人事コラム
人材活躍・定着:「縦」の関係から「横」の関係へ
本コラムは、ダイヤモンド社発行の「戦略起点の人材マネジメント」の第6章の抜粋記事です。
①「縦」の関係から「横」の関係へ
日本における会社と社員のつながりは、一般的に「縦の関係性」である。使用者対労働者の主従構造であり、労働者は労務を提供する一方、使用者は対価を提供して関係性を保っていた。それを支えたのが日本的雇用システムだった。年功的な給与と長期雇用保証が労働者のメリットとして享受され、安定的な労使関係が成立した。
しかし、経済停滞、人口減少、働く価値観の多様化による人材流動性の高まりも相まって、企業が「選ぶ」側から「選ばれる」側へ変わってきたのが現在の雇用環境である【図表6‒1】。そのような背景のなか、労働者と使用者は「並列的で対等な関係性=横の関係性」へと変わりつつある。組織と個人が並列的で対等な関係性を築き、シナジー(相乗効果)を発揮し、独自性や創造性を何倍にも高めて成果を上げていく組織が注目され、組織力・競争力を高めているのが実情である。
戦後の高度成長期の日本は、「高品質の製品を安定的に大量供給すること」が求められた。作れば売れる時代だったため、上司の成功体験が部下の成功ノウハウとなり、勤続年数に比例して給料も上昇した。したがって、ポテンシャル重視の新卒一括採用、終身雇用による同質的な人材育成が効率的だった。
しかし、今ではかつての雇用慣行による課題が浮き彫りになってきた。縦の関係性による強固な忠誠心と同質性が排他的な組織文化と社員感情を醸成し、多様化する人材ニーズに対応することが難しくなってきたのである。社内に不足する専門人材の外部調達や、新しい価値観を持つ人材によるイノベーションの創出など、多様な人材の活用が求められる現在、異質な価値観を受け入れ、社員が自分らしさを発揮できるような組織文化をデザインする必要がある。
