人事コラム

コンサルタント一問一答人材育成・研修組織開発・DE&I・エンゲージメント

新入社員の育成・活躍を促進するオンボーディングとは?

「新入社員のオンボーディング」で定着率と即戦力化を実現する方法

企業が持続的成長を果たすために必要不可欠な仕組みがオンボーディングです。新人を早期に育成、戦力化することで従来よりも高生産性×高品質が出せる組織づくりが求められています。最新技術も組み合わせ、最も効果的な育成体系を構築することが重要です。

オンボーディングを人事課題として捉え、実践的な手法を取り入れる。

オンボーディングの本質と新入社員育成の現在地

オンボーディングの本質と新入社員育成の現在地

企業の成長と持続可能性を左右する重要な要素として「人材育成」がますます注目されています。その中でも、新入社員の育成は、企業の未来を担う人材を育てるための基盤となる仕組みです。特に、「オンボーディング」は、新入社員が組織にスムーズに適応し、早期に戦力化を図るための重要なプロセスとして位置付けられています。本コラムでは、新入社員の育成・活躍を促進するオンボーディングの考え方とポイントについて詳しく解説します。


まず、オンボーディングとは単なる新入社員の初期研修やオリエンテーションにとどまらず、自社の組織文化や価値観を伝え、社員が自律的に業務を遂行できる状態へと導く一連の流れを指します。自律的に業務が遂行できる状態とは専門知識・スキルを習得しながら日々の業務を円滑に行うことに加え、その過程において自分が組織の一員であることを自覚し、働きがいを実感できることです。いわば、その本質は「早期の適応とエンゲージメントの促進」にあると言えるでしょう。


近年の新入社員育成は、従来の一方通行の研修から、より個別化・主体的な学びへとシフトしています。デジタル技術の進展により、e-ラーニングやオンラインプラットフォームを活用した学習が一般化し、場所や時間に縛られない柔軟な学びの体系が求められる傾向にあります。オンボーディングとセットで考えるならば、「早期の適応とエンゲージメントの促進」に繋がる育成の在り方として、過去のやり方に縛られないゼロベースでの育成体系を構築する必要があるのです。

オンボーディング不全がもたらす経営インパクト

オンボーディング不全がもたらす経営インパクト

オンボーディング不全がもたらす経営への影響は、短期的なコスト増だけにとどまらず、長期的な組織の健全性や競争力に深刻なダメージを与えることが懸念されます。オンボーディング不全によって起こり得る主な負の影響を二点紹介します。


一点目は新入社員の早期離職率の増加です。オンボーディングが適切に行われないと、特に新入社員は会社の文化や業務の理解不足に陥り、孤立感や将来への不安を抱きやすくなります。その結果、期待したパフォーマンスを発揮できず、数ヶ月以内に離職してしまうケースが増加します。離職率の上昇は、採用コストや教育コストの増加を引き起こし、企業の人材投資効率を著しく低下させます。


続いて、二点目は、組織の生産性低下をもたらします。オンボーディングによる適切な指導やサポートを受けられない場合、業務の効率化や品質向上が妨げられ、既存社員の負担増加やミスの増加につながります。これにより、全体の業務効率が低下し、顧客満足度や売上にも悪影響を及ぼす可能性があります。


