STUDY

理念体系(MVV:ミッション・ビジョン・バリュー)策定の一考察

山本 剛史

本プログラムの執筆者

タナベコンサルティング
取締役
ストラテジー&ドメインコンサルティング事業部
ストラテジー&ドメイン(大阪)担当 兼 ドメイン大阪・東京担当
住まいと暮らしビジネス成長戦略研究会サブリーダー

山本 剛史

大手ゼネコンにて設計・監督業務に従事後、当社に入社。事業戦略を事業ドメインから捉え、企業の固有技術から顧客を再設定してビジネスモデル革新を行うことを得意とするタナベ屈指のコンサルタント。成果にこだわるコンサルティング展開で、特に現場分散型の住宅・建築・物流事業、多店舗展開型の外食・小売事業で、数多くの生産性改善実績を持つ。

理念体系の3つの型

長期ビジョンの実現に向けた成長プロセス

理念体系は大きく下記 (1)ピラミッド型(2)並列型(3)その他 で表現されています。

(1)ピラミッド型
経営理念や、社是等を最上位概念とし、事業理念やビジョン→価値観→行動指針とブレイクダウンして体系化されているパターン。体系化されている企業の中では最もこのパターンが多いです。
<事例企業:Microsoft、花王、富士通、リクルートなど>

(2)並列型
社是や綱領等を最上位概念としながらも、その周りに2~3の重要な自社の価値観や考え方を配置して、優先順位を表現せず全てを包含して理念体系とするパターンとなります。
<事例企業:パナソニック、日本電産など>

(3)その他
特に体系化はされていないものを分類しているパターン。例えば、 ザ・リッツカールトンは、クレドを中心に5つの考え方が配置されています。
<事例企業:トヨタ、京セラなど>

MVV(ミッション・ビジョン・バリュー)の序列について

MVVについては序列により4種類に分類されます。

また、階層については2~4階層が主流です。

一般的に最も多くの企業で採用されているピラミッド型の理念体系は、さらに序列により4種類に分類されます。

①【MVV(Mission→Vision→Values)型】
②【VMV(Vision→Mission→Values)型】
③【MVV(Mission→Values→Vision)型】
④【パーパス型(Purpose(Mission )→Vision→Values)型】

タナベコンサルティンググループでは①を採用していますが、どれが優れているというものではなく、その会社ごとの考え方や価値観によって①~④の選択がなされている状況です。

参考までにMisson、Vision、Valuesについての訳を見ると以下のようになります。
Misson...個人や企業に与えられた重要な課題
Vision...企業が"想像力"と"知恵"を用いて描いた将来像・未来構想
Value...企業が社会活動の中で大切とする原理・原則・主義・基準

また、④に出てくるPurposeについては以下のようになり、
1.〔望む〕目的、目標、狙い
2.〔存在などの〕理由、意義、意味
3.〔目標に向かう〕決意、決心
「社員はなんのために働いているのか?」、「何のために組織や企業が存在するのか?」=存在意義 というものを明確に打ち出すこととなります。

事例1 花王株式会社
https://www.kao.com/jp/corporate/about/purpose/
①企業理念を"花王ウェイ"という体系で表現している。 ②使命を最上位概念とし"ビジョン""基本となる価値観""行動原則"に落とし込まれている。また、この花王ウェイを軸に中期経営計画等が構築される。
事例2 トヨタ自動車株式会社
https://global.toyota/jp/company/vision-and-philosophy/philosophy/
①企業理念を"トヨタフィロソフィーコーン"という体系で表現している。 ②豊田綱領を最上位概念とし"トヨタウェイ"と呼ばれるバリューに繋ぎ、"幸せを量産する""可動性(モビリティ)を社会の可能性に変える"というミッション・ビジョンに落とし込まれている。
事例3 株式会社富士通
https://www.fujitsu.com/jp/about/philosophy/
①企業理念を主軸とした円形の"Fujitsu Way"という体系で表現している ②それぞれ考え方(価値観)・積極的行動(挑戦)・守るべき行動(共感・信頼)などの基準の中心にパーパスを置いている。 ③事業方針(事業理念)はこのFujitsu Wayに基づき事業の中期的な展開の方向性として示されている。

理念体系選択の根拠

理念体系を決める際のプロセス(一例)

様々な企業の理念体系を確認すると、定義づけは大きく下記2パターンに大別されると考えられます。
1.「自分たちが創りたい/創るべき未来(社会)」を最上位に設定するパターン
2.社会の中で「自分たちがどのような存在であるべきか」を最上位に設定するパターン

No.1の場合は、ビジョンがミッションよりも上の概念になりますし、No.2の場合はその逆になることが多いようです。 加えてNo.1は一人称視点、No.2は第三者視点で文言が設定されています。 昨今の経営環境の変化や世情を踏まえると、社会における自社の在り方(存在意義:why)からスタートするNo.2の パターンを選択する企業方が増えているように見受けられます。

パーパス型の場合は、階層数は3段階ではなく、4段階【パーパス/経営理念:why → ビジョン:where → ミッション:what → バリュー:how】での落とし込みがしやすいのではないかと考えることができます。
※あくまで一例です。

貴社の理念体系づくりの参考としてください。

ABOUT

タナベコンサルティンググループは
「日本には企業を救う仕事が必要だ」という
志を掲げた1957年の創業以来、
66年間で大企業から中堅企業まで約200業種、
17,000社以上に経営コンサルティングを実施してまいりました。

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