COLUMN

2022.11.30

グループ経営戦略を5つのタイプから考える

  • グループ経営

グループ経営戦略を5つのタイプから考える

近年、グループ経営システムを構築、運用する企業が増えてきました。グループ経営の運営形態は各種各様ですが、グループ経営のスタイルで成長スピードも変わって行くものです。各社がどのようなグループ経営を模索しているのかを考察して行きます。

そもそもグループ経営とは

グループ経営とは同じ経営哲学を持った親会社・子会社・関連会社が1つの企業グループとして活動する経営方法を指します。ちなみに、事業会社がそれぞれのベクトルをもって活動する「分社経営」と「グループ経営」が意味するものは異なります。「グループ経営」の主な特徴は次の通りです。

・グループ企業として共通した価値判断基準が存在する
・各事業会社よりグループ全体の最適化を優先する
・グループ本社によるグループ全体のガバナンス構造
・グループ本社によるグループ全体のマネジメントシステム
・グループのオペレーションコストの最小化(シェアード化)が可能

なお、グループ経営の主な目的は「グループ利益の最大化」であり、親会社と子会社がシナジーを発揮することにより、生産性や付加価値の向上を図ることが可能になります。
外部環境に急激な変化が起こった際も耐え得る経営を行うために、グループとして各社(各事業)の方向性が一致し、単純和ではなく一体として生まれる相乗効果(グループシナジー)を最大化することは非常に重要です。

グループ経営の増加と背景

~企業はなぜグループ経営を目指すのか~

国内マーケットが縮小する中で、事業の多角化やビジョン実現に向けた事業ポートフォリオの最適化などグループ内の企業は増える一方です。経済産業省「企業活動基本調査(確報)」を元に統計したところ、2018年度において持株会社(純粋持ち株会社及び事業持ち株会社)は約10,000件近くまで増えており、実にリーマンショック時から9年間で2.5倍に増えているという盛況ぶりです。2021年に弊社が実施した「グループ経営に関する企業アンケート調査」においても、回答いただいた企業の過半数がホールディングス化を検討しており、検討中企業の71.4%が3年以内にグループ経営体制導入を予定しています。
この傾向は今後も増えて行くと考えられるのですが、理由としては、M&A市場の活性化により企業のグループ化が進んでいること、経営資源(ヒト・モノ・カネ)の再配分により持続的成長に向けた事業のポートフォリオの拡充が進んでいること、そして、事業承継を機とした資本と経営の分離により社員が経営者になれる環境の整備が進んでいるなどが考えられます。グループ経営が増える中で、いかにシナジーを生みながら事業経営を行い、グループとして持続的成長を果たすかが課題となります。

企業はなぜグループ経営を目指すのか出所:タナベコンサルティングにて作成

なおグループ経営において、グループ全体でガバナンスを浸透させることは非常に重要です。下記のコラムでは、ガバナンスを推進するための仕組みの整備やグループ全体の組織再構築のポイントについて紹介しています。

グループ経営の5つのタイプ

~成長に向けてどのようなグループ経営を目指すのか~

グループ経営のタイプは、「グループとしてのビジョン浸透度」と「グループ統制力」の2つの軸により5つのタイプが分かれます。いずれのタイプを目指すかは、業種・業態、企業文化、グループとしての戦略性など、様々な条件から経営スタイルを決めて行く必要があります。グループ経営を行う上では、経営者がはじめに意思決定すべき事項と言えます。
ビジョン浸透度とグループ強制力の2軸による4象限のマトリクスで共創型・ビジョナリー型・一体型・放任型の4つの経営スタイルにわかれ、さらに5つ目の経営スタイルとしてプラットフォーム型があります。
各々の経営スタイルのポイントは下記の通りです。

①共創型グループ

1つ目は共生型グループ。グループとしてのビジョンの浸透度は高く、グループとしての統制力も強い。グループビジョンの実現に向けてグループに属する全企業が一丸となって事業を推進して行くグループ経営スタイルです。グループに属する会社が連携を取り合う関係となり、シナジーが発揮しやすいメリットがあります。

②ビジョナリー型グループ

2つ目はビジョナリー型グループ。グループとしてのビジョンは浸透しているものの、過度なグループ統制は行わず、グループ会社の自主性を重んじるグループ経営です。ビジョンという錦の御旗の下、各社が自由闊達に経営を行うスタイルです。過度なグループ管理が不要の為、グループ子会社を増やしやすくなるというメリットがあります。

