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「自社のブランドが顧客にどう見られているか、正直なところ把握できていない」——そう感じた瞬間が、調査を始める最良のタイミングです。タナベコンサルティングでは、認知度・ブランドイメージ・社員エンゲージメントを定量的に把握する「ブランディング戦略サーベイ」をはじめ、調査設計から戦略立案まで一貫して支援しています。まず現状を数字で把握することから始めましょう。
ブランド調査とは何か、なぜ必要か
「知っているつもり」をデータで問い直す
ブランド調査とは、自社のブランドが顧客・市場からどのように認識されているかを体系的に把握するための情報収集活動です。ここでいう「ブランド」とは、ロゴや商品名といった視覚的要素だけでなく、顧客が抱くイメージ・信頼感・期待値の総体を指します。
「競合と差別化できている」と確信して打ち出したメッセージが、顧客には「どこも同じ」と受け取られていた——そんな経験はないでしょうか。自社の強みだと信じていた価値が、顧客の目には特徴として映っていない。このようなケースは、決して珍しいものではありません。
社内のブランドイメージと顧客の実感のズレを放置すると、商品開発・採用・広告など、あらゆる経営判断の前提が崩れるリスクがあります。
調査なき戦略は、どれほど精緻に見えても机上の空論に終わります。タナベコンサルティングが支援したある企業では、社員が「挑戦性・先進性」を自社の強みと捉えていたのに対し、顧客が選ぶ理由は「安定性・信頼性」でした。経営陣が発信し続けていたメッセージと、顧客が評価していた価値は、まったく別物だったのです。このズレは、調査を実施するまで誰も気づいていませんでした。ブランド調査は、「自社を知っているつもり」という思い込みを、データで問い直す手段です。
ブランド調査の3つの主要な種類
ブランド調査は目的に応じて、大きく3種類に整理できます。
①認知・イメージ調査
自社ブランドの認知率・連想イメージ・好意度などを定量・定性の両面から把握する調査です。広告施策の効果測定やブランドポジションの確認に活用されます。
②顧客体験(CX)調査
購買前・中・後の各接点における顧客体験を把握する調査です。NPS(顧客推薦意向を数値化した指標)や顧客満足度調査がこれに該当します。ブランドへの信頼・愛着は体験の質によっても形成されるため、継続的なモニタリングが重要です。
③競合比較調査
自社ブランドを競合他社と比較し、相対的なポジションを把握する調査です。顧客の選択基準を明らかにし、差別化戦略の根拠として機能します。
ある酒造メーカーでは、「地元以外での認知実態が把握できていない」という課題に対し、認知度調査・競合分析・自社分析を組み合わせて実施しました。その結果、狙うべきターゲットとブランドの強みが明確になり、リブランディングとコミュニケーションメッセージの策定につながりました。「なんとなく強そう」という感覚を、戦略の言葉に変換した好例です。3種類の調査を組み合わせることで、ブランドの全体像をより立体的に把握できます。
調査設計で押さえるべき4つのポイント
ブランド調査は、実施すること自体が目的ではありません。調査から得た情報を経営・戦略に生かすために、設計段階で以下の4点を明確にしておく必要があります。
①調査目的の明確化
「何を知りたいのか」を具体的に定義します。「ブランドの認知を知りたい」では設問が曖昧になります。「特定ターゲット層の認知率と、認知後のイメージを把握したい」など、目的を絞り込むことが重要です。
②調査対象の設定
既存顧客・潜在顧客・非顧客・採用候補者など、目的に応じた対象を設定します。対象が曖昧なまま実施すると、結果の解釈が難しくなります。
③定量と定性の組み合わせ
定量調査は傾向の把握に、定性調査は背景にある理由・感情の理解に適しています。どちらか一方に偏ると、数字の意味や全体像が見えにくくなります。
④継続的な実施設計
ブランドは時間とともに変化します。初回設計の段階から、継続実施を前提とした設問・指標を設定しておくことが望まれます。
なお、自社で実施するか外部に委託するかは、多くの企業が迷うポイントです。特に社員向けのインナーブランド調査では、社内主体だと回答に忖度が生じやすいため、客観性を担保するうえで外部委託は合理的な選択肢となります。
調査結果を戦略に生かすために
ブランド調査は、戦略の「出発点」であって「終着点」ではありません。調査は「目的設定→対象設定→設問設計→実施→分析→示唆出し」の流れで進みますが、最も時間と思考を投じるべきは、数字を「自社にとって何を意味するか」という経営の言葉に翻訳する工程です。
まず、調査結果を経営層・マーケティング・営業・採用など関係部門で共有し、同じ認識を持てる状態をつくります。部署ごとにブランドの解釈が異なると、施策の方向性が揃いにくくなります。
次に、「自社が目指すブランドイメージ」と「現在の顧客認識」のギャップを特定します。このギャップこそが、ブランド戦略における優先課題を示しています。
最後に、ギャップを埋める施策を、コミュニケーション・製品・採用・組織文化など複数の観点から検討します。ブランドは広告だけでなく、顧客との接点すべてで積み上げられるものです。
まとめ
ブランド調査は「聞くこと」から始まる
まず取り組むべきことは一つ——顧客と社員に、今のブランドをどう見ているかを聞くことです。調査を設計し、実施する。そこから、すべてが始まります。


