COLUMN

2022.11.22

旧ココカラファインにおけるM&Aを活用した成長戦略
<未来戦略フォーラム>

本コラムはタナベコンサルティングのTCG REVIEWにて掲載している記事を転載したものです。
※登壇者の所属・役職などは開催当時のものです。

1.12年間で44社がグループイン

東京を基盤とするセイジョーと大阪を基盤とするセガミメディクスが統合し、2008年ココカラファインが設立されました。以降、12年間でグループインしたのは44社。当社は成長のドライバーとしてM&Aを積極的に活用してきました。M&Aを活用した背景の1つは、業界上位プレーヤーとしてのポジションの維持。それが価格競争力の源泉となる仕入れボリュームの確保につながっています。

また、展開エリアの拡大にもM&Aを活用しました。2010年には東京・千葉・神奈川、2011年には北海道、2012年には新潟、2013年には山口県など、各地で展開しているドラッグストアをグループイン。2021年3月期には事業規模3664億円、店舗数1461店舗と、ドラッグストア業界7位の地位を確保しました。

図1

出所:山本氏講演資料より

2.成長のためのM&A戦略

組織の編成に大きな変化があったのは2013年。それまで、持ち株会社であるココカラファインホールディングスの下に各販売子会社が並列でぶら下がっていたが、それらを統合し、ココカラファインヘルスケアを設立しました。

そうすることでオペレーションの効率化には成功したものの、当時、ドラッグストア業界は再編成の真っ只中であったため、M&Aを検討しているセルサイドの企業がココカラファインヘルスケアへの統合を危惧し、ココカラファインにグループインすることを避けるようになりました。そのため、その後は業界再編が始まったばかりだった調剤薬局を中心にM&Aを展開しました。

また、専門性のない社員が調剤薬局のM&Aを進められるようマニュアル化。スピード感を持って取り組んだ結果、ドラッグストア業界における調剤売上高は第4位となり、収益性を拡大することができました。
そのほか、ドラッグストア事業および調剤事業の充実とともに、介護事業においてもM&Aを展開。ドラッグストア事業、調剤薬局事業との連携を図っています。

3.経営統合後の取り組み

2021年10月、当社はマツモトキヨシホールディングスと経営統合。社名をマツキヨココカラ&カンパニーとし、売上高1兆円、3300店舗を有する日本最大級のドラッグストアグループとなりました。食品が売り上げの40~50%を占める同業他社に比べ、当社は美容と健康を合わせて70%という特徴を生かし、「美と健康の分野でアジアNo.1」を目指します。

グローバル企業として確固たる地位を築くために打ち出したのは連合体構想です。業務提携やフランチャイズ契約など柔軟な経営体制を構築していく予定です。中間持ち株会社が店舗運営に集中できるよう、グループ戦略や経営計画の策定は持ち株会社であるマツキヨココカラ&カンパニーが担い、商品仕入やPB商品の企画・開発、販売促進などはミドルオフィスであるシナジー創出会社のMCCマネジメントが担います。

グループ売上高1兆5000億円、営業利益率7.0%(2026年3月期)を目標に掲げて出発し迎えた第1四半期は、旧マツモトキヨシ・旧ココカラファインの合算が過去最高益と順調な滑り出しとなりました。

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著者

株式会社マツキヨココカラ&カンパニー
取締役グループ事業企画統括

山本 剛 氏

2021年10月株式会社マツモトキヨシホールディングスと株式会社ココカラファインが経営統合し、株式会社マツキヨココカラ&カンパニーが発足。市場環境が大きな変革を迎える中でそれを成長機会と捉え、地域住民のニーズに応えるため自社と他社との経営資源を有効に活用すべくM&Aを積極的に推進。規模拡大に留まらず機能補完型のM&Aや他社とのジョイントベンチャーも国内外で展開している。

山本 剛 氏

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