標との整合性

まず最初に重要なのは、KPIが企業のビジネス目標と整合しているかどうかです。マーケティング活動の目的は、ビジネス目標の達成を支援することであるため、KPIはその目標達成を定量的に評価するための指標として設定されるべきです。例えば、ビジネス目標が売上拡大や新規顧客獲得ならば、それに関連するKPI(売上成長率、新規顧客数など)を設定することが重要です。

(2)特定の重要な成果指標の選定

BtoBマーケティングでは、顧客獲得やリード生成、顧客維持、セールス効率の向上など、特定の成果指標が重要です。KPI設定のポイントとしては、企業が最も重視する成果指標を特定し、それに関連するKPIを設定することが挙げられます。例えば、リード獲得数や質、顧客継続率、コンバージョン率などが重要な成果指標として考えられます。

(3)測定可能性と定量化

KPIは具体的で測定可能な数値であることが重要です。具体的な数値目標を設定することで、マーケティング活動の成果を客観的に評価し、進捗を追跡することが可能となります。例えば、リード獲得数の増加率や顧客継続率の向上率など、定量的な数値をKPIとして設定することで、マーケティング活動の効果をより明確に把握することができます。

(4)可視化と共有

KPIはマーケティングチームや関係部門と共有され、定期的にモニタリングされるべきです。KPIを可視化することで、チーム全体が共通の目標に向かって努力する意識が高まります。また、定期的なKPIレポートや分析を通じて、マーケティング戦略の評価や改善のためのフィードバックを得ることが重要です。

(5)時間軸と調整

KPIは時間軸を考慮して設定されるべきです。短期的な目標と長期的なビジョンを考慮し、KPIの設定と定量化を行うことで、マーケティング活動の成果を着実に改善し、ビジネス目標の達成に向けて戦略を調整することができます。

総括すると、BtoBマーケティングにおけるKPI設定のポイントとしては、時間軸を考慮した目標設定と調整が不可欠です。マーケティング活動の成果を長期的かつ継続的に評価し、適切な戦略修正を行うことで、ビジネス目標の達成に向けて効果的なマーケティング活動を展開することができます。

まとめ

BtoBマーケティングは、企業間で行われるビジネスに焦点を当てたマーケティング手法です。顧客は他の企業であり、購買プロセスは消費者向けよりも複雑で長期的な関係構築が求められます。BtoBマーケティングにおけるKPIは、マーケティング活動の成果や効果を測定し、ビジネス目標の達成度を評価する指標です。売上や利益だけでなく、顧客獲得や維持、リード生成、顧客満足度向上などが重要視されます。

適切なKPIを設定することで、マーケティング活動の成果を定量化し、ビジネス目標との連動を図り、戦略の評価と改善策を可視化することができます。KPI設定は定期的に見直し、マーケティング戦略の効果を最大化するために重要です。

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