このようにオンボーディング不全は短期的にも中長期的にも負の影響をもたらしてしまうのです。

オンボーディング設計5ステップ

オンボーディング設計5ステップ

それでは効果的なオンボーディングを実現するためのステップを5つの段階に沿って解説します。


  1. 事前準備と期待値の共有
    新入社員が入社前に必要な情報を提供し、会社の理念や文化、役割の概要を伝えることが第一歩です。これにより、入社後の不安を軽減し、期待値を明確にします。例えば、ウェルカムメールや事前資料の送付、オンライン説明会の開催などが効果的です。
  2. オリエンテーションと文化浸透
    入社初日から数日間は、会社の理念や価値観、組織構造、基本的なルールを丁寧に伝える時間を設けます。これにより、新入社員は自社の文化に馴染みやすくなり、帰属意識を高めることができます。実践的な研修や先輩社員との交流も重要です。
  3. メンター制度と個別フォロー
    新入社員には、経験豊富な先輩社員やメンターを割り当て、日常的な相談や指導を受けられる体制を整えます。これにより、疑問や課題を早期に解決し、安心して業務に取り組める環境を作ります。定期的なフィードバックも効果的です。
  4. 目標設定と段階的な責任付与
    入社後一定期間ごとに具体的な目標を設定し、段階的に責任範囲を広げていきます。自らの成長目標を定めることで、成長すべき方向性が見える化され、成長意欲を掻き立てることが大切です。
  5. 成長に向けたKPI設定
    成長目標の設定に加え、どこまで成長すべきかを数値で示せるKPIの設計をさいごに行ってください。KPIを設定することで複数名の新人の成長スピードをマネジメントすることができ、戦力化へのスピードが高まることが期待できます。

これらのステップを丁寧に設計・実行することで、新入社員の早期戦力化と組織への定着を促進し、企業の持続的成長に繋げることができるのです。

オンボーディングにおけるHRテックの活用

オンボーディングにおけるHRテックの活用

ここまでオンボーディングにおける設計のポイントを解説してきました。加えて、昨今ではHRテックの活用について注目度が高まっています。HRテックの活用によって、従来の育成手法を刷新し、効率化と質の向上を実現することができると期待されています。


HRテックを活用したオンボーディングの最大のメリットは、一貫性と効率性の向上です。クラウド型のオンボーディングプラットフォームや学習管理システム(LMS)を導入することで、新入社員は必要な情報や研修資料にいつでもアクセス可能となります。これにより、紙ベースや対面中心の従来の方法に比べて、情報伝達の漏れや遅れを防ぎ、スムーズな導入を促進します。


次に、HRテックは個々人に合わせた学習を提供することが可能です。具体的にはAIを活用した適性診断や学習進捗管理により、新入社員一人ひとりの理解度やニーズに合わせて最適化されたコンテンツをピックアップすることもできるでしょう。これらにより、早期に必要なスキルや知識を習得させ、戦力化を加速させることが期待されます。


さいごに、コミュニケーションの円滑化もHRテックの大きな役割です。チャットボットや社内SNSツールを導入することで、新入社員は気軽に質問や相談ができ、孤立感を軽減することができます。また、フィードバックや評価もリアルタイムで行えるため、従来以上にハイスピードでPDCAを回すことができるようになります。


このようにHRテックは従来よりも高い生産性と高い品質が期待できます。ただしHRテックだけに頼り切ることは避けるべきでしょう。リアルで育成するメリットとHRテックのメリットの双方を上手くミックスさせながら推進することを推奨します。

さいごに

日本の労働生産人口が年々減少することは自明の理です。これまでと同様の質・量の新入社員を確保できるとは言い切れない時代に突入しています。このような社会構造を踏まえると、新入社員が早期に戦力化し、かつ高い意欲を持ちながら就労できる環境整備は急務といえます。今回解説したポイントを自社へと落とし込み、重要な人事課題として全ての企業が向き合うことを期待します。

この課題を解決したコンサルタント

三瓶 怜

タナベコンサルティング
HRコンサルティング事業部
ゼネラルパートナー

三瓶 怜

ホテル運営会社にて、事業戦略の策定・ 収益改革・人材育成・業務改善などホテル運営の実務全般を経験後、当社へ入社。現在は人事制度の構築をはじめ、教育体系の立案や現場から幹部層を対象に各種研修の企画など、各企業の実情を踏まえ“人”に関する、多面的要素から戦略人事コンサルティングを行っている。「人の成長なくして組織の成長なし」が信条。

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