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設備工事業における業務見える化取り組み事例

業務の見える化は、生産性の向上や問題点の抽出など、現場のさまざまな課題を解決する上で効果的手法です。デジタル技術の導入や業務の見直し・整理によって、現場社員の業務負担軽減や業務品質の標準化にもつながります。
今回は、業務の見える化についてや事例を交えて説明します。

建設業の業務見える化とは

建設業における業務の見える化とは、目では見えない業務活動の実態や問題点を具体的な形で誰にでも見えるようにすることをいいます。

建設業における現場業務の見える化については、主に以下の2点の取り組みがあります。

(1)現場業務において、業務フローを見直し、見える化を行うことで、今まで"当たり前"だった業務の整理

大切なのはただ見える化するのではなく、問題解決や再発防止することができる仕組み造りの構築をすることです。

(2)デジタル技術を活用して、現場の進捗状況や安全管理など、通常では目に見えない情報を、数値や図、映像などで可視化し、関係者全員が迅速かつ正確に把握

業務の見える化は現場における属人化の解消や生産性向上など、さまざまな課題を解決する上で、必要不可欠だと考えられます。

なぜ業務を見える化する必要性があるのか

(1)情報やノウハウを共有するため

見える化によって情報・ノウハウの共有が可能になれば、全員が同じ認識を持って業務を進められるため、後戻り工程の発生を防ぐ効果などが期待できます。その中で、特に注意が必要なのは、情報・ノウハウが共有できていないことで、属人化が発生してしまうことです。業務が属人的になることで、特定の担当者のみが担当することで業務のブラックボックス化を招き、自社のノウハウを蓄積することができません。しかし、業務の見える化をすることで、ベテラン人材から若手人材への業務の引き継ぎだけでなく、技術承継、人材育成としてのメリットが期待できます。

(2)業務効率における生産性向上が求められているため

建設業の取り巻く環境では、2024年4月より時間外労働の上限規制が適用されることを受け、従来の業務の仕方から脱却することが求められています。限られた人材で工程通りに工事を進めるためには、生産性向上を図ることが必須です。そのため、建設業における進捗状況や情報の見える化は、すぐに実現すべき重要な取り組みとなります。

今回は設備工事業の業務の見える化をテーマに各企業の取り組みを踏まえて、重要性の理解を深めて参りましょう。

BPOによる業務可視化、安全管理及び施工現場の業務効率化の取り組み

(1)働き方改革で直面していた現場の長時間労働

A社は創業以来、空調設備工事を中心に国内外で事業展開する総合設備工事会社です。
A社は、働き方改革を進める中で、現場で以下の課題を抱えていました。

①施工管理に関わる書類整備、図面、写真管理などの業務負荷による長時間労働
②法令をはじめとする社会的な要求事項への対応


現場事務所の施工管理者は、工期を遵守しながらも、品質管理・安全基準など発注者からの要望に沿って、工事を進めると共に、技術者や技能者などの関係者と連携しながら現場の管理を行っています。
また、工事現場では、図面作成や施工写真の整理、書類作成などのデスクワークも多く、安全・品質を担保するために、現場の負荷は高まり、業務改善することが喫緊の課題となっていました。

(2)課題に対しての改善策

そこで対策方針として、専門業者に外部委託(BPO)による業務フローの見える化、標準化および業務の外部化仕組みを構築しました。

取り組んだ改善策としては以下の

(1)業務フローを見直し整備することで業務フローを見える化し、効率化を図るための整理
(2)現場ごとに異なる書式や記載内容にばらつきがあった、書類フォーマットを統一化し、標準化
(3)ITツールを導入し、電子黒板、管理帳、撮影写真の不備チェックをBPOセンターに委託し、業務削減
(4)技術計算業務などの委託による業務削減

試験的に導入した現場で業務効率化することができたため、全社的に導入し、年間10,000時間を超える業務時間の削減をすることができました。

デジタル技術導入による現場作業の効率化向上

(1)進捗確認が帰社しないとできなかった

B社は創業63年を迎える、公共施設や住宅の電気工事業を軸に、プラント、空調工事、通信工事、などを事業展開している電気設備会社です。
B社では、現場業務の中で以下の課題を抱えておりました。

①現場で多くの機器を活用し、写真撮影や書類作成に多くの時間を割いていたため、長時間労働
②工事の進捗状況などが帰社してからではないと確認ができない

上記の課題から、業務の効率化と正確な情報の共有を実現するために、デジタル技術の導入を積極的に活用することを決めました。

(2)課題に対しての改善取り組みと成果

現場での業務効率化を目的として、以下の取り組みを行いました。

(1)iPadと工事写真管理アプリを導入し、社外からでもリアルタイムに情報を見える化・共有できる環境整備
(2)自社ファイルをクラウドで管理することで社内外での情報共有

工事写真の撮影・管理・書類作成までをiPad上で完結でき、情報の見える化をすることで社内外での情報を共有が可能になりました。

上記の取り組みにより、以下の成果を出すことができました。

(1)iPad導入により、情報の見える化、工事写真の撮り直し回数の減少や報告書作成における時間の削減
(2)クラウド上での情報共有により情報共有の迅速化

結果的に社内全体で最大360時間/月の業務時間が削減することができ、業務負担の軽減をすることができました。

コンサルタント紹介

山本 剛史
タナベコンサルティング
取締役
ストラテジー&ドメインコンサルティング事業部山本 剛史
村上 幸一
タナベコンサルティング
取締役
ストラテジー&ドメインコンサルティング事業部村上 幸一
高島 健二
タナベコンサルティング
上席執行役員
九州本部高島 健二
土井 大輔
タナベコンサルティング
執行役員
ストラテジー&ドメインコンサルティング事業部土井 大輔

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