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「SDGsへの取り組みが、一部の経営陣や広報担当者によるCSR的取り組みになってしまい、全社を巻き込めていない。」
そんな課題を感じていらっしゃる企業も多いことと存じ上げます。
社員にどんなにSDGsの重要性を共有しても、その取り組みが収益=個人の評価と連動しなければ、日常業務優先となってしまうことは避けられません。
本コラムでは、社会課題解決に「事業」として取り組み、社会性と収益性を両立させることで推進加速化を図る企業を3社ご紹介します。
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全社を巻き込んだSDGs推進の鍵=社会性と収益性(評価)の連動
2015年9月の国連サミットでSDGsが採択されて以来、急速に世間の注目を集め、
その言葉の指す意味や重要性は多くの人が知るところとなりましたが、
本質的に全社の活動として取り組めている企業はまだまだ少ないのが現状です。
その大きな理由の1つに「本業との両立の難しさ」があります。
全社としてSDGs推進に取り組むうえで、その重要性を共通認識するための研修が大変重要であるのは言うまでもありませんが、いざ研修実施して「これは重要だ!是非取り組みたい!」と感じた社員も、翌日現場に戻るとさらに優先すべき本業が山のようにあり、結局その取り組みに十分に時間を割くことができないケースはままあります。
全社を巻き込みSDGsを推進していく上では、
SDGs=社会課題の解決に「事業」として取り組み、その取り組みを通じて収益(=個人の評価)が生まれる仕組みを構築することが必要になります。
次章以降では、「収益のあがる事業」として社会課題解決に取り組む企業の具体的事例を紹介します。
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自社ノウハウをパッケージ化し「住み続けられるまちづくり」をスピード展開
03 すべてに人に健康と福祉を
11 住み続けられるまちづくりを
17 パートナーシップで目標を達成しよう
世界的に見ると、女性・子供・高齢者の社会的立場が著しく弱い国がまだまだ多いのが現状です。
高齢化先進国の日本においても、要介護者や認知症のある方々が住み慣れた街・自宅で障害暮らすことのできる環境が
十分に整っているとは言えません。
本章では、こうした社会課題に対し、自社の福祉事業ノウハウをパッケージ化し、より魅力(=収益性)のある事業へと押し上げることで、事業内容・収益性の両面に魅力を感じたパートナーとタッグを組んで事業を拡大し、高齢者が住みやすいまちづくりを急速に展開している企業の事例を2つ紹介します。
(1)身体機能維持・回復率85%、営業利益率40%を実現するリハビリ特化型デイサービスFC
リハビリ特化型の通所型デイサービスを展開するA社は、自社開発のシステムを活用した高生産性オペーレーションのノウハウをパッケージ化することで、営業利益率40%の高収益モデルを実現し、FC・直営含めて全国で160以上の事業所展開を行っています。
自社独自開発のシステムを活用することで、アセスメント、プログラム構築、介護保険申請、営業(対ケアマネ)などの事務作業を徹底的に効率化することで、人件費を押さえつつも、利用者の身体機能維持・向上率85%という好悪付加価値を実現しています。
同社のフランチャイズに加盟している企業は、葬儀社や地場建設業等様々です。収益性・社会性とのに高い事業だからこそ、多くのパートナーの賛同を得ることができ、
結果としてまちづくりに貢献しているモデル的事例と言えます。
(2)他社がやりたがらない「住宅改修」領域に特化し世の中の"不"を解決する介護リフォームFC
住宅改修(=介護リフォーム)といえば、その多くが単価10万未満の少額工事でありながら、介護保険申請の書類作成に膨大な手間を要することから、リフォーム事業者が好んでやりたがらない事業領域です。書類申請が煩雑故に、見積作成にも1週間程度要し、担い手も少ないことからユーザー側の不便も大きいのが現状です。
この介護リフォームに特化しフランチャイズ展開するB社は、FC・直営含めて約100拠点を全国で展開しています。同社のFCに加盟した事業者は、同社の同時開発システムを活用することで、現地調査のその場で図面、必要部品、見積の提出が可能となります。
通常であれば1週間開けて2回目の訪問時に見積提案→クロージングとなるところ、現地調査のその場で見積提出が可能になることから、事業者側の生産性向上に繋がるだけでなく、ユーザー側も短期間で、且つ負担も少なく住宅改修を終えることができます。
結果として、10万未満の少額工事中心でありながら粗利益率55%前後の高収益を実現しています。
また、イニシャルコスト500万程度と、フランチャイズパッケージとしては比較的低コストで介護事業に参入できることから、社会貢献+介護業界に参入したい異業種のパートナーを多く持ちます。
(1)、(2)の事例ともに、社会性と経済性を両立していること、事業制限性が高いこと、外部とのパートナーシップで事業拡大していることがスピード展開の肝であるといえます。
アパレルの業界課題を解決し顧客・自社双方の社会性・経済性を同時追究するサステナブルモデル
12 つくる責任つかう責任
17 パートナーシップで目標を達成しよう
世界的なサステナブル意識の高まりを背景に、低価格帯のアパレルブランドにおける在庫品・ユースド品についてはリユースの動きが盛んになりつつあります。
一方、アパレルブランドの商品をリユースする際の課題として「ブランドの毀損リスク」があります。
特に在庫品に関しては、売れ残り品を安価で販売することでブランドの市場価格が崩落する恐れがあるため、
「廃棄を出したくない」「サステナブルに取り組みたい」と思いつつも廃棄を出さざるを得ないアパレルブランドも多いのが現状です。
アパレルブランドの在庫処分業を展開するC社は、上記のような課題を抱えるアパレルブランドの在庫を買い取り、
タグを切り取り、自社製品として海外で販売することで、ブランド特定のリスクを最低限に抑えつつ
リユースを可能にするモデルを展開しています。
またわかりやすくブランドロゴが入った製品などは、切り取ったタグや糸と合わせてウェス・フェルトとして
リサイクルに回すことで、廃棄品ゼロを目指しています。
コロナ禍で多くのアパレルブランドが予期せず販売機会を逃し、大量に在庫が生じた2020年度においては
同社の事業モデルの需要が大きく高まりました。
クライアントの経済性を損なうことなく業界の全体最適を実現しているモデルであるといえます。
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