人事コラム
人材採用

採用迷子の中堅・中小企業必見!
今の時代に合った新卒採用ストーリーの描き方
【最終回】2030年の新卒採用を考えて他社に差をつけよう!

採用迷子の中堅・中小企業必見!
今の時代に合った新卒採用ストーリーの描き方と題してイマドキの学生を採用する戦略について考えていくこととした当コラム。今回が最終回。

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採用迷子の中堅・中小企業必見!今の時代に合った新卒採用ストーリーの描き方【最終回】2030年の新卒採用を考えて他社に差をつけよう!

第1回では、イマドキ学生が共感する新卒採用ストーリーを描こうというテーマで、新卒採用ストーリーの定義や描き方について説明した。
第2回では、学生が知っている会社になろう(認知度UP編)というテーマで、どうやって学生に出会うのか?ということについて説明した。
第3回では、学生が入りたい会社になろう(志望度UP編)というテーマで、どうやって学生の志望度を上げるのか?ということについて説明した。
第4回では、実際の採用活動現場で使える具体的な工夫について説明した。
まだ読んでいない方は、まずはそちらを確認していただきたい。

 

第1回 URL:https://www.tanabeconsulting.co.jp/hr/eye/detail192.html
第2回 URL:https://www.tanabeconsulting.co.jp/hr/eye/detail212.html
第3回 URL:https://www.tanabeconsulting.co.jp/hr/eye/detail222.html
第4回 URL:https://www.tanabeconsulting.co.jp/hr/eye/detail227.html

 

そして、最終回となる今回は、「2030年の新卒採用を考えて他社に差をつけよう」というテーマで話をさせていただく。

1.2045年の採用環境

1.2045年の採用環境

突然だが、20年後の2045年の採用環境はどうなっているか?
と言われたら皆さんはイメージできるだろうか?
20年後と言われると、なかなかイメージが難しいと思う。そんな中、採用環境に確実に影響を及ぼし、かつ確定しているデータがある。それは日本国内の出生数である。
今年大学を卒業した子が生まれたのは2002年~2003年であり、2002年の出生数が100万3,532人である。2045年に大学を卒業する子は何人いるのかというと、2022年の出生数は77万747人まで減少している。

 

となると、採用環境は2025年現在でも厳しいと言っているのに、20年後の採用はそもそもの母数が現在の3/4になり、採用環境は当然悪化しているということが容易に予想される。その他、下記も特徴的である。

 

(1)大手就職ナビ離れ

今現在でも学生側の使用するツールが多様化してきており、中堅・中小企業は大手就職ナビに登録するだけでは学生を採用することが難しくなっている。この傾向はこれからも続くことが予想され、大手就職ナビ頼りの中堅・中小企業は減少に向かうことが予想される。

 

(2)高卒生の就職率の減少(大学への進学が増える)

既に大学への進学率は上昇傾向にあり、これは今後も高まることが予想される。多くの中堅・中小の製造業は、工場内業務については高校生を採用しており、高校生が採用できないとなると採用計画への影響は大きい。

 

このように、2045年の採用環境を考えると非常に厳しい現実が待っている。デジタル・AIの進歩により、採用活動がしやすくなるということも予想されるが、これらも合わせて対応していかなければ大企業との競争に太刀打ちできなくなってしまう。

 

いずれにせよ、2045年の採用環境を考えると、現在採用がうまくいっていない会社は当然だが、うまくいっている会社ですら、採用活動を大きく変革していかなければ、環境に適応することは難しいと気付くはずである。

 

毎年成果を求められる採用は、長期的な視点での取り組みが難しく、新しい取り組みや、将来に繋がるような取り組みは後回しになりがちである。
しかし、今述べたように、長期的視点で考えると採用活動の変革は必須となる。長期的視点で考えて新しい採用活動を構築していくことが重要である。20年後は、今以上に人材が採用できる=競争優位性があるという図式を成り立たせるために、或いは自社が勝ち組になるためにはどうすればいいのかを考え、実行していくことが重要である。

2.2030年の新卒採用を考えて他社に差をつけよう

2.2030年の新卒採用を考えて他社に差をつけよう

ここでようやく今回のタイトル、"2030年の新卒採用を考えて他社に差をつけよう"という話に戻ろうと思う。
20年後の新しい採用活動を構築しよう!と言われても、採用ツール等がどのようなものになっているかがわからないので具体的には描くことができないと思う。
SNS等も20年後は大きく変わっていることが予想される。
しかし、2030年という距離感であれば具体的なイメージがまだしやすいはずである。
2030年に採用を成功させるために、長期的視点で変革していくべき視点を2つ挙げる。

 

(1)自社を魅力的な会社にする
(2)自社で発信できる媒体・手法を確立する

 

それぞれを詳述する。

 

(1)自社を魅力的な会社にする

何をいまさら当たり前のことを、と思われるかもしれないが、これこそが長期的視点を持つべき最大の理由である。会社自体は1、2年ですぐに変えることはできない。だから、ついつい「今の会社のいいところ」だけを探してなかなか他社と差別化できないという会社は多い。
しかし、採用の原理原則は「良い会社に良い人材が集まる。」ということである。大企業と比較して、給料や休日日数が負けていたとしても、自社には魅力があり、こういうところでは負けないんだ!と声を大にして言える会社だから人は集まるのである。
5年、10年というスパンでそういう会社にしていく活動が必要である。

 

(2)自社で発信できる媒体・手法を確立する

自社はこんな魅力的な会社である。ということを発信できる媒体・手法を自社で持つ。ということである。
ナビ等、採用ツールはこれからもどんどん新しいものが出てくることが予想される。
つまり、採用ツールだよりになっていると結局他社だよりになってしまう。

 

そうではなく、自社のHPやSNS・WEBメルマガ等、自社でコントロールできるオウンドメディアを強化し、発信力をつけておくことも重要である。

 

どんなに素晴らしい企業だったとしてもその素晴らしさを世の中に広める術を持たなければ結局採用には繋がらない。しかし、オウンドメディアも1、2年で育成しきることはできない。5年、10年のスパンで考え、力を入れ、確実に発信力を鍛えていくことをオススメする。

 

上記2点は、今までの採用でも当然重要な視点ではあったが、今後更に重要性が増していくと考えている。目の前の採用は当然重要だが、もうひとつ、"5年後の採用活動"という長期的な視点も持ち、採用活動を大きく変革し、自社の採用活動を成功に導いていただきたい。

さいごに

全5回採用活動について連載してきたが、この連載期間中にも、26年に卒業予定の大学生は3月1日時点で内々定を持っている割合が43.1%に至ったという発表があり、数年前には想像できなかったような早期採用環境になってきている。採用環境は、非常に速く、そして大きく変化してきている。このような環境の変化に対応していかなければ、新卒を採用することはできず、企業を存続していくことができない。
非常に難しい環境の中で、プレッシャーを抱えながら採用活動に取り組んでいる皆さんに、何かひとつでもヒントや気づきを提供することでサポートしたいという思いで連載してきた。
みなさんの採用活動に少しでも貢献できていれば幸いである。

この課題を解決したコンサルタント

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68年間で大企業から中堅企業まで約200業種、17,000社以上に経営コンサルティングを実施してまいりました。
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