③一体型グループ

3つ目は一体型グループ。ビジョンよりも統制に重点を置き、親会社の強い統制の下、一体となって事業を推進するグループ経営です。子会社が親会社の一機能として存在している場合の経営スタイルです。グループ全体で一つの会社として機能する為、各社の責任が明確化しやすいというメリットがあります。

④放任型グループ

4つ目は放任型グループ。これは最も良くないグループ経営スタイルであり、実施的に最も多いグループ形態かもしれません。M&Aなどでグループインしてもシナジー発揮の仕組みを実装できず、何も相乗効果を生まない経営スタイルです。

⑤プラットフォーム型グループ

5つ目はプラットフォーム型グループです。形態として、ビジョンについてはグループ統一又は各社ごとに浸透しており、グループ統制は過度に強めず自主性に重きを置いています。グループ本社にプラットフォーム機能があり、子会社の苦手分野をグループ会社がサポートする経営スタイルです。各社が苦手分野を克服できる為、グループ全体としての成長や収益性が高まるといったメリットがあります。

グループ経営の5つのタイプ出所:タナベコンサルティングにて作成

5つのグループ経営スタイルと判断基準

~企業の持つポテンシャルを最大限発揮するグループ経営のスタイルを模索する~

グループ経営の目指すところは、グループとしてのビジョン実現に向けて、グループ各社が持つ企業としてのポテンシャルを最大限発揮できる経営スタイルの模索とグループビジョンの実現にあります。グループとしての基本方針は親会社であるグループ本社が決める役割を持ちますが、経営スタイルは、経営に対する価値観、業界を取り巻く環境変化、目指す事業規模や成長スピードなど、様々な条件の中で決めることになります。どのスタイルが正解かどうかとうことではなく、企業文化も鑑みながら、企業の持つポテンシャルを最大限に発揮できると思われるグループ経営のスタイルを模索することが大切になります。
それぞれのグループ経営スタイルには、特徴、メリット・デメリットが存在し、これらを総合的に判断してグループ経営スタイルを決めて行くことなります。

グループ経営スタイルは全部で5つ、一覧表をご覧いただき、自社に最適なグループ経営スタイルを実践してください。
次回以降は、それぞれの経営スタイルについて事例を交えて解説を行います。

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グループ経営の5つのタイプ出所:タナベコンサルティングにて作成


グループ経営戦略成功のポイント

グループ経営戦略を成功させる為のポイントについてもご紹介します。
まず成功させる為には、「グループのビジョン・理想像を明確化する」ということが非常に重要となります。期限を設けない恒久的ビジョンと、中長期のビジョンを設定することが必要です。
また、「定期的なガバナンスの見直し」も必要となります。
子会社の不祥事などの影響がグループ全体に及ぶことがある為、監督機能の強化や社外取締役の起用などを行い、ガバナンスを強化することが必須です。
加えて、「詳細なデータ分析」も重要な要素の1つです。
グループ内企業のデータを横断的に収集し、経営状態やリスクについて正確に把握することが必要です。

ここまでグループ経営の5つのタイプについてお伝えしてまいりましたが、最後にグループ経営の主なメリット・デメリットについてご紹介いたします。

グループ経営のメリット

まずグループ経営のメリットとしては役割の明確化が挙げられます。各事業は子会社や関連会社が行い、グループ全体の意思決定は親会社が行うことにより意思決定のスピードが向上します。 また事業リスクの分散や管理体制の強化もグループ経営の大きなメリットと言えます。

なおグループ経営において、グループとして各社の方向性を一致させ、相乗効果を最大化することは重要なポイントです。
下記のコラムでは、グループシナジーの要素と、グループ各社の方向性を一致させるポイントについて紹介しています。

グループ経営のデメリット

グループ経営のデメリットとしては、体制が複雑になりグループを超えて業務が重複してしまう可能性がある、また間接コストが増加してしまうケースがある等の課題が存在します。そのため、例えば、グループ各社、全体で連携できるシステムの採用により、意思決定の迅速化や運用コストを引き下げる取組みが非常に有効です。

まとめ

以上の通り成長を目的とするグループ経営においては、グループシナジーをいかに大きくできるかがポイントとなります。タナベコンサルティングのグループ経営システム構築サービスでは、企業の現状把握や課題の分析を徹底して行ない、シナジーとポートフォリオを最適化するための戦略・方針・計画の立案をします。また、タナベコンサルティングの知見を活用し、管理・経理・人事制度などグループ経営における基盤の構築の支援を実施します。
グループ経営システム構築サービスの詳細は下記よりご覧ください。

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「日本には企業を救う仕事が必要だ」という
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