人事コラム
欧米企業の人材マネジメントの特徴
本コラムは、ダイヤモンド社発行の「戦略起点の人材マネジメント」の第2章の抜粋記事です。
ここまで日本の人材マネジメントの歴史と特徴を見てきた。では、欧米はどうなのか。そこで欧米企業の人材マネジメントの特徴について確認していきたい。
元来日本では、丁稚奉公や親方制度のように、雇い主や管理者を〝主人〟として敬う主従(縦)関係で人材をマネジメントしてきた。一方、欧米企業の人材マネジメントの基本的な考え方は、契約に基づいた「対等(横)の関係」が重要視される。契約で双方の権利を確認し、その範囲内でマネジメントを行ってきた。
このように日本と欧米では根づいている環境・価値観の違いから、商慣習や雇用の考え方などが大きく異なっている。そのため、人材マネジメントにおいてもさまざまな点で相違点が見られる【図表2‒4】。
まず、欧米ではジョブ型人事制度が社会システムとして根づいている。契約時は職務内容が明確に記載された職務記述書(ジョブディスクリプション)が提示され、報酬は仕事内容と責任の重たさによって増減する。まさに契約社会である欧米の価値観を表した制度といえる。
また、人材の流動性が高い欧米では、キャリア採用(経験者採用)が中心である。企業が求める職務のスキルレベルとマッチした人材を、必要なタイミング(通年採用)で募集・採用している。つまり、日本企業のように長期育成を前提とした新卒採用ではなく、入社後すぐに活躍できる即戦力採用が特徴である。日本企業のような「プロパー社員(生え抜き社員)」という概念が存在しない。
欧米では高校・大学や専門学校で専門知識を身に付け、卒業後にインターンシップ(2、3カ月)を通じて経験と実績を積み、就職活動に臨むのが一般的である。転職活動でも「目に見える実績」が採用の判断基準になり、企業が応募者のポテンシャルだけを見込んで採用を決めるケースは少ない。常にスペシャリスト人材を求めているのが欧米企業での人材マネジメントの特徴である。
さらに、欧米企業では、人事権が現場に委譲されている傾向が強い。最適な組織構築のために必要な職務や能力を現場の管理職が要望を出し、それに沿って人事部門が採用活動を行う。採用した人材は契約時に合意した職務を遂行することが前提のため、企業の経営状況に応じた柔軟な人事異動はできない。仮に異動させる場合でも本人の同意を得る必要がある。また、短期的な成果創出を求めるため、その成果を判断できる現場に人事権が委譲されているのである。
欧米企業では、経営幹部や管理職を除く一般人材について、リーダーシップや協調性などの定性面は評価されず、業務内容と実力値で人材価値が決まる。入社初年で高収入を得るケースもあり得る。最適な組織を構築し、最適な報酬を支払いながら職務を遂行させるのが欧米型の人材マネジメントの特徴である。
