人事コラム
人材育成の手法
本コラムは、ダイヤモンド社発行の「戦略起点の人材マネジメント」の第5章の抜粋記事です。
③人材育成の手法
(1)企業経営における人材育成「OJT」と「Off‒JT」
企業における人材育成の手法は、大きく「OJT」と「Off‒JT」の2つに分かれる。OJT(On-the-Job Training)は「日常の業務に就きながら行われる教育訓練」(厚生労働省)、Off‒JTは「通常の仕事を一時的に離れて行う教育訓練」を指し、OJTとは対となる育成方法である。例えば、新人研修や管理職研修などを含む階層別研修、外部研修、オンライン研修、eラーニングなどが代表例として挙げられる。
一昔前までの社員教育は現場のOJTに偏重しており、新人は先輩の背中を見て覚え、繰り返し経験を積むことでスキルを身に付けていくのが一般的であった。しかし、人材確保や生産性向上、新たな付加価値の創出が求められる現在は、何年も先輩の後ろで下積みを経験できる仕事はほぼないという環境である。新人はいち早く活躍し、会社の業績に貢献することを求められており、そのために計画的な教育システムが必要とされてきている。
ただ、Off‒JTに偏った人材育成手法も、学びと実務の乖離を引き起こすことが懸念される。そのため、この2つの手法はどちらか一方を採用すればよいのではなく、組み合わせることが重要だといえる。実務を通じて業務の流れや手法を学ぶOJTと、体系的な知識が習得できるOff‒JTを両輪で実行し、それぞれを連動させることで、人材育成を効果的に進めていくことが可能となる。
(2)学びのプラットフォーム「企業内大学」
タナベコンサルティングでは、OJTとOff‒JTを包括した学びのプラットフォームとして「企業内大学」【図表5‒7】の設立を提唱している。企業内大学を「会社のなかに学校をつくり、理念・戦略を具現化する人材を体系的かつ計画的に輩出する学習プラットフォーム」と定義し、「アカデミー」と呼んでいる。アカデミーは社員のためのオリジナル学習システムであり、企業理念や方針の浸透、自社独自の仕事の進め方や技能の習得を促進する【図表5‒8】。
人材の成長を多方面から支えるアカデミーは、いわゆるただの〝教育〟ではなく、経営システムの1つとして位置づけることができる。タナベコンサルティングではこれまでに全国で177校のアカデミー設立支援を行ってきた(2024年3月時点)。次に、このアカデミー設立のフレームワークに基づいた企業の人材育成のポイントについて掘り下げていく。
