COLUMN

2023.04.21

SDGs宣言とは?作成方法やメリット、失敗しないためのポイント

近年、企業のコーポレートサイトはもちろん、日常生活においても店頭などで「SDGs宣言」と記載のあるwebページや、掲示を見かける機会が増えているのではないでしょうか? 当コラムでは「SDGs宣言」の作成方法や作成メリット、失敗しないためのポイントをお伝えします。

SDGs宣言とは?

「SDGs宣言」を作成するにあたり、規定の書式(フォーマット)や記載内容についての決まりごとはありません。 重要なことは、自分たちが何のためにSDGsに取り組むのか、SDGsで何を実現し、何に貢献するかをまとめて、分かりやすく発信(宣言)することにあります。

SDGs宣言を作成するメリット

まず初めに、作成・内容検討の段階において、自社がどのような社会課題に対して、どのような貢献が出来ているのかを、改めて振り返り、整理することが出来ます。
また、発信内容を通じて、ステークホルダー(取引先や従業員・消費者など)からの共感を得ることで、採用強化・従業員の働き甲斐・企業価値の向上に繋がります。

一方で、SDGs宣言を掲げることを目的とし、「とりあえずホームページでSDGs活動を行っていることを発信しよう」などとすると、本来の意味を見失ってしまい、実態が伴わないSDGsウォッシュのきっかけとなるかもしれません。



SDGsウォッシュとは:
SDGsウォッシュとは?上辺だけの取組みはリスクを招く!

SDGs宣言を作成するメリット

SDGs宣言作成のステップ

冒頭申し上げましたように、SDGs宣言をするための書式(フォーマット)や決まりごとはありません。 形式に拘ることよりも、自分たちらしい内容の発信を行うことを心がけましょう。そうすることで、取り組み内容が正しく、魅力的にステークホルダーに伝わります。

発信内容における3つのポイント

自分たちらしい内容にするためには、以下3点を加味すると良いでしょう。

❶自分たちが何のためにSDGsに取り組むのか、SDGsで何を実現し、何に貢献するかをまとめる
❷社会性と経済性の両立を図った取り組み内容とともに発信する
❸共感が得られる内容を意識する
(ストーリー性を持たせる・トップや社員からの発信メッセージとして作成するなど)

自社の現状の取り組みを、ただ単に17のゴールに紐づけるだけでは、SDGsに取り組む目的や実現性が曖昧となってしまいます。
上記3つのポイントを満たすように検討し発信するための手段として、例えば、以下のプロセスがあります。

社内でSDGsに取り組むためのプロジェクトを部門横断型で組成し、プロジェクトメンバーを起点にマテリアリティ(重要課題)の抽出を行います。
マテリアリティの抽出が完了した段階で、自社を取り巻く環境を背景に、自社の保有資源から、最も注力すべき事項が明確となっています。
その後、SDGs宣言を作成すると、一貫性のある自分たちらしい内容での発信が行いやすくなります。
加えて、プロジェクトメンバーは社内のSDGs推進リーダーとなります。取り組む目的・内容・到達点が十分に理解できているリーダーたちがいることで、社内外へ浸透の力にもなってもらえるでしょう。

マテリアリティ(重要課題)作成までのステップ

マテリアリティ(重要課題)作成までのステップは以下の順序で行うと良いでしょう。

❶外部環境分析:自社を取り巻く環境・社会・経済における課題を整理する
❷内部環境分析:自社の内部資源における課題を整理する
❸将来的な正の影響・負の影響の整理とロングリストの作成
❹スクリーニングを実施し、いくつかの重要課題を抽出する

詳細内容は以下コラムをご覧ください。
戦略的にSDGsの優先課題を決定する手法とは

その際、自社が目指す姿を明確にし、ギャップを埋めていく、バックキャスティング思考での目標設定が必要です。
そして、目標設定に対し、社内でできることだけを考えるのではなく、外部から求められているニーズに対して目標・実行プランを設定していくことで、成り行きの未来ではなく、理想的な未来へ近づくことが可能になります。

SDGs宣言作成のステップ

失敗しないSDGs宣言のポイント

SDGs宣言を作って終えない

SDGs宣言を作っても、作って満足するのではなく、浸透しなければ意味がありません。

例えば、コーポレートサイトでSDGs宣言を対外的に公開しただけでは、取引先や学生は閲覧したとしても、従業員の目に触れる機会は非常に少ないでしょう。
社外の方との会話の際に、従業員の理解が追い付いていなければ、実態が伴っていないと感じられる、リスクとなる可能性もあります。

社内のあらゆるところ、関係する場所に取り組み内容を掲載するなど、目に留まる機会を増やすことで従業員の意識が向けられます。
他にも、自分たちが何のためにSDGsに取り組むのか、SDGsで何を実現し、何に貢献するかを、一人ひとりが理解するための研修を実施するのも良いでしょう。
その研修は先に申し上げた、"社内のSDGs推進リーダー"を中心に行うとより良いコミュニケーションとなります。

ステークホルダーへの報告を続ける

また、素晴らしい取り組みを実行されていても、ステークホルダーに伝わらなければ、企業価値の向上や採用力の強化には至らないでしょう。
誰が見ても明確に伝えるためには、数値目標を設定し、目標に対してどうだったのかを定期的に観測し、発信することをお勧めします。

まとめ

「SDGs宣言」に規定の書式(フォーマット)や記載内容についての決まりごとはありません。
形式に拘ることよりも、自分たちらしい内容の発信を行うことを心がけましょう。
そのために重要なことは、自分たちが何のためにSDGsに取り組むのか、SDGsで何を実現し、何に貢献するかをまとめ、社会性と経済性の両立を図った取り組み内容での発信を行うこと、それらを共感性が得られるかたちで発信することです。
そして、SDGs宣言を作って終えてしまうのではなく、社内外への浸透を継続的に行いましょう。
SDGsのフィルターを通じて、自社の事業が社会に与えるインパクトを明確化することで、それを起点に差別化につなげ、事業の成長へと繋げていきましょう。

著者

タナベコンサルティング
ストラテジー&ドメインコンサルティング事業部
コンサルタント

田仲 詩歩

工場自動化(Factory Automation)領域で、第二種電気工事士の資格を保有し、駆動・制御機器の法人営業として、顧客とともに製造現場の課題解決の経験後、当社へ入社。製造業や建設業を中心にコンサルタントのアシスタントとして、チームコンサルティングの支援をはじめ、クライアントサクセス、ウェビナー運営、顧客への訪問等、幅広くコンサルタントを支援している。

田仲 詩歩

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