マーケティングDXによってニューノーマル時代にふさわしい営業モデルを確立させた成功事例

コラム 2024.03.22
マーケティングDX CRMデジタルマーケティング売上拡大業務効率
マーケティングDXによってニューノーマル時代にふさわしい営業モデルを確立させた成功事例
目次

これまでの顧客行動は、企業が発信する情報に対して受動的であったため、自社の営業手法にのっとって行動を起こし、成約へと繋がっていました。しかし、消費者は自ら情報を収集し取捨選択する時代となり、営業と顧客の情報格差は極めて僅少化しています。現在の顧客は情報を能動的に取得しているため、顧客それぞれの状態に合わせた複合的な入口(リード獲得施策)を設計し、また顧客ごとにリード育成方法を実施し、成約まで繋げていく形が主流となってきております。
そのため従来のアナログなマーケティング手法だけでは顧客の状態に合わせた施策が構築しにくく、効果が出づらくなってきておりデジタルシフトへ移行し、デジタルを活用したWeb戦略を実施することが多くなっています。企業は今までのように店を構えて消費者を待つだけではなく、消費者が行う情報収集から購買までの行動を分析し、適切なマーケティングを行っていかなければならない状況になってきました。

住宅事業を営むA社は創業から50周年を迎える老舗の住宅会社です。昨今の大きく変化し続ける市場環境の中で、企業価値を高めるために顧客創造モデルの変革を大きく2つ「セールス活動の専業化と分業化」「顧客育成と提供価値のDX」の項目で実施してきました。リアルとデジタルを融合させたニューノーマル時代にふさわしい顧客創造モデルへと進化させるべく、次の50年のための新たなスタートを切りました。

セールス活動の専業化と分業化

Ⅰ.分業化と専業化

(1)マーケティング領域と営業領域のすみ分け
これまでエリアに合わせた営業手法・プロモーション手法をそれぞれの支店で支店長が実施しており、施策の共有がされず、成功・失敗のノウハウが会社に蓄積されていませんでした。そこで本社ではブランディングの管理徹底を行い、地域ごとに広報部隊を設立。部門間の顧客体験をつなぐ役割を担い、部分最適ではなく、全体最適で実行推進が出来る仕組みを構築しました。

Ⅱ.全社デジタルマーケティングの進化とエリア別課題解決施策の推進

(1)デジタルを活用したマーケティング戦略会議
①地域ごとの広報部隊によるプロモーション施策のPDCAを実施 ②モデルハウスに来場した顧客の情報(図:AとB)に営業活動を行っており、顧客育成すべき期間(図:C)にアプローチがなされておりませんでした。そこで潜在顧客のリード情報を獲得するためデジタル戦略を得意とする外部企業とパートナーシップを結びWeb戦略・キャンペーンを適切にターゲティングして実行することで、これまで獲得できていなかった顧客を見出すことができました。
(1)デジタルを活用したマーケティング戦略会議
※タナベコンサルティング作成
③ブランディングとプロモーション活動の加速とさらに進化したリード獲得モデルを構築するためエリアごとの成功失敗モデルを全社展開で実施。エリア特性によるWeb上での集客ができないこともありますが、それ以外の原因を他エリアも含めて高速PDCAを回した結果、全社のリード情報を1ヵ月に約120件獲得することができました。

Ⅲ.インサイドセールス部隊を編成し、顧客育成モデルを進化

Ⅲ.インサイドセールス部隊を編成し、顧客育成モデルを進化
※タナベコンサルティング作成
(1)電話、メール、FAX、Web、DMなどの手段を駆使し、顧客へのアプローチを継続的に行い、見込客化するチームを発足させました。 (2)インサイドセールスはフィールドセールスとの連携により、売上拡大を目指しました。また、インサイドセールスの特徴的な側面として、担当顧客を特定することはなく、企業全体としての関係構築を軸にした営業活動を基盤としているため、より多くの顧客対応ができ、マーケットのカバー率を上げることができます。 (3)インサイドセールスには営業部門はもちろんのこと、マーケティング部門を含めた顧客とのあらゆる接点履歴や、問合せ情報等を共有しデータベース化していくことが必要不可欠な要素となります。 (4)架電によってアポイントの取得を得意とする営業メンバーが主体となり闇雲に架電やDM送付をするのではなく、成功失敗事例を共有し、それに基づいてトークスクリプトの作成や勉強会を実施しブラッシュアップしています。

Ⅳ.情報の見える化 CRMの導入

(1)支店ごとにExcelで管理されていたものを全社一元管理に移行
フィールドセールスによる判断でフォローが止まっていた顧客に対してマーケティング・インサイドセールスチームが連携してフォロー漏れを防ぎ顧客育成の徹底に寄与しています。

Ⅴ.デジタルを活用した業務効率化の実現

(1)デジタル戦略会議への参加
プロモーション活動のノウハウが蓄積され、来場する時点で顧客はすでに我が社で購入する意欲が高くなってきており、フィールドセールスはデジタル戦略の取り組みをしっかりと理解します。また、Webから得た見込み客であることを認識した上で、Webよりもさらに詳しい情報やWebに合わせて提案する商品も変化させる必要があります。そのために全社横断型で営業手法のレベルアップが大事な要素となります。

(2)デジタルデバイスを活用し、営業品質の向上
顧客創造モデルの変革に伴い、フィールドセールス領域でもリード情報に合わせた高い営業レベルの営業手法も必要となりました。ベテラン社員の知識やノウハウは属人的であったため、新入社員はチラシ投函や、ポータルサイトの問い合わせ対応など業務をするこがメインとなっていたがiPad(時代に合わせた営業ツール)を導入しベテラン社員・新入社員全員が共通して使用できる資料・情報などをデジタルに変換しました。

活用方法を仕組み化したことによって、新入社員でもベテラン社員と同じレベルで対応できるようになりました。また、これまで顧客の課題に対して、次回のアポイントメントで解消していたことを、iPadによってその場で即時に解消することができるようになり顧客満足度向上にも寄与しております。

以上のように、マーケティングとセールスが一体となって全体最適な視点からの戦略・戦術・戦闘を検討、実施、検証してきたことにより全社で目標数字の意識・顧客に価値提供する営業スキルの向上へと繋げることができました。デジタル活用でリード情報の獲得は昨対より好調であり、今後もさらなる発展を期待したいと考えます。

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AUTHOR著者
デジタルコンサルティング事業部
ゼネラルマネジャー
伊藤 舞

当社へ入社後、デジタルマーケティング・営業支援、ECサイトマーケティング支援に従事。専門分野・得意なテーマは住宅・建設・印刷業界。ブランドを輝かせる戦略・ツール・人づくりを得意とする。誰にも気づかれずに埋もれているダイヤモンドの原石を見つけ出し、磨き、育て、共有し、発信する、ブランディングファシリテーター。

伊藤 舞
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