COLUMN

2022.11.22

長期ビジョン設計におけるキーポイント
<未来戦略フォーラム>

本コラムはタナベコンサルティングのTCG REVIEWにて掲載している記事を転載したものです。
※登壇者の所属・役職などは開催当時のものです。

「現状を打破し、未来の企業の姿を思考する」

新型コロナウイルスの感染拡大やロシアによるウクライナ侵略、50年ぶりの円安が進行するなど、経営を取り巻く環境は大きく変化しています。先行きの見えない時代に企業が生き残っていくには、既存戦略の踏襲するのではなく、"未来ビジョン"とそれを実現させる"中期経営計画"が必要です。

タナベコンサルティングは2022年9月28日、「未来戦略フォーラム」を開催し、特別ゲスト3社による講演と、タナベコンサルティングのコンサルタントによる講演を通じて、現状を打破し、自社に合った実効性のある中期経営計画を策定するポイントを解説しました。

1.流動的変化と構造的変化

ロシアによるウクライナ侵攻、少子高齢化問題、サプライチェーンのひっ迫など、企業経営を取り巻く環境は劇的に変化しており、不確実性が高まっています。企業が立ち向かっていくべき課題を見極めるには、その変化が「流動的変化」か「構造的変化」なのかに着目していただきたいと考えます。

例えば、外食や観光など、コロナが終われば元通りになる変化は流動的変化です。フードデリバリーサービスのように、コロナ後も生活様式やライフスタイルの変化によって定着し、世の中の構造として残っていくのが構造的変化です。

2.理念以外は全て変える

タナベコンサルティングでは、「経営のバックボーンシステム」を提唱しています(【図表】)。普遍的な自社の価値である経営理念を背景にミッション・ビジョンをつくり、そのミッション・ビジョンを基に中期経営計画を策定。その中期経営計画を達成するためにビジネスモデル・ファイナンシャルモデル・コーポレートモデルを設置し部門展開するという考え方です。

急速に時代が変化する今、流動的変化か構造的変化かを見極めながら、普遍的な自社の価値観である経営理念以外は全て変えるほどの柔軟な対応が企業に求められています。中長期経営計画の策定については、過去の延長線上ではなく、バックキャスティング(在るべき姿からの逆算)で目標を定めることです。そして、10年先の長期ビジョンである「未来ビジョン」を北極星(道しるべ)として、中長期経営計画を策定しステップアップしていただきたいと考えます。

【図表】経営のバックボーンシステム

図1

出所:タナベコンサルティング

3.6つの戦略テーマ

未来ビジョンの策定に当たっては、経営理念を核とした次の6つの戦略テーマを重点にすると良いでしょう。

1.M&A
2.クロスボーダー
3.DX
4.SDGs
5.人材活躍
6.ポートフォリオのリデザイン

M&Aはマツキヨココカラ&カンパニー山本氏の成功と失敗を経験しながらも現在の地位の確立に至った講話を、DXはオムロン竹林氏の「攻めのDX」「守りのDX」や「起承転結型人材」の講話を、SDGsは森永乳業浜田氏の事業とSDGsを一体化させながら、社長直轄の組織を設けて推進されている講話を参考にしてください。

未来戦略フォーラムのその他の記事はこちら

    旧ココカラファインにおけるM&Aを活用した成長戦略 森永乳業グループのサステナビリティ経営について 「攻めのDX」&「守りのDX」〜DX時代に経営者が考えるべきこと〜

    著者

    タナベコンサルティング
    取締役
    ストラテジー&ドメインコンサルティング事業部

    村上 幸一

    ベンチャーキャピタルにおいて投資先企業の戦略立案、マーケティング、フィージビリティ・スタディなど多角的な業務を経験後、当社に入社。豊富な経験をもとに、マーケティングを軸とした経営戦略の立案、ビジネスモデルの再設計、組織風土改革など、攻守のバランスを重視したコンサルティングを数多く手掛けている。高収益を誇る優秀企業の事例をもとにクライアントを指導し、絶大な信頼を得ている。中小企業診断士。

    村上 幸一

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コンサルティング実績

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