営業活動におけるデータ分析の重要性とは? 効果的な分析方法について解説

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営業活動におけるデータ分析の重要性とは? 効果的な分析方法について解説
目次

「業績が思ったように伸びない。」どの会社でも起こりうる悩みです。営業活動には様々な問題がありますが、よくある課題としては以下のような内容がよく挙がります。

(1)業務が属人化している
①営業担当者の営業成績のばらつきが出る(=ノウハウのブラックボックス化) ②担当しているその人でなければわからない案件がある (2)顧客管理が行えていない
①顧客リストを管理できておらず、有効活用できていない(=機会損失につながっている) (3)新規営業がうまくいかない
①営業活動はしているが、うまくいっていない、このやり方で良いのかわからない ②新規顧客や見込み顧客といったリードが不足している

業績が伸びない・営業がうまくいかない場合、原因を調べ、改善していかなくてはいけません。その際に有効なのが営業データの分析です。企業の業績を向上させるため、自社の営業活動における課題とデータを十分に洗い出し、分析を行ったうえで改善策を見つけ対策をとることが重要なポイントとなっています。

1.営業活動におけるデータ分析の重要性

Sansan株式会社が2022年に行った「営業活動におけるデータ活用の実態調査」によると、「自社の営業力強化のために必要だと思う要素」のコロナ禍前とコロナ禍の比較において、「営業のデジタル活用」が1.8%から12.8%と7倍以上の大幅増、「チームもしくは組織全体でのデータ活用」は12.7%から15.8%(1.2倍以上)と増加し、営業でのデータ活用・デジタル活用がコロナ禍を経てより重視される傾向となっています。

出典元:Sansan株式会社「営業活動におけるデータ活用の実態調査」
出典元:Sansan株式会社「営業活動におけるデータ活用の実態調査」

また、データ活用・分析を行うことで、先に挙げた課題を改善することも可能です。

(1)営業の属人化対策

営業成績のばらつきや案件の属人化には、優秀な営業人材がなぜ受注に至ったか、営業プロセスや受注理由などのデータを可視化・分析し、ノウハウやスキルを集約・共有することが必要です。営業チームの営業力を平準化するとともに、ノウハウやスキルを共有することでスキルアップにつながり、有力人材の離職等によるリスクの軽減・組織全体の安定化をはかります。
また、分析したデータを基盤にマニュアルを整備し、属人化しない仕組みをつくることで、だれでも対応できるような仕組みをつくることが必要です。

(2)顧客管理

顧客管理が行えていない、有効活用できていない場合には、まずSFAなどのシステムを導入し、顧客を管理することが必要です。
SFA(Sales Force Automation)とは、営業支援ツールとも呼ばれ、営業活動の生産性を向上させるためのツールのことです。SFA導入することで、データの正確性や更新のしやすさが向上し、以下のようなメリットがうまれます。
①営業活動の見える化
日々の営業が可視化されることで、マネジメント層がより的確なアドバイスを行うことができ、営業予測も立てやすくなります。
②営業活動の効率化
顧客情報だけでなく、営業に関する情報(商談の履歴・問い合わせ情報など)を一元管理することで、様々なデータを可視化できます。
SFAは、「営業活動のためのデータ分析」や「対策の検討」に役に立ち、売上向上が可能となる便利なツールですが、データの入力が必須です。ただ導入するのではなく、自社にあったツールの入念な選定が重要であり、導入後のロードマップを示して社内浸透させていくことが重要です。

(3)営業戦略

営業戦略は、自社の営業リソースを最大限に活用し、効率良く売上を向上させる戦略です。
・営業戦略がうまくたてられていない
・営業戦略があいまい
の場合、売り上げの目標を立てていても、営業の成果が上がりにくくなってしまいます。
チームで同じ方向を向いて効率的に営業活動を行っていけるよう、営業戦略を明確に立てましょう。
また、新規営業がうまくいかない場合、営業戦略が妥当でないことが一要因となっていることもあるため、見直すことも大切です。自社分析や競合分析、環境分析等を行い、併せて営業戦略を見直しましょう。また市場分析から顧客のニーズを把握し、営業戦略に落とし込んでいきましょう。

