人事コラム
組織エンゲージメントとは?エンゲージメントを高めるメリット・ステップ完全ガイド
なぜエンゲージメントを高めなければいけないのか。エンゲージメントと業績の相関性を改めて考える。
様々なメディアや書籍で必要性が訴えられているエンゲージメントだが、どれだけの人がエンゲージメントの有用性を正しく理解しているだろうか?当コラムでは、エンゲージメントと業績の相関性について正しく把握し、改めてエンゲージメント向上に取り組むステップを具体的に説明する。
まずはエンゲージメント向上について向き合い、行動を起こそう
エンゲージメントとは?
企業が経営をしていく中で、エンゲージメントがとても重要だと様々なところで言われるようになった。改めて、エンゲージメントの定義とは下記の通りである。
エンゲージメント=社員が企業に対して持つ"愛着"や"貢献意欲"
要は、社員と会社の関係性が良好であるということである。このような解釈ができるため、「エンゲージメントが良い方が良いに決まってる」という認識が強いが、果たして本当にそうだろうか。
筆者はコンサルティングの現場であえて、「なぜエンゲージメントが良い方がいいのですか?」というように確認することがあるが、多くの人が、「その方が社員が一生懸命働いてくれる」「社員が定着してくれる」というような答えが返ってくるが、具体的に、"何が""どれだけ"良ければどのような結果になるのか抽象的な場合が多い。
特に、日本ではエンゲージメントという言葉自体がビジネスの世界で一般的に使われるようになってから日が浅く、エンゲージメントと企業の業績の相関性について根拠となるデータが乏しい。
そこで、米国で長らく従業員エンゲージメントについて調査しているGallup社が2024年に発表している「The Relationship Between Engagement at Work and Organizational Outcomes Q12 Metao-Analysis:11th Edition」を参考に、エンゲージメントが重要な根拠について考えてみる。
具体的に明らかになってきたエンゲージメントの重要性
53業種、90カ国、347組織を研究した「The Relationship Between Engagement at Work and Organizational Outcomes Q12 Meta-Analysis: 11th Edition」のレポートでは、エンゲージメントの高い上位25%の組織と、低い下位25%の組織の比較を、11の評価指標でまとめてあり、それぞれのエンゲージメントと業績や生産性等の連動性は以下の通りである。
- ①顧客ロイヤルティ:10%高い
- ②収益性:23%高い
- ③離職率(1年間離職率40%を超える組織):21%低い
- ④離職率(1年間離職率40%を下回る組織):51%低い
- ⑤安全関係のインシデント(事故):63%低い
- ⑥欠勤率:78%低い
- ⑦シュリンケージ(棚卸減耗):28%低い
- ⑧患者安全関連のインシデント(死亡および転倒):58%低い
- ⑨品質(欠陥):32%低い
- ⑩ウェルビーイング(いきいきと働く従業員):70%高い
- ⑪組織市民行動(参加):22%高い
上記のように、エンゲージメントの高い組織の方が様々な切り口でエンゲージメントの低い組織を上回っており、客観的に見ても、エンゲージメントを高める必要があることが分かる。
世界で最も低い日本企業のエンゲージメント
ここまで記載したように、エンゲージメントと業績や様々な生産性とは非常に高い相関性があり、やはりエンゲージメントは高い方が良いというのが明確になってきている。しかし、同じくGallup社の調査(世界の職場の現状:2024年版レポート)によると、日本におけるエンゲージメントの高い社員はわずか6%しかおらず、世界平均21%よりも大幅に低く、世界最低水準となっている。
その根拠として、「年功序列や終身雇用」、「オーバーコンプライアンス」、「活躍の場が与えられない」など、様々な理由が挙げられているが、調査や分析は進んでおらず、これといった具体的なものが明確になっているわけではない。しかし、筆者がコンサルティング現場で感じているのは、多くの経営者がエンゲージメントへの興味・関心はあるが、自社のエンゲージメント状況を把握していない企業も多く、効果的な対策を打てている企業が少ないということである。
自社の現状を知らずに打ったエンゲージメント向上の施策は的外れになる可能性が高い。まずは、社員が自社の何に対して不満や不安を抱いており、どういう状況なのかを把握することが、エンゲージメントを高める第一歩である。
エンゲージメントを高めるステップ
最後に、エンゲージメントを高めるためのステップを記載する。自社のエンゲージメントを向上させるための参考にしていただきたい。
STEP1:現状認識―自社のスコアを調査し、あるべき姿を設計の上、改善ポイントを絞る
まず行うべきは現状認識である。階層、性別、年齢、勤続年数、職種、部門別に調査・分析をし、そのスコアとなった原因の仮説設計を行う。そのうえでどこに注力し、どんな姿を目指すのかを明確にする。
STEP2:対策立案・推進―仮説を軸に対応策を立案し、実行する
問題点を絞り、仮説設計した次のステップは対策立案と実行である。注意いただきたいのは、エンゲージメントは複数の要因にまたがってスコアリングされる点である。その問題は、上司・部下の個人の関係性に起因するものであるのか、そもそも仕組み上、制度上発生することがやむを得ないものであるのか、客観的に見た上で対策を検討することが肝要である。
下記の図表は、タナベコンサルティングが提唱する3つの切り口におけるそれぞれの改善方向性である。
STEP3:定期検証―人事部の機能としてエンゲージメントのマネジメント体制を構築する
対策を立案し、実行した時点で活動を終えてしまうのは本末転倒である。打った手で改善したのか否かが重要である。健康診断のように定期的にモニタリングを行い、PDCAサイクルを回し続けることが重要だ。近年では多くの企業で、人的資本経営に関するコミットメントとして、エンゲージメントスコアの向上を掲げる企業が増加傾向にある。この人事KPIの向上は人的資本経営の進展、果ては非財務的価値の向上に直結するものである。この恒常的なフィードバックシステムを構築するため、人事部の一機能としてエンゲージメント管理を付加することが望ましい。
STEP4:社内外への発信:周知徹底を行い、知らない状態、理解の差を可能な限りなくす
制度はあるがその意図・目的が伝わっていない、そもそも発信していないという場面があまりにも多い。そんな企業にとって、社員に対しての発信力の強化は何より重要な課題である。また、管理職が内容や背景を理解しているか否かも重要な要素である。
エンゲージメント施策は採用力にも直結するものであり、他社との優位性を築く上でも非常に効力を発揮するものである。ぜひ発信力は強化いただきたい。
さいごに
さいごに改めて記載するが、日本企業におけるエンゲージメントにおける課題は、「企業がエンゲージメント向上に向き合って実際の改善行動をとっていない」ということだと筆者は考える。このコラムをひとつの機会として、まずは自社の現状把握から取り組んでいただきたい。
本事例に関連するサービス
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