人事コラム
人事制度

時代に合わせた評価制度の再構築

トレンドを踏まえた評価制度設計のポイント

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時代に合わせた評価制度の再構築
変化の激しい時代における人事制度の必要性

変化の激しい時代における人事制度の必要性

現代はテクノロジーの進化やグローバル化、経済の不確実性などにより、企業を取り巻く環境が急速に変化しています。このような時代において、企業が競争力を維持し、持続的な成長を遂げるためには、人事制度の役割が重要になっています。以下では人事制度の重要性を解説します。

1. 変化への柔軟な対応力の確保

企業環境が変化する中で、従業員の役割やスキルも変わる必要があります。固定化された評価基準や職務体系では、こうした変化に迅速に対応することが困難です。そのため、人事制度には、柔軟性が求められます。例えば、プロジェクトベースの評価制度や、スキルに応じて異動や昇進が可能な制度を導入することで、変化に適応した人材配置が可能になります。

2. 人材のエンゲージメントとモチベーションの向上

変化が激しい時代には、従業員が将来への不安を感じやすくなります。明確な人事制度があることで、キャリアパスが見える化され、安心感とモチベーションが向上します。例えば、昇進や昇格の基準が明確で、公平な評価が行われる制度があると、従業員は自分の努力が正当に評価されると感じ、組織へのエンゲージメントが高まります。

評価制度のトレンド

評価制度のトレンド

人事制度の重要性をご理解いただいたところで、以下評価制度の直近のトレンドを解説します。

1. OKR(Objectives and Key Results)

OKRは、個人やチームが明確な目標(Objectives)とその達成のための主要成果(Key Results)を設定し、進捗を定期的に評価する方法です。OKRの特徴は、目標が挑戦的かつ測定可能であることに重点を置く点です。これにより、組織全体の目標と個人の業務が連動し、透明性と一体感が高まります。GoogleやLinkedInなどの先進企業が導入し、成果を上げていることで注目されております。

2. 360度評価

360度評価は、上司だけでなく、同僚や部下、さらには顧客や取引先など、複数の視点からフィードバックを受ける評価方法です。これにより、従来の一方向的な評価では見えにくかった個人のコミュニケーション能力やリーダーシップが客観的に把握できるようになります。特に、リーダー職の育成や社内の信頼関係の向上に効果的です。
※ただし、組織の発達段階が未成熟な場合、逆効果をもたらすためご注意いただきたいです。

3. リアルタイムフィードバック

従来の年1回または半年に1回の評価から、リアルタイムでのフィードバックが重視されるようになっています。これにより、成果や課題を即座に共有し、改善策を迅速に実行できます。SlackやTeamsなどのデジタルツールを活用して、日常的なコミュニケーションの中で評価と改善が行われるケースも増えています。リアルタイムフィードバックは、従業員の成長スピードを加速させ、エンゲージメントの向上にも寄与します。

4. パフォーマンス評価からポテンシャル評価へ

成果だけでなく、従業員の将来の成長可能性(ポテンシャル)を評価する動きが広がっています。特に、リーダーシップや問題解決能力、学習意欲など、長期的な視点での成長要素を重視することで、次世代リーダーの育成や継続的な人材開発につながります。

5. ウェルビーイングの評価

従業員の心身の健康や幸福感(ウェルビーイング)を評価の一部とする企業も増えています。従業員のメンタルヘルス、ワークライフバランス、職場環境への満足度が業績に直結することが認識され、評価制度にウェルビーイング指標を取り入れることで、より働きやすい環境づくりが進んでいます。

6. スキルベース評価

個人の役職や勤続年数ではなく、保有するスキルや専門知識を基準とした評価が重視されています。これにより、専門性を持つ人材がより適切な役割で活躍でき、キャリアパスも多様化します。特に、ITやデジタル分野ではスキルベースの評価が顕著です。

7. ダイバーシティとインクルージョンの視点

評価制度にダイバーシティ(多様性)とインクルージョン(包摂)の観点を取り入れる企業が増えています。性別、年齢、国籍、障がいの有無などにかかわらず、公平な評価基準を設け、多様な人材が活躍できる環境を整えることが、組織の持続的な成長に不可欠とされています。

さいごに

近年の評価制度は、単なる成果の測定だけでなく、人の成長や組織の成長を促進するツールへと進化しており、従業員一人ひとりが自分の価値を実感し、企業とともに成長できる環境を整えるために欠かせない要素となっています。

ビジョンを達成するために、自社に合った人事制度の再構築と人と組織の成長を促す評価制度が求められます。

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