2.営業分析の種類

営業分析とは、営業成績や顧客データ、案件内容、日報など、営業活動に係るデータを収集・統合し、分析することです。基本的な3つの営業分析の手法は以下の通りです。

(1)動向分析

動向分析は、業界の変化や商品・サービスといった大きな動きをグラフなどを用いて分析する手法です。市場の流れなどの大きな動きをとらえることに適しており、細かな分析できないため、要因分析・検証分析とともに実施します。

(2)要因分析

要因分析は、動向分析でとらえた動向に影響を与えた要因を調べるための分析手法です。動きの要因を仮説立てていき、自社の対策へと活かしていきます。

(3)検証分析

検証分析では、動向分析と要因分析から得られた結果に対し、証拠データを収集し検証していく分析です。データをもとに、実際に様々なテストを行うことで、要因分析での仮説の検証を行っていきます。
検証分析は、十分な動向分析・要因分析によって成り立つ分析です。自社の営業に活かす分析のため、慎重に分析を行いましょう。

3.効果的な分析方法

続いて、具体的な営業データの分析についてご紹介します。

(1)KPI分析

KPI(Key Performance Indicator)は、日本語では「重要業績評価指標」と訳され、目標達成に至るまでの各プロセスを数値化し、達成度を測るための指標です。設定したKPIの達成度を数値で可視化し、進捗を客観的に検討することがKPI分析です。

(2)行動分析

行動分析とは、それぞれの営業担当者の行動の傾向を把握するための分析手法です。営業担当者によるスキル格差が大きくなりすぎないよう、平準化することを目的としており、成績の良い営業メンバーとそうはないメンバーとでの相違点を把握し、組織全体の業績向上へつなげます。

(3)エリア分析(エリアマーケティング)

エリア分析は、商品・サービスのターゲットエリアについて、人口統計等の数値に基づき地域ごとの特性を調査・分析を行う手法です。この分析を行うことで、地域特性に合わせた、営業・販促手法を立案・実行することが可能となります。

(4)パイプライン分析(パイプライン管理)

営業パイプラインとは、営業プロセスをパイプラインに見立て、一連の流れを表したもので、その分析をパイプライン分析といいます。お問合せやアポイントから始まり、受注までの各プロセスを可視化・分析し、各プロセスの改善を行っていくための手法です。
パイプライン分析では各プロセスを細かく切り分けることが重要です。各案件のプロセスを細分化した上で可視化することで、どのような箇所に課題があるのか、どのような点で力を入れていくべきなのかを明確にしていきます。

(5)商談分析

商談分析は、商談の品質向上のために、商談時の打ち合わせ内容や提案資料を見直し、より成果につなげるための営業手法を検討する分析方法です。商談の成果に影響を与える要素を特定し、また営業のプロセスの改善点を見つけ出し、各社ごとの効果的な商談方法を検討していきます。

4.まとめ

営業分析は営業効率アップや営業力アップために効果的な手法です。
これまで述べてきたように、営業データを分析することで営業の傾向や課題が目に見えてわかるようになり、そこから改善点や進む方向性が明確となります。その結果、営業担当者の意識が変わり、行動が変わり、そして成果へと繋がっていくのです。
営業力を向上させたいと考えている担当者は、まずは営業分析をはじめてみてはいかがでしょうか。

AUTHOR著者
デジタルコンサルティング事業部
マーケティングDX ゼネラルマネジャー
山田 亜矢子

変化する市場ニーズと顧客ニーズを的確に捉え、より活きた情報を展開し、マーケティングの上流から下流まで見通した戦略設計を行っている。リアル×デジタルを駆使した様々なマーケティング手法を駆使しながらCX(顧客体験価値)を向上させ、ブランド価値の向上に取り組んでいる。

山田 亜矢